種徳寺事件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/07 05:25 UTC 版)
最三小判1980(昭55)年1月11日民集34巻1号1頁。X寺(曹洞宗種徳寺)の住職であったYが罷免され、X寺が寺の建物の明け渡しを求め、Yが住職の地位の確認と代表役員の地位の確認を求めた事件である。 最高裁判所は、住職の地位は、宗教上の地位であるから具体的な権利関係・法律関係ではないとして、住職の地位確認を不適法を理由に却下した。しかし一方で、寺の建物の明渡請求については認容しており、しかもその中で「判断の内容が宗教上の教義の解釈にわたるものであるような場合」を例外として挙げつつ、明渡の前提問題として住職の地位の存否について裁判所が審判権を有するとした。 従来、判例は住職の地位そのものの確認は許さないが、代表役員の地位の確認は法律上の問題であるから適法としてきた。住職と(宗教法人の)代表役員とは、別概念である。しかし実際には寺の規則で、住職が代表役員になると定められていることが多い。そこで前提問題として、例外を指摘しつつも住職の地位について裁判所が判断しうるとしたものと理解されている。
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