いな‐がわ〔ゐながは〕【猪名川】
猪名川
猪名川は、川辺郡猪名川町の大野山を水源地とし、渓谷を南流して猪名川町笹屋付近で大屈曲し、屏風岩の狭窄部を通って、蛇行しながら流下します。大小あわせて42本の支川と合流しながら大阪・兵庫両府県を南流し、大阪湾に流入する神崎川右岸に河口から約6.5km上流で合流します。川西・池田・宝塚・箕面市など多くの都市域を擁する、流域面積383km2、幹川流路延長43.2kmの典型的な都市河川です。 |
大阪・兵庫の府県境を流れる猪名川 |
河川概要 |
| ○拡大図 |
2.地域の中の猪名川 |
"猪名川沿川の学校の総合学習として、猪名川の自然観察などに活用されています。 また、野草環境の一般公募の学習イベントとして、「いながわの野草教室」や水生生物の観察会「愛護セミナー」などを例年開催しています。" |
地域社会とのつながり
江戸時代、猪名川沿いにあったお茶屋さんが集客のために始めたのが起源とされ、当時は現在よりも上流で行なわれていましたが、昭和23年(1948年)からは川西・池田両市の主催となり、年々規模が大きくなったため、川幅の広い現在の場所に変更されています。 また、猪名川の河川愛護や河川環境に対する啓発を目的とした様々なイベントを開催しています。
また、近年の総合学習の題材として猪名川の自然環境などを取り扱うところが増えてきています。 |
3.猪名川の自然環境 |
"都市の中の貴重な自然。多様な動植物の生息・生育環境。中にはシルビアシジミ(環境省絶滅危惧Ⅰ類)も確認されています。しかし、外来植生の優占が徐々に広がるなど大きく変化してきています。 水質は、周辺地域の下水道整備等により昭和40年代に比べ大幅に改善されています。しかしながら、昨年度の一級河川とりまとめでワースト4を記録しました。" |
4.猪名川の主な災害 |
"豪雨による水害では、猪名川の改修工事のきっかけになった「阪神大水害」や「昭和47年7月豪雨」があります。また、昭和28年9月の台風13号、昭和35年8月の台風16号、近年では昭和58年9月の台風10号によるものがあります。" |
昭和30年代中ば頃までの猪名川は、堤防も小さく構造も弱いものでした。そのうえ、川筋が曲がりくねっていたため、洪水のたびに川から水があふれ流域の生活に大きな被害をもたらしていました。 猪名川流域の大雨は、梅雨のときに京阪神地方をおそう豪雨と、夏の終りから秋のはじめにかけてやってくる台風の影響によるものとがあります。 梅雨の豪雨による水害では、猪名川の改修工事のきっかけになった昭和13年7月の「阪神大水害」や「昭和47年7月豪雨」があります。また台風が原因の水害では、昭和28年9月の台風13号、昭和35年8月の台風16号、近年では昭和58年9月の台風10号によるものがあります。 しかし、猪名川の改修が進んだことにより、最近では洪水時の流量が増えているにもかかわらず、被害は少なくなってきています。 |
(注:この情報は2008年2月現在のものです)
猪名川
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/23 02:36 UTC 版)
猪名川 | |
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呉服橋から五月山を望む | |
水系 | 一級水系 淀川 |
種別 | 一級河川 |
延長 | 43.2 km |
平均流量 | -- m³/s |
流域面積 | 383.0 km² |
水源 | 大野山 |
水源の標高 | 753 m |
河口・合流先 | 神崎川(大阪府・兵庫県) |
流域 | 兵庫県・大阪府 |
猪名川(いながわ)は、兵庫県と大阪府の府県境付近を流れる淀川水系の支流で、一級河川。
『住吉大社神代記』の説話によると、猪名川の名前は古くからこの地方に住みついていた「山直阿我奈賀」という人物の名前、「あがなが」がなまったものである[1]。
