前提問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 18:48 UTC 版)
憲法訴訟では、まず、どのような立場の者が憲法問題に関する争点を提起することができるかという問題がある。この点については、抽象的違憲審査制の下では憲法上の争点提起の適格を有する者が法定されていることが通常であるのに対し、付随的違憲審査制の下では、あくまでも通常の訴訟の中で憲法判断されるに過ぎないこともあり、法定されているわけではない。ただし、付随的違憲審査を採用する以上、憲法上の争点提起の適格以前の問題として、法定された民事訴訟、刑事訴訟又は行政訴訟の訴訟要件(訴訟条件)を満たしていることが前提となる。 つまり、民事訴訟や行政訴訟で要求される当事者適格(特に原告適格)や訴えの利益などの訴訟要件を満たした訴訟でなければ、そもそも憲法上の争点提起の適格云々を議論する余地がない。それに加え、行政訴訟の場合は、行政事件訴訟法により法定された訴訟類型又は解釈上認められる訴訟類型に該当しなければならないという制約もある。これに対し、刑事訴訟の場合は、訴追された被告人が違憲性を主張することになるので、特に訴訟条件が問題とされることは少ない。
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