生前退位とは? わかりやすく解説

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生前退位

読み方:せいぜんたいい

王位皇位などについて、存命中に地位を退くことを指す言い方

生前退位は「退位」の便宜的な言い方である。基本的に終身制の地位あり、かつ、ほとんどの場合逝去伴って後継者選ばれるような地位について、存命中に地位を退くという点を際立たせるために敢えて生前」の語が添えられている。

たとえば、オランダ王室では、生前退位は特段珍しいことではない。2013年1月には、オランダベアトリクス女王2013年4月をもって王位王太子ウィレム譲位する発表した。これは生前退位に相当するちなみに先代女王ユリアナも生前退位している。

2013年2月には、ローマ教皇ベネディクト16世が自ら退位表明したローマ教皇の生前退位はおよそ600年ぶりの出来事であり、極めて異例という。ベネディクト16世退位理由を、高齢に伴う身体の衰えとしている。

2016年8月には、天皇陛下退位意向を示す「お言葉」を公にされた。天皇崩御伴わず退位された事例は、2016年時点では江戸時代後期(約200年前)の光格天皇事例最後としている。

天皇陛下がお示しになった意向も、当初は「生前退位」の語をもって報じられた。ただし「生前」という表現もっぱら故人について言及する際に用いられる語であり、存命中の陛下について用いることは適切でないとの見解もあった。2010年10月末頃には、産経新聞は「譲位」、朝日新聞は「退位」の語に換えることを表明している。


関連サイト
象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば - 宮内庁
Queen Beatrix of the Netherlands to abdicate for son - The BBC News 28 January 2013
Queen Beatrix of the Netherlands abdicates in favour of son - The Guardian, Monday 28 January 2013
Pope Benedict gives last Sunday blessing at VaticanThe BBC News 24 February 2013
Pope Benedict XVI's shock resignation breaks '600-year taboo' - The Guardian, Monday 11 February 2013

譲位

(生前退位 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/20 16:36 UTC 版)

