奇士
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竜導 往壓(りゅうどう ゆきあつ) 声 - 藤原啓治 / 進藤尚美(少年時代) 本作の主人公。39歳。幼名を爽也(そうや)と言い、その当時に現世とは別の場所である「異界」に迷い込んだ際、森羅万象各々の持つ名前を漢字として取り出しそれに秘められた真の意味を引き出すことで己が力とすることが可能な、「漢神」(あやがみ)という特殊能力を得る。 町の人間からは「ゆき」と呼ばれる。左腕には、浮民の証である入れ墨が彫られており、自らに漢神を使用する時はそこから文字が出現し武器となる。生来は旗本の人間だったが、異界から戻って以降は何をしても満たされず、また異界に連れ戻される恐怖心から逃げていたため、結果的に全てを失ってしまう。浮浪者同然の生活をしていたが、漢神の能力を買われて蛮社改所に加わることとなった。過去に親友の雲七を殺めてしまい、罪悪心から漢神の能力で雲七を作ったが、それに関しての記憶は彼が自分にしか見えないと発覚するまで封じられていた。父親(声 - 黒田崇矢)がいる。 説五によると15年前は用心棒の浪人で、喧嘩・博打・女に手を出していた。 小笠原 放三郎(おがさわら ほうざぶろう) 声 - 川島得愛 20歳。若くして蛮社改所の頭取を務める。内田弥太郎の下で算学を学んだ優秀な蘭学者であるが、甲骨文字にも造詣が深い。冷静沈着で的確な判断力を持つ。鳥居に近い旗本・小笠原 貢(おがさわら みつぐ)の養子となることで蛮社の獄を免れた経緯から、自身の主張を押し殺して鳥居の指示を仰いでおり、友人である加納政之進を斬らなければならなくなるなど、鬱屈した生活を送っている。ただ、単なる堅物なタイプではなく、字は上手いが絵は下手だったり、剣術は好きではないが拳闘の腕は立つという面も持つ。 江戸 元閥(えど げんばつ) 声 - 三木眞一郎 日比谷の地下にあり、徳川家より古くから江戸を守っていたと言われる、前島聖天の神主。27歳。表に出る時は何故か女装をすることが多い。蘭学者達から押収した大砲などを使い、射撃の腕を活かして戦う。蛮社改所の面々中、最も妖夷の肉を好んで食べる。酒と女に関しては奔放な性格をしており、吉原遊廓では一目置かれる存在。愛称は「江戸元」(えどげん)。鋭いように見えるが、妖夷に化かされて泥の酒を飲まされたり、出番が少ない回ではアビと共に飲んだくれるような一面も見せる。 表向きの仕事として、下町でところてんのぼてふりに扮している。射撃の腕はここでも活かされており、路上から二階で皿を持って待つ客の所へ「天突き」でところてんを飛ばし、少しも零さず乗せられるほど。 自分を縛る前島聖天に祀られている地の神に対する好奇心から、西の者とも通じている。 宰蔵(さいぞう) 声 - 新野美知 歌舞伎小屋に生まれた14歳の少女。歌舞伎一座を生業としていた家を継がせるため、父親に男児として育てられ、普段の服装も元服前の少年のようなものである。男性的な言動が目立つが、酒の妖夷相手に服が透けたことを気にしていたことから、多少は女性としての自覚はあるらしい。 妖夷との戦闘時には、歌舞伎道具の扇子を主に使用して戦う。また、舞踏用の巫女服の姿になり、妖夷が好むとされる「神に捧げられた舞踏」(アメノウズメの舞。何故かフィギュアスケート似)を舞うことで妖夷を誘き出し、自身に惹き付けて鎮めることができる。小笠原に忠誠を尽くしているが、OVAではそこを付け込まれて長英に利用されてしまうことになる。 幼いころは父親に可愛がられていたものの、年を重ねる毎に女性特有の体型となっていく宰蔵に対し、「スラッとした、夢に出てくる様な若衆」が好みであった父親は、次第に歯牙にも掛けなくなってしまった。やがて芝居小屋周辺が火事に見舞われた際、宰蔵は火の手が迫っていることを父親に知らせるために芝居小屋へ駆け付けたが、舞台上で同一座の若い男性役者に心身ともに惚れ込んでいる父親の姿を目撃してしまい、愕然とする。宰蔵が火事の報告も忘れてその場から逃げ去ったことで、父親は火事場から逃げ遅れて帰らぬ人となった。この出来事が奇士となった後の宰蔵自身のトラウマや、説八-説十に出現した妖夷「無慈儺」(むじな)による被害を本格的に生む要因となってしまう。自分の名である「宰蔵」の「宰」の字に罪という意味が宿っていることに苦しむが、放三郎によって俗説であったと判明。本当の意味は「王を補佐する」であった。 吉原では奇士の中で一番人気の様子。話数が進むにつれ、表情のデフォルメ化等、ギャグ担当キャラクターの一面を覗かせる様になった。 アビ 声 - 小山力也 奇士の中で唯一、素手で戦う術を持つ男性。24歳。「山(サン)の民」の出身の巨漢。古代の獣の骨を削り出して作った槍を武器として戦う。また料理の腕にも長けており、妖夷の肉を鍋料理・焼肉・干物などに仕上げるのは彼の専門。かつて妖夷を神と崇めていたが、妖夷に姉・ニナイをさらわれたのをきっかけに山の民を抜けた(「神隠し」を参照)。その真相を知った後も、山の民には戻らず奇士を続けている。 ちなみに、アビという名はエミシの言葉で火山を意味する。日頃は山の民の知識を活かし、猫の蚤取りを表向きの生業としている。
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