超能力 フィクションとしての超能力

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超能力

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/11 03:54 UTC 版)

フィクションとしての超能力

超能力と魔法

超能力や魔法は、科学的な説明の難しい不思議な力とされることが多いが、その違いについては定義が決定されていないため、それは設定を作成する人間(著者や編集者)に委ねられる。一般的な日本語表現としては、「超能力」が現代から未来を舞台とする事が多いのに対し、過去や中世ファンタジー的な世界を舞台とした作品では「魔法」という語が使われることが多い。しかし明確な定義が定まっていないため、表現はまちまちである。

また超能力を主題とした作品の整合性について言及される際、上記の通り科学的に説明をしようとしても、どこかで疑似科学的な要素や嘘が入ることは避けられないため、原理説明の善し悪し(科学的に正しいかではなく、話として上手いか)によって作品の評価が変わることもある。

後天的な超能力

那由他」では「輪(ジャルン)」と呼ばれる頭飾りを装着する事で、才能に関係なく超能力を得ることができた。また『スパイダーマン』では、特殊な蜘蛛に噛まれる事によって、超人的な能力を得ていた。さらに、『とある魔術の禁書目録』では、脳の構造を変化させて「現実」から切り離して能力を発現させている。このように何らかの装置や薬品などの外的要因により、超能力を得られることをテーマにした作品も多い。また遺伝など先天性な要因、修行などの訓練による成果、それらを再現する科学装置による獲得など、複数の要因を同時に採用し、登場人物のバリエーションとするパターンもよく見受けられる。

新人類としての超能力者

超能力者が『ミュータント』や『新人類』として位置づけられることがある。その場合、超能力を持たない『旧人類』を弾圧しまた弾圧される、あるいは自分達を理解・受容しようとしない旧人類と決別して新天地を目指すなどの行動をとるストーリーは、『地球へ…』や『ガンダムシリーズ』などSF作品に多い表現である。

スティーヴン・キングディーン・R・クーンツは、現代の恐怖と結びつけた新しい超能力者像を描いた。これら人体を発火させたり破壊する映像は、しばしばスプラッター映画と結びついた。 超能力者は『常人と違う故に、畏れられ差別される』対象となり、超能力者は善悪にかかわらず、正体を隠さねばならないマイノリティである事が主軸のストーリーも多い。これらの表現はモダンホラーなど、SF考証よりも心理的恐怖を描いた作品によく見られる。

コミックスと超能力

予知能力、テレポーテーション、念動力など、細分化された能力と長所・欠点は、そのまま『個性』の表現となる。それぞれタイプの異なる超能力者(専門家)がチームを組む形式は、『X-MEN』や『ファンタスティックフォー』など、アメリカン・コミックスにおいては定番の表現である。

日本では1951年の『新世界ルルー』、1963年の『さるとびエッちゃん』、1965年の『ミュータント・サブ』などが嚆矢とされる。超能力による戦闘を描いた作品は、1968年の『地球ナンバーV-7』が初とされる[要検証]

また戦闘を描く事が多い少年漫画では、話が進行するに従って、敵がインフレーション的に強くなることがしばしば発生する。この状態を避けるため、勝敗が単なる破壊力だけでは定まらず、それぞれが持つ能力の「性質」や「使い方」に左右される「超能力バトル」形式が採用されることも多い。

美術的表現

大友克洋は『童夢』『AKIRA』などにおいて、『見えない力で破壊される壁や建物』や『球体に歪む空間』等、能力が行使された際の美術的な表現に着目し、後の漫画や映像作品に大きな影響を与えている。

荒木飛呂彦は、代表作の『ジョジョの奇妙な冒険』において、人間や動物、機械などを組み合わせたような「外見」をもつ超能力スタンドを、性質と外見の両面に個性を持った存在として表現した。スタンドの一部には「能力」でありながら、登場人物から独立した自我を備えているものがおり、「登場人物」とそれによって行使される「超能力」の中間という、新たなカテゴリーを生み出した。


注釈

  1. ^ 関連文献:今泉忠明『ネズミの超能力』講談社、1988
    ・小池卓二(2007)「特集「生物に見るハイパーセンサのメカニズム」に寄せて」『バイオメカニズム学会誌』2007年 31巻 3号 p.118, doi:10.3951/sobim.31.118
  2. ^ 「サイキッカー」 (psychicer) という呼称もあるが、これはあくまで和製英語である(そもそもpsychicという単語自体に「超能力者」という意味がある)。

出典

  1. ^ 広辞苑
  2. ^ a b c d e f 羽仁礼『超常現象大事典 永久保存版』 ISBN 978-4880861159 p.49
  3. ^ 三省堂「大辞林」第二版
  4. ^ a b c ロバート・キャロル懐疑論者の事典 上』 p.50(原著2003年)
  5. ^ a b ロバート・キャロル『懐疑論者の事典 上』p.52
  6. ^ 森達也『オカルト』角川書店
  7. ^ 松本浩一『中国人の宗教・道教とは何か』p.57
  8. ^ 松本浩一『中国人の宗教・道教とは何か』p.62
  9. ^ 松本浩一『中国人の宗教・道教とは何か』p.62-63
  10. ^ 土佐 桂子1996「ビルマにおけるウェイザー(超能力者)信仰の一考察 : ガインにとってのローキーとローコゥタラ」民族學研究、61(2) pp.215-242
  11. ^ 石川幹人2003「超心理学の哲学的背景」明治大学教養論集 374, pp.1-3
  12. ^ 『超常現象大事典』p.38
  13. ^ Carl Sagan, 1996The Demon-Haunted World : Science as a Candle in the Dark, 『カール・セーガン 科学と悪霊を語る』新潮社、1997年、p.227
  14. ^ Wagner,M.W., and M. Monnet. 1979 "Attitudes of College Professors Toward Extra Sensory Preception."Zetetic Scholar 5:7–16.
  15. ^ マイクル・シャーマー 著、岡田靖史 訳『なぜ人はニセ科学を信じるのか : UFO、カルト、心霊、超能力のウソ』早川書房、1999年、36頁。ISBN 4-15-208212-7 
  16. ^ a b “疑いの目で科学しよう「超自然現象」を検証”. 朝日新聞: p. 15. (1991年9月7日) 
  17. ^ a b c d e f g h 『超常現象大事典』p.42
  18. ^ マイケル・フリードランダー『きわどい科学』白揚社 p.226
  19. ^ a b c d マイケル・フリードランダー『きわどい科学』白揚社 p.227
  20. ^ 山本弘『超能力番組を10倍楽しむ本