ウンカの場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/11/11 15:25 UTC 版)
ウンカについては、日本では稲作の害虫として古くからおそれられた。一般にウンカは小型でよく跳躍し、またよく飛ぶ昆虫であるが、中には羽根がないかごく短く、体が太ったものがあり、大発生の際にはこれが主力となった。繁殖力も特に強い危険な害虫としておそれられ、古くはダンゴウンカなどと呼ばれたものであった。これがトビイロウンカやセジロウンカなどの短翅型であり、同種であることは明治33年(1900)ころの向坂幾多郎と小貫晋太郎の飼育実験によって明らかになった。アブラムシと異なり、ウンカでは雌雄共に短翅型が出現するが、雄では出現する率がごく低い。体内の構造から見ると、短翅形では飛ぶための筋肉がほとんど退化しており、逆に歩くための筋肉はむしろ発達している。水田においては春に少数個体が侵入すると、それらは繁殖して短翅形を生じ、それらが数世代を繰り返すため水田の中にパッチ状に被害区域ができる(坪枯れと言う)。そこで次第に長翅型が生まれ、水田から外に出て越冬するようになる。ただし現在ではこのようなウンカ類は日本で越冬せず、東南アジアに起原をもって、飛来増殖するものと考えられている。そこでは翅多型は地域ごとの変異の問題としても論議研究されている。
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