地理
北摂山系の大野山(兵庫県川辺郡猪名川町)に源を発する。府県境を南流し、大阪国際空港の西側をかすめて神崎川右岸に合流する。下流域の水質汚濁が激しい[2]。
淀川へは直接流れないが淀川水系に属す。このような例は、木曽川水系に属す揖斐川や長良川等がある。
流域の自治体
主な支流
括弧内は流域の自治体
- 一庫大路次川(京都府亀岡市、大阪府豊能郡豊能町、兵庫県猪名川町、川西市)
- 余野川(大阪府豊能郡豊能町、箕面市、池田市)
- 箕面川(大阪府豊能郡豊能町、箕面市、池田市、兵庫県伊丹市)
- 千里川(大阪府箕面市、豊中市)
- 最明寺川(兵庫県宝塚市、川西市)
- 駄六川(兵庫県伊丹市)
- 藻川(もがわ)(兵庫県尼崎市、伊丹市)分流。
歴史
人文歴史的には川の両岸とも摂津国であったが、明治初期にその大部分が兵庫県、大阪府の府県境とされた。神戸の発展のため税収の上がる広範な後背地、とりわけ日本酒醸造業を兵庫県として確保したい、という考えと、地理的には狭小でも税収の上がる大阪府の間の線引きがこうさせた、と状況証拠的には推論され、いわば恣意的な境である。この判断に関わったとされる大久保利通、幕臣として兵庫奉行支配役の経験のあった前島密の間の書簡にはその経緯の記載は見当たらない(大久保利通書簡集)。
かつては豊中市利倉町付近でS字形に大きく蛇行していたが、昭和40年代に直線化工事が行われ、この結果、利倉町は川によって東西に分断された。この付近では猪名川が尼崎市と豊中市の市境(大阪府と兵庫県の府県境)であり、工事によって川の流れが東に移動したため、現在では川の西側に分かれてしまった地域(豊中市利倉西)は尼崎側に食い込むような形となっている。なお、この工事以前の堤防の大部分は猪名川自然公園となっており、川の流れの一部も池として残っている。
流域の観光地・施設
- 東側に猪名川および支流の伊丹川が流れており、それらによって形成された河岸段丘とともに城の防御網の一部となっている
- 大阪空港の西側に有る猪名川流域下水道の広域下水処理場。下水の高度処理施設を持ち、メタンガスを回収して汚泥焼却や発電に使用している。
- 原田処理場の処理施設の屋上に整備された公園施設。
- 猪名川の下流域、猪名川が神崎川と藻川に合流する付近(豊中市南西部、現在は旧猪名川沿い)に鎮座する古社で、約1250年前に猪名川に数多くの鯉が集まり、奈良時代の僧、行基と村人たちに架け橋を作った話「鯉伝説」が伝わっている。
- 川西市鼓滝の国道173号線沿いにある水害記念碑、明治29年の水害の翌々年に建立された。
- 記念碑の側面、「明治29年8月31日大雨・・・」が読み取れる
- 猪名川を渡る阪急宝塚線と阪神高速11号池田線、右の山は池田市の五月山
- 猪名川下流域に架かる戸ノ内橋の鯉のレリーフ、下流域付近に伝わる「鯉伝説」を元に作られた。
出典
- ^ “日本の川 - 近畿 - 猪名川 - 国土交通省水管理・国土保全局”. www.mlit.go.jp. 2019年9月6日閲覧。
- ^ 国土交通省 平成20年全国一級河川の水質現況の公表について
関連項目
- 猪名川花火大会 - 流域の池田市・川西市で開催される花火大会。
- 石橋信夫 - 大和ハウス工業の創業者。川辺で遊ぶ子供たちからヒントを得て、プレハブ工法の原点である「ミゼットハウス」を開発する。
- 植村花菜 - 「猪名川」という曲を発表した川西市出身のシンガーソングライター。アルバム「わたしのかけらたち」に収録されている。
- 日本の川一覧
外部リンク
- いながわネット(国土交通省近畿地方整備局猪名川河川事務所)
- 猪名川総合開発工事事務所(国土交通省近畿地方整備局)
- “猪名川 (8606040073) 淀川水系 地図 - 国土数値情報河川データセット”. 2023年1月3日閲覧。
猪名川と同じ種類の言葉
固有名詞の分類
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