奇士以外の者
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/06 06:55 UTC 版)
アトル 声 - 折笠富美子 メキシコで文明を築いたアステカ人の血を受け継ぐ、「メシカの民」の褐色の肌を持つ13歳の少女。テキサスに移住するも戦争に巻き込まれ、一族は全滅。メキシコに留まった支倉常長使節団の末裔に聞いた話から、日本にこそ自分の望んだ国があると希望を抱いて雪輪と共に海を渡るが、日本でも異国人であるが故に故郷同様の差別を受けてしまう。そんな日々の中、使節団の末裔の喋っていた日本語を必死に思い出してほぼ独学で日本語を学んだ結果、旅で出会った見世物小屋の一座で働き始める。その際は、肌の色を隠すために白塗を施し、亜馬(おうま)という偽名を使っていた。 後に往壓を始め奇士達と出会うが、当初は雲七を「ディアブローマ[要曖昧さ回避]」と呼び、その親友として付き合っていた往壓と共に嫌悪していた。しかし、雪輪の起こした事件をきっかけに奇士達とも和解に至り、江戸元閥の薦めで吉原に身を寄せている。なお、嬉野花魁曰く「預りもの」なので、客を取ってはいない。その後は、「ここに居ろ」と居場所を示してくれた狂斎の存在を気に掛けている。往壓に気があるようである。 雪輪(ゆきわ) アトルが連れている巨馬。「雪輪」の名は額の白い輪のような模様から。アトルからは「ケツアル」とも呼ばれている。かつてテキサスでアトルの一族が虐殺された際に絵画から飛び出た、異国の神とされるケツアルコアトルの普段の姿。本体は羽の生えた巨大な蛇のような姿で、全身を高速回転させて光る円盤と化し、その高速を活かした飛行や突撃が可能となる。鳥居に捕らえられ、遊兵の血を受けたことで本体に戻り暴走を始めるが、雲七と融合することで沈静化。再び雪輪の姿に戻った後は、雲七と意識を共有する存在となった。 ちなみに、雪輪の姿に戻った後も全身を光る円盤と化すことが可能で、ことあるごとにアトルや竜導を乗せて飛んでいる。また、雪輪のままで翼を生やした姿となって飛行することも可能である。 雲七(くもしち) 声 - うえだゆうじ 本名は七次(しちじ)。往壓とは馴染みの博打打ち。「雲七」という名の由来は、往壓とつるんでいた時分に、「あんたが“竜”で俺は“雲”」という馴れ合いの言葉遊びから来た渾名。常に賽子(サイコロ)を持ち歩き、突然現れては消えていく神出鬼没な人物。実は、往壓とアトルにしか見えない幽霊のような存在であり、アトルからは「テスカトリポカ」や「ディアブローマ」と呼ばれていた。その正体は、往壓が15年前に意図せず七次を殺めてしまった際、自分の犯した罪による自責の念により、知らず知らずの内に漢神の力を使って生み出した「雲」という字に「自分の記憶の中の七次」と「罪の記憶」を封じて、それを七次の亡骸に移したことによって具現化した、七次本人とは全く異なる別の存在であった。 河鍋 狂斎(かわなべ きょうさい) 声 - 高山みなみ / 星野充昭(40年後) 実在の人物。狩野派の絵師であり、妖怪画でも有名である。天保14年時点(14歳)ではまだ少年であり、甲斐 周三郎(かい しゅうざぶろう)の幼名を持っていたが、本人は既に「狂斎」と名乗り、周囲からもそう呼ばれていた。土井利位が藩主を務める古河藩の藩士の家に生まれたために、刀一式も一応は差している。絵師になるべく日々修行中の身であり、吉原には浮世見物という名目で入り浸っている。 初登場の説十三冒頭では、40年後の彼がジョサイア・コンドルと話していた。師匠と行った日光で竜(駁)を目撃し、玉兵の話から奇士の存在を知って興味を覚え、強い好奇心からもその仕事に顔を突っ込むようになる。言動には反骨精神や観察力が伺えるが、まだ歳相応の幼さを残している部分もあり、竜導にたしなめられることも。アトルを気に掛けている。
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