妖夷(ようい)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/06 06:55 UTC 版)
異界から、人間の業と共に出現する怪物。幽霊の類ではなく骨肉を持つ。倒された後は、奇士によって喰われる。妖夷の肉は一度食べるとその虜となり、他の食べ物では満足することができなくなってしまう。山子やケツアルコアトルのように特定の神の姿が実体化する例もあり、また山の民、海の民、機の民などの古き民からは「神」として崇拝されている。その正体は、「神」が人間界に降りるために纏う鎧の成れの果てで、鳥居曰くそれが妖夷の真の姿。人の思いと異界の力が妖夷を生むが実際に人が見たことは殆ど無く、人間が神に近い思いを持つことで妖夷が目覚め暴れる。
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妖夷
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/27 14:30 UTC 版)
山子(やまご) 象のような体を持ち、仮面のような顔を持つ妖夷。元は陸奥の農村で信じられていた山神が実体化したもの。 その肉体には央太の父親が取り込まれているため、漢神「父」を持っていた。 漫画版では過去に生贄にされた子供達の怨念が実体化した存在で、央太の父が死に際に抱いた殺意により央太を追いかけていた(漫画版では農村の因習としての「口減らし」を主軸にして描かれている)。 列甲(れっこう) 戦が無くなり不要とされた武具が妖夷化したもの。家宝の鎧が売られたと騒ぐ武家のご隠居が呼び出してしまった。 倛倛(ぎぎ) 見世物小屋の人形が遊兵と合体し、妖夷化したもの。「偽り」を意味する名のため、漢神を実体化できない。 遊兵(あそべ) 南町奉行所が使役している河童のような妖夷。 涙孥と同じく人と妖夷との間に生まれた存在であり、ソテが産み、風呂で卵から孵している。 登場の度に暴走しては、被害を大きくしてしまうことが多い。 ケツアルコアトル アトルの愛馬である雪輪を参照。 豊川狐(とよかわぎつね) 声 - 勝生真沙子 芝居町に現れた妖夷。狐なので化けることが得意。美女の姿に化け、女芝居の豊川一座として活動する座頭(ざがしら)として、宰蔵の前に姿を現す。 雲七によると稲荷の化身で、他にも無数の狐が存在する上、江戸にある無数の稲荷に人が祈る度に後述の狐の形を成すため、完全に倒すことは不可能だが、あくまで人の真似をして芝居をしたり、少し驚かしたりするだけとのことで、人に積極的に危害を加えるわけではない様子。 普段は豊川の辺りに住んでいるようだが、稲荷の社を媒介にしてどこへでも姿を現せる上、江戸中の稲荷たちと会話できる。劇中では雲七と融合した雪輪を除けば、唯一知能を持つ妖夷である。 旧芝居町で奇士達を襲ったが、左前足を斬られて奇士達に美味しく食べられてしまった。ちなみに上等な妖夷であり美味いらしい。 当初は面にまつわる事件の黒幕かと思われたが、実際は無慈儺が自分たちの縄張りを荒らし始めたので、宰蔵を利用して追い払おうとしていただけであった。 無慈儺が宰蔵に憑いた後は、稲荷の社に好物のいなり寿司や油揚げなどを供えると姿を現し、奇士達に協力した。 狐(きつね) 声 - 山崎バニラ 豊川狐の配下。普段は可愛らしい子狐を模した姿をしているが、感情が高ぶると無数の鋭い牙を剥き出しにした姿へと戻る。本性も豊川狐同様。 無慈儺(むじな) 色々な面の妖夷。元々は宰蔵が持っていた面が妖夷化した。人に取り憑き別のものになりたいという願望を喰らう。 宰蔵に取り憑いて共に舞いながら芝居町に向かっていたが、往壓の説得で解き離れて集合体となったところを、宰蔵の漢神に倒された。 ろくろ首(ろくろくび) 日光街道で竜導と放三郎が最初に倒した妖夷。小泉八雲の小説に登場する、いわゆる「抜け首」の方のろくろ首。元は寺の住職、すなわち人間だったらしい。 ろくろ首には首が抜けている間に首から下の身体を隠されると元に戻れなくなるという伝承があり、それに従った往壓達は、倒すことに成功した。 ちなみに体は人間だが抜けた首は化け物顔。 こんな顔かい 二段構えで人を脅かすのっぺらぼう(小泉八雲の『怪談』を参照)と同じような妖夷だが、こちらは顔が腰まで垂れ下がっている。 鰻(うなぎ) 川に住んでいる巨大な鰻の妖夷。 人に化け、釣り人に「鰻を釣るならこの川には主がおり、五尺ほど(約151cm)の鰻が釣れたら川に返して欲しい」と言っては、 川の深みにはまったところを餌食にしていた。無数の鰻へ変化することも可能。 茶釜(ちゃがま) 空を飛ぶ茶釜の妖夷。