譲位(じょうい、旧字体: 讓位)は、君主が存命中の間に、その地位を後継者へ譲り渡す行為である。


  1. ^ 「退位」と「譲位」の使い分けは? 天皇陛下めぐる報道
  2. ^ 産経「譲位」に用語変更 朝日も「生前退位」不使用 他社は表記の混乱も
  3. ^ a b c 『週刊ダイヤモンド 2016 9/17 第104巻36号』ダイヤモンド社 61ページ
  4. ^ 日本書紀』によれば最初の譲位は継体天皇(第26代)から安閑天皇(第27代)であるが、継体天皇は即日に崩御したとされるため、譲位例に数えない場合もある。
  5. ^ 最初の譲位をした皇極天皇は、譲位後に皇祖母尊(すめみおやのみこと)という特別な尊号が定められている
  6. ^ ただし、この時代には天皇の在位中の崩御は禁忌とされていたため、新天皇への譲位・践祚の儀式が終わった後に、旧主(上皇)としての葬儀が行われている(井原今朝男『中世の国家と天皇・儀礼』校倉書房〈歴史科学叢書〉、2012年、168頁。ISBN 9784751744307NCID BB11267692全国書誌番号:22265921 
  7. ^ 伊藤博文 著 『皇室典範義解』 第十条
  8. ^ 坂本一登 著 『伊藤博文と明治国家形成―「宮中」の制度化と立憲制の導入』:180頁(文庫版:248頁) 「しかし、伊藤井上毅の意見を無視し、君位を君主の個人的な意思に委ねないという見地から、天皇の譲位それ自体を明白に否定したのである。」 (大久保啓次郎. “明治国家形成期における井上毅の事績~福澤諭吉の時代から井上毅の時代へ~” (PDF). 2014年7月16日閲覧。
  9. ^ 「高輪会議」における『皇室典範再稿(柳原前光内案)』逐条審議、伊藤決裁[第十二条(譲位)、第十五条(太上天皇)] : 皇室典範、皇族令、草案談話要録 (秘書官伊東巳代治、明治20年3月20日) は、小林宏・島善高編著『明治皇室典範〔明治22年〕上 : 日本立法資料全集本巻 16』(1996年5月26日発行、信山社出版)、梧印文庫研究会編著『梧陰文庫影印−明治皇室典範制定本史-』(1986年8月1日発行、國學院大學)、国立国会図書館憲政資料室所蔵「憲政史編纂会収集文書」に所収。
  10. ^ 島善高五味均平旧蔵「日本帝国皇室典範」について」『早稲田社會科學研究』第43巻、早稲田大学社会科学部学会、1991年10月、383-405頁、ISSN 0286-1283NAID 120000792979 
  11. ^ a b 自発的退位(譲位)の問題については、 [兵藤守男「皇位の継承」『法政理論』第40巻第2号、新潟大学法学会、2007年12月、125-160頁、ISSN 02861577NAID 110009004834 ] が詳しい。日本国憲法下において、譲位を認めるべきであるという意見は、皇室典範制定当初から現在に至るまで、様々な観点や理由から出されている。制定審議の代表例としては、第91回帝国議会貴族院本会議(昭和21年12月16日)での南原繁による質問演説(2016年7月18日閲覧)が挙げられる。
  12. ^ 明治の元勲・伊藤博文はなぜ譲位容認案を一蹴したのか? 「本条削除すべし!」 明治天皇に燻る不満「朕は辞表は出されず」 産経ニュース
  13. ^ 皇室典範 第四條
  14. ^ 幣原復員庁総裁・国務大臣答弁[貴族院]、金森国務大臣(憲法担当)答弁[衆議院貴族院]、田中文部大臣答弁[貴族院]。皇室典範案会議録一覧 - 国立国会図書館、日本法令索引。
  15. ^ 皇室典範に規定する事項に関する試案(金森国務大臣) - 国立公文書館 デジタルアーカイブ
  16. ^ 林(修) 法制局長官答弁 「これは一言で申しまして、天皇には私なく、すべて公事であるという考え方も一部にあるわけであります。やはり公けの御地位でございますので、それを自発的な御意思でどうこうするということは、やはり非常に考うべきことである。そういうような結論から、皇室典範のときに、退位制は認めなかったのであるということを、当時の金森国務大臣(註.第91回帝国議会衆議院本会議/昭和21年12月5日)はるるとして述べておられます。この問題は、実は皇室典範の審議されたときの帝国議会においては、皇室典範の論議の半分ぐらいを占めております。」 衆議院会議録情報 第31回国会 内閣委員会 第5号 昭和34年2月6日”. 国立国会図書館「国会会議録検索システム」. 2016年7月16日閲覧。
  17. ^ a b 象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば(平成28年8月8日)
  18. ^ 以上、石村貞吉『有職故実(上)』1987年。
  19. ^ 歴史上の実例」 宮内庁。
  20. ^ 重祚して斉明天皇として再即位した際は崩御まで在位した。
  21. ^ 重祚して称徳天皇として再即位した際は崩御まで在位した。
  22. ^ 実際は廃位
  23. ^ 実際は廃位。
  24. ^ 実際は廃位。
  25. ^ 実際は廃位。
  26. ^ 読売新聞朝刊2016年8月9日特別面p12
  27. ^ 「5月から検討加速 宮内庁幹部ら5人」毎日新聞2016年7月14日 15時00分
  28. ^ 天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議
  29. ^ 読売新聞 2016年12月1日
  30. ^ 天皇退位の特例法が成立 200年ぶりの生前退位へ - BBC 2017年6月9日
  31. ^ a b c 「天皇」有識者会議 摂政論には無理がある 毎日新聞2016年11月21日 東京朝刊
  32. ^ a b 陛下はなぜ「摂政」を望まれないのか 過去64例、設置理由「幼少」が最多
  33. ^ 天皇陛下退位ヒアリング 2回目の議事録公表
  34. ^ 石川健治「人間七十年」『法学教室』2016年10月号巻頭言参照
  35. ^ 天皇の生前退位 反対論者に共通するのは政治混乱への危惧
  36. ^ 天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議最終報告 参考資料」23ページ。
  37. ^ a b 皇室典範どこまで変えるべきか - 木村草太(首都大学東京教授)




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