種数とは? わかりやすく解説

種数

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/12 04:43 UTC 版)

種数(しゅすう、: genus; ジーナス)は、数学用語で、分野によって似通っているがいくらか異なる意味を持つ。なお、genus の複数形は genera

位相幾何学

向き付け可能閉曲面

連結な向き付け可能閉曲面Sの種数とは、その切断によって生じる多様体が連結のままとなるような単純な閉曲線に沿った切断の最大数を表す整数である。種数はその閉曲面のハンドルの数と等しい。これとは別にオイラー標数 χ を使って定義することもでき、種数を g としたとき、閉曲面では χ = 2 − 2g が成り立つ。b 個の境界成分を持つ曲面では、この式は χ = 2 − 2gb となる。

またこのときSのベッチ数は2gであるから次が成り立つ;

種数 0

  • 種数 1

  • 種数 2

  • 種数 3


  • 向き付け不可能閉曲面

    連結な向き付け不可能閉曲面種数は、球面に付けられたクロスキャップの数を表す正の整数である。これとは別にオイラー標数 χ を使って定義することもでき、向き付け不可能種数を k としたとき χ = 2 − k が成り立つ。

    例えば、

    結び目

    結び目 K種数は、K についての全てのザイフェルト曲面の最小種数として定義される。ある結び目のザイフェルト曲面は境界のある多様体であり、その境界が結び目であり、すなわち単位円と同相である。そのような曲面の種数は、単位円盤をその境界に接着することで得られる二多様体の種数と定義される。

    ハンドル体

    3次元ハンドル体種数は、切断の結果生じる多様体が連結のままとなるよう埋め込まれた円盤に沿ってなされる切断の最大数を表す整数である。これは、そのハンドル体のハンドル数に等しい。

    例えば、

    • の種数は0である。
    • トーラス体 の種数は1である。

    グラフ理論

    グラフn 個のハンドルのついた球面(種数 n の向き付け可能閉曲面)上で辺同士が交差することなく描けるとき、最小の n をグラフの種数と呼ぶ。したがって、平面グラフは単純な球面上に交差することなく描けるので、種数は0である。

    グラフを n 個のクロスキャップのついた球面(種数 n の向き付け不可能閉曲面)上で辺同士が交差することなく描けるとき、最小のnをグラフの向き付け不可能種数と呼ぶ。

    位相幾何学的グラフ理論においては、の種数のいくつかの定義がある。Arthur T. White は次のような概念を提唱した。すなわち群の種数 は、 の任意の(連結かつ無向の)ケイリーグラフの種数のうち最小のものである。

    グラフの種数を求める問題はNP完全問題である (Thomassen 1989)。

    代数幾何学

    任意の射影スキーム X種数には、2つの相互に関連する定義、算術種数幾何種数がある。X複素数領域における代数曲線特異点を持たない場合、これらの定義は一致し、Xリーマン面に適用した位相幾何学的定義とも一致する。楕円曲線の代数幾何学的定義は、「与えられた点を通る種数 1 の非特異曲線」である。

    関連項目


    種数

    出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/16 01:57 UTC 版)

    整関数」の記事における「種数」の解説

    整函数 f が種数 p であるとは、ラゲールによれば、それが f ( z ) = e Q ( z ) P ( z ) {\textstyle f(z)=e^{Q(z)}P(z)} または f ( z ) = z s e Q ( z ) ∏ n = 1 ∞ ( 1 − z a n ) e ( z a n + z 2 2 a n 2 + ⋯ + z p p a n p ) {\textstyle f(z)=z^{s}e^{Q(z)}\prod _{n=1}^{\infty }\left(1-{\frac {z}{a_{n}}}\right)e^{({\frac {z}{a_{n}}}+{\frac {z^{2}}{2a_{n}^{2}}}+\dots +{\frac {z^{p}}{pa_{n}^{p}}})}} の形に書けて、かつ p − 1 に対して同様の形に書けない場合であることを言う。ただし、Q は次数高々 p の多項式であり、P は任意の多項式であり、無限積はヴァイヤシュトラスの積であるとする。 収束冪数を上から抑える最小整数函数の「種数」と呼ばれる。 種数はラゲールの公式によって決定できる: 定理 (Laguerre) 整函数 f が種数 n であるための必要十分条件は |s| を無限大に飛ばす極限s n f ′ ( s ) f ( s ) {\textstyle s^{n}{\frac {f'(s)}{f(s)}}} が一様に 0 に収束することである。 種数の概念注意深くなりすぎる必要はない。リンデレーフは函数 f ( z ) = ∏ n = 2 ∞ ( 1 + z n ( ln ⁡ n ) α ) ( 1 < α < 2 ) {\displaystyle f(z)=\prod _{n=2}^{\infty }\left(1+{\frac {z}{n(\ln n)^{\alpha }}}\right)\quad (1<\alpha <2)} は増大度 1 かつ種数 0 だが、f(z) − 1 は種数 1 となることを示した同様に f(z) + f(−z) は種数 1 だが f′(z) は種数 0 となる。しかしヴァリロンは以下の定理証明した: 定理 (Valiron) f が種数 n の函数であるとき、高々一つの値を除く任意の a に対して函数 f − a は、やはり種数 n である。 Dans ses investigations sur les fonctions entières à la suite du mémoire fondateur de Weierstrass, エドモン・ラゲール(英語版)は 定理 (Laguerre) 整函数 f が任意の実引数において零点持ち、その導函数もそうであるならば、f の種数は 0 または 1 である ことを示した。(※校正意見、この定理(Laguerre)の記述は意味が不明である)

    ※この「種数」の解説は、「整関数」の解説の一部です。
    「種数」を含む「整関数」の記事については、「整関数」の概要を参照ください。

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