ウンウンエンニウム
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ウンウンエンニウム(羅: Ununennium)は、原子番号119にあたる超重元素の一時的な仮名(元素の系統名)である。この名称と記号はそれぞれ系統的なIUPAC名の記号であり、元素が発見され、確認され、恒久的な名前が決定されるまで使われる。周期表でフランシウムの一つ下に配置されることからエカフランシウム(羅: eka-francium)とも呼ばれる。2024年現在、発見報告例のない未発見元素のうち最も軽いものである。
- ^ R. W. Lougheed; J. H. Landrum; E. K. Hulet; J. F. Wild; R. J. Dougan; A. D. Dougan; H. Gäggeler; M. Schädel et al. (3 June 1985). “Search for superheavy elements using the 48Ca + 254Esg reaction” (PDF). Phys. Rev. C (New York: American Physical Society) 32 (5): 1760-1763. doi:10.1103/PhysRevC.32.1760. ISSN 0556-2813. OCLC 301567044 .
- ^ 鈴木志乃「3個目の113番元素を合成」(PDF)『理研ニュース』2013年1月号、理化学研究所、6-9頁。
- ^ “研究者インタビュー”. 113番元素特設ページ. 理化学研究所. p. 2. 2016年1月6日閲覧。
- ^ Ball, P. (2019). “Extreme chemistry: experiments at the edge of the periodic table”. Nature 565 (7741): 552–555. Bibcode: 2019Natur.565..552B. doi:10.1038/d41586-019-00285-9. ISSN 1476-4687. PMID 30700884.
- ^ a b c Sakai, Hideyuki (2019年2月27日). “Search for a New Element at RIKEN Nishina Center”. infn.it. 2019年12月17日閲覧。
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- 1 ウンウンエンニウムとは
- 2 ウンウンエンニウムの概要
- 3 性質
- 4 関連項目
ウンウンエンニウム
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ウンウンエンニウムの合成が初めて試みられたのは、1985年にカリフォルニア州バークレーにあるsuperHILAC加速器で、アインスタイニウム254の標的にカルシウム48イオンを衝突させて行われた。 25499Es + 4820Ca → 302119Uue* → no atoms 原子は確認されず,断面積(核反応を起こす割合を表す尺度)の限界は300nbとされた。後の計算では、299Uueと3個の中性子を生成物とする3n反応の断面積は、実際にはこの上限の60万分の1の0.5pbになるとされている。 ウンウンエンニウムは未発見の最軽量元素であり、ドイツとロシアによって合成実験の対象となった。 ロシアの実験は2011年に行われたが、結果は公表されず、ウンウンエンニウム原子が確認されなかったのではないかと考えられている。2012年4月から9月にかけて、ドイツのダルムシュタットにある重イオン研究所(GSI)で、バークリウム249を標的にチタン50を衝突させて295Uueと296Uueの同位体を合成する試みが行われた。 理論的に予測される断面積から、実験開始から5ヶ月以内にウンウンエンニウム原子が合成されると予想されていた。 24997Bk + 5022Ti → 299119Uue* → 296119Uue + 3 10n 24997Bk + 5022Ti → 299119Uue* → 295119Uue + 4 10n 当初、実験は2012年11月まで行われる予定であったが、テネシンの合成を確認するために249Bkのターゲットを利用するため(衝突させるイオンをチタン50からカルシウム48に変更)、早期に中止された。 この249Bkと50Tiの反応は、やや非対称であり、やや冷たい合成反応であるが、ウンウンエンニウムの生成に最も好ましい実用的な反応であると予測されていた(254Esと48Caの反応の方が優れているが、標的用にミリグラム量の254Esを準備するのは難しい)。とはいえ、「銀の弾丸」である48Caから50Tiへと変更する必要があり、ウンウンエンニウムの収量は核融合反応の非対称性に強く依存しているため、期待される収量は約20分の1になってしまう。 半減期が短いと予測されたため、GSIのチームはマイクロ秒以内に崩壊イベントを記録できる新しい「高速」機器を使用した。ウンウンエンニウム原子は特定されず、限界断面積は70fbと考えられる。予測される実際の断面積は約40fbであり、これは現在の技術の限界である。 ロシアのドゥブナにあるドゥブナ合同原子核研究所(JINR)のチームは、2019年に新しい実験複合体を用いて、249Bk+50Ti反応と249Cf+50Ti反応を用いたウンウンエンニウムとウンビニリウムの合成実験を開始することを計画した。日本の理化学研究所のチームも、248Cm+51Vの反応と248Cm+54Crの反応を用いて、248Cmを標的とし2018年からこれらの元素の試みを行うことを計画していた。前者は2018年6月から進行中である。
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