西の者が獏を出現させたと同時に、大量発生した。 獏(ばく) 西の者達が呼び出した巨大な妖夷。 日光東照宮の宝塔に眠っている徳川家康の霊を封じ込めた上で「莫」という字に狢を加え「獏」になり、殺生石の力で出現した。 鉄を喰らう霊獣であり、「有り余る程の鉄=平和な時代」を象徴する存在であるため、あらゆる武器が通じない。 他の妖夷を活性化させ長い鼻の様な器官でそれらを取り込み力を増して行くが、殺生石を放三郎に破壊され、弱体化したところを駁竜に倒された。 花変(かへん) 清花の隣室に遺体として置かれていた、蝶が好きな遊女の想いが妖夷化したもの。 遊女に取り憑き、蛹のように骨や肉が区別できなくなるほどに体内を溶かして成長していきながら、最終的には背中の皮膚を大きく破って羽化する。取り憑かれた遊女には蝶の彫り物が浮き出て、妙に色気を持つようになる。 市野が清花の背中を斬ってしまった際には、清花自身が蝶の妖夷となり、市野も蝶の妖夷と化した。最期は清花は吉原の外へと飛んで行き、静かに体が砕け消え、市野は往壓によって漢神を刀で斬られ倒された。しかし斬られる前から既に市野は死んでいた。 於偶(おうぐ) アビの姉、ニナイの心が生み出したジャミラ似の妖夷。 涙孥を傷付けるとその者の背後に現れ、腕の鋭い爪で切り殺す。また、その体内は異界へと通じている。 ニナイをさらったとされていたが、実際は「山の民の暮らしから抜け出したい」と願う彼女の願いに応えての行動だった。 涙孥(るいど) ニナイと於偶との間に生まれた、アメーバのような姿をした小型の妖夷。 ニナイ曰く、妖夷そのものは異界に住み続けることはできないため、この世へと産み落とされた。 背中から肉の瘤が突き出ており、山崎屋や雇われの浪人達はそれを食べていた。 瘤を取って食べることは、他の妖夷の肉と同じくその味の虜になるだけで済むが、本体部分を傷付けると於偶が出現して皆殺しにされる。 金士(かなし) 竜導家の脇差が往壓と異界に行った際に妖夷化したもの。 「往」と似た鉞の型をしているが色は黒く、紅い眼が付いている。頭部は『ガメラ2 レギオン襲来』に登場したレギオン似。 他の武器を妖夷化して取り込む能力を持っている。巨大化後は頭部がカブトムシ、胴体がムカデのような姿となる。 西牙(せいが) 声 - 川原慶久 西洋から取り寄せられた狼(吸血鬼)の死体が、西の者達によって殺生石の力を加えられた後、明楽と融合することで、『BLOOD+』の翼手のようなコウモリ似の羽や腕を持つ異形の姿へと変貌した。 西洋の狼の死体にあった牙という漢神と殺傷石にから出した西という漢神が一つになり西牙という名になった。 西の者達が作り上げた仮の名前のため、この名前から漢神を引き出すことは不可能。 赫水(しゃくすい) 酒を飲むと暴力的になる父親を持つ娘の徳利が妖夷化したもの。可愛らしい姿をしているが、水や酒を取り込むことで巨大化する。 娘の「酒によって豹変する父親を見たくない」という気持ちに呼応し、酒蔵を破壊して回っていた。 放三郎は「酒→ヨッパライ→大トラ」という連想から、当初は「水虎」(すいこ)であると考えていた。 蝦蟇(がま) 西の者達が因幡沼の人達を妖夷化したもの。 二足歩行する巨大なガマガエルと言った風体だが、眼部が落書きの様な紋様となっている。 祇影(ぎえい) 印旛沼での事件で再び現世に絶望したアトルが生み出した妖夷。元閥曰く、安房に伝わる妖怪「赤えい」で西洋のレヴィアタンに相当する海竜らしい。 人魚(にんぎょ) 漫画版に登場。よく知られる人魚とは性質がやや異なっており、交わった男は体内に人魚の子を入れられ、不死と治癒能力を得るが、やがては人魚の子が腹を食い破ってしまう運命にある。 竜(りゅう) 物語において度々その名が登場する。元閥曰く、竜は天地の神であり天津神を現す物。 首(くび) 強力な竜。 駁竜(はくりゅう) 往壓とケツァルコアトルが融合した姿。 黄金の竜 駁竜が祇影を喰らい、更なる変化を遂げた姿。 百足(むかで) 前島聖天に祀られていた神の正体である巨大妖夷。朱松をはじめとする西の者達が、世の不条理を嫌うアトルを利用して復活させた。 元閥曰く、神話で蛇(竜)と争うものであり、朱松は国津神の守り神であったと推測している。 その身には徳川の世への恨みが満ちており、朱松は生まれる将軍家の子供に憑りつかせ、国を破壊しようと目論んでいた。 妖士達と鳥居によって仲間を全滅させられた朱松の鎧となり、異界へ逃げ込もうとしたが、妖士達の総攻撃により倒され、朱松共々消滅した。
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