具体的な争訟とは? わかりやすく解説

具体的な争訟

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/11 15:12 UTC 版)

司法」の記事における「具体的な争訟」の解説

冒頭司法の定義にある具体的な争訟は、事件性具体事件性)ともいわれ、裁判所法昭和22年法律59号)3条にいう「一切法律上の争訟」と同じ意味であると解されている。ゆえに、「法律上の争訟」にあたらなければ司法権対象とならず原則として裁判所審査及ばない最高裁判所判例によれば法律上の争訟」とは、「法令適用することによって解決し得べき権利義務に関する当事者間紛争」をいう(最判昭和29年2月11日民集8巻2号419頁)。すなわち、「法律上の争訟」に当たるためには、次の2つ要件満たすことが求められる当事者間具体的な権利義務ないし法律関係存否に関する紛争であること 法律適用することにより終局的解決することができるものであること(いわゆる終局性) 紛争具体的でなければならないので、抽象的な審査できない法律関係存否なければならないので、事実存否のみの審査できない刑事訴訟は、刑罰権存否に関する紛争とされるため、「法律上の争訟」にあたる。法律適用することで終局的解決できなければならないので、宗教上の争い学問的争い政策論争などは審査できない。「法律上の争訟」にあたらない場合次のように整理できる抽象的な法令の解釈または効力を争う場合例外として客観訴訟当事者間具体的な権利義務法律関係とは無関係な法律問題裁定は、司法権対象とはならない単なる事実存否個人主観的意見当否学問上技術上の論争対象とならない判例でも、自衛隊前身である警察予備隊設置等が無効であるとして最高裁判所直接訴訟提起され事件において、その趣旨明らかにされている(最大昭和27年10月8日民集6巻9号783頁)。 宗教問題が前提問題として争われる場合 宗教教義に関する争いなどは、法律適用により終局的解決できないため、司法による審査対象とはならない。「板まんだら事件」の最高裁判所判例(最判昭和56年4月7日民集353号443頁)も「具体的な権利義務ないし法律関係に関する紛争形式」をとっており、「信仰の対象価値又は宗教上の教義に関する判断請求当否決するについての前提問題であるにとどまる」ものとされていても、その判断「必要不可欠」で、訴訟の「核心」とされている場合には、終局性を欠き法律上の争訟」にあたらない判示する。 判例:代表役員等地位不存在確認(最三判平成5年9月7日民集477号4667頁)

※この「具体的な争訟」の解説は、「司法」の解説の一部です。
「具体的な争訟」を含む「司法」の記事については、「司法」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「具体的な争訟」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「具体的な争訟」の関連用語

具体的な争訟のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



具体的な争訟のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの司法 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS