阪神・淡路大震災当時の放送体制
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「サンテレビジョン」の記事における「阪神・淡路大震災当時の放送体制」の解説
1995年1月17日未明に発生した阪神・淡路大震災では本社も被災し、またほぼ全ての社員が被災者となったことから、震災の発生から数ヵ月間は特別な放送体制を取ることを強いられた。 地震が発生した5時46分の時点ではまだ放送開始前で、5時41分にテストパターン映像による試験電波を発射し始めて5分経ったところだった。 マスターは耐震設計で無事だったため、機材の確認作業を経て6時30分からのフィラーの天気予報、6時56分からのオープニング、7時からの『BBCワールドニュース』のサイマル放送と、自動送出で通常通りの放送を行ったが、本社ではスタッフがなかなか揃わない上に震動によって多くの物品が散乱し、スプリンクラーも作動して水浸しになる等、すぐには震災に関する放送を行うことができなかった。 スタッフの多くが交通網の寸断によってポートアイランド内の本社になかなか辿り着けない中、最低限のスタッフが揃った所で8時14分頃にCMを中断して震災関連のニュース番組を放送。これをきっかけに通常の番組を全て休止し、午後からはCMもカットしてひたすら震災関連のニュースに専念した。 当初は、技術スタッフが不足しており字幕スーパーを画面に表示するオペーク装置を作動させることができず、画用紙に手書きした文章を映して対応した。初日は、何とか本社に辿り着いた社員に道中の模様をリポートさせるという形で現状を伝えた。翌日からは、電気・水道・ガスといったライフラインや情報通信・交通などの生活に関する情報をはじめ、学校から生徒に向けた連絡、被災者の諸手続について、さらには公衆浴場の復旧に関する情報まで、被災者からのあらゆる要望に応じた情報の提供が主となった。 22日までの間も番組やCMを一切休止し、早朝から夜間の一定の間隔を設けてスタジオからの震災関連情報を、アナウンサー等ほぼ全ての社員・スタッフが交代で放送した。スタジオ放送が休止されている時間帯は、お天気カメラや市街地からの中継映像をフィラー映像として放送することで、切れ目なく電波を出し続けた。 震災から1週間が経過した23日からはほぼ通常の編成に戻ったが、休止した番組の代替編成を始めとしてニュースの時間帯等で震災関連の文字情報を提供する等、3月末までは変則的な編成で放送した。 2月17日にはテレビ朝日系列のニュース番組『ニュースステーション』をサンテレビジョンより、通常より60分長い21:00-23:18で生放送された。これは、業務提携している朝日放送の協力により実現したものである。朝日放送と並行して同内容のものが放送されたことになり、これは極めて異例である(番組内でも並行放送している旨が紹介された)。番組内では前述した震災当日の動きが伝えられ、その一環で当時の本局の放送開始時のオープニング映像のごく一部も放送された。また、通常はローカルニュースを放送する時間に編成されたことから、通常の『SUN-TVニュース』にあたるニュースや天気予報も全国放送された。なおスタッフロールでは、淡路島からの中継を担当した瀬戸内海放送と並んで「制作協力」と扱われた。 1996年以降も、毎年1月17日には、曜日を問わず震災関連の報道特別番組を長時間にわたって編成。前夜(同月16日)から被災地域の数カ所で開かれる追悼行事「阪神・淡路大震災1.17のつどい」の模様を、主要会場の1つである東遊園地(神戸市役所南側)からの生中継方式で、発生時刻(5時46分)の前後に放送している。同年や2005年には、ほぼ1日を通して特別番組を編成していた。 2015年1月17日(震災から20年) 03:00 - 05:30 被災局サンテレビの記録と記憶「忘れないあの日」 05:30 - 06:15 震災20年特別番組〜忘れない あの日〜「阪神淡路大震災1.17のつどい」 10:00 - 11:30 防災セミナー・災害から命を守るために 11:45 - 12:35 兵庫県追悼式典中継 12:35 - 13:00 ダイジェスト1.17のつどい 13:00 - 13:55 いま、防災を考える 〜阪神淡路大震災から20年〜(KBS京都、テレビ和歌山で同日時差ネット) 14:00 - 16:00 1.17チャリティーマッチ 阪神・淡路大震災20年特別番組 KOBE DREAMS(ヴィッセル神戸現役&OB)×JAPAN STARS(サッカー元日本代表)〜ノエビアスタジアム神戸 16:00 - 16:55 ありがとうジロー 愛犬と全国巡り被災地支援 17:00 - 19:00 震災20年報道特別番組 記憶の再生・揺れた街から 20:00 - 21:30 ドラマ 神戸在住(◎岩手朝日テレビ、◎ミヤギテレビ、◎福島中央テレビ、●とちぎテレビ、●群馬テレビ、●テレビ埼玉、●チバテレビ、◎東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)(サブchのみ)、●テレビ神奈川、◎静岡第一テレビ、◎北陸放送、◎福井テレビ、◎岐阜放送、○三重テレビ、○KBS京都、◎テレビ和歌山、◎九州朝日放送、◎琉球放送で同時ネットないしは時差ネット。なお、サンテレビでは、2015年3月15日12:00から再放送が実施された。) この地震発生からの動きは、当社のウェブサイト内の「震災報道の記録」にも詳述されているので参照のこと。なお、この日は、上記に記載の通り「震災から20年の特別番組」放送のため、2:50放送開始となり、前日の放送終了が26:50となった事から終夜放送となった。 また、発生から25年目に当たる2020年1月17日(金曜日)には、4部構成による震災25年報道特別番組『バトン1.17~あなたへ~』を17:00 - 21:55に編成。発生当時テレビ朝日のアナウンサーとして『ニュースステーション』のサブキャスターを務めていた小宮悦子(フリーアナウンサー)が、第2部(かつての契約キャスターだった松本純の取材・ナレーションによる事前収録のドキュメンタリー「震災の記憶~家族4人を亡くした同級生は~」を放送した19:00 - 20:00)・第4部(谷口のナレーションによる事前収録のドキュメンタリー「いたみ分けあい歩む道~震災障害者のいま~」を放送した21:00 - 21:55)以外の時間帯にゲストで出演した。 サンテレビは2021年6月から本社を神戸駅前JUSTスクエアへ移転したため、発生後も使用してきたポートアイランド内の本社屋から放送する震災報道特別番組は、同年1月17日(日曜日)の『バトン1・17~パンデミック時代のあなたへ~』(NHKのアナウンサー時代に神戸市灘区の実家で震災に遭遇した住田功一を迎えて17:00 - 19:00に生放送)が最後になった。もっとも、本社屋移転後の2022年以降も、1月17日には自社制作による震災報道特別番組を編成している。 なお、サンテレビは2020年に、発生直後からの取材アーカイブ映像を神戸大学付属図書館震災文庫に提供。デジタルアーカイブ学会の肖像権ガイドライン案を参考に、大学院の人文学研究科地域連携センターとの間で協議を重ねた末に、提供した映像の一部を2021年1月14日(木曜日)から震災文庫のデジタルアーカイブページで順次公開している。 また、神戸駅前JUSTスクエアの建築に際しては、耐震性に優れた構造を採用。サンテレビ本社のフロア(1 - 4階)では、耐震性の高い天井を放送設備関連の全ての部屋に備えたほか、停電が発生した場合にも最長で72時間までの連続放送に対応できる発電機を設置している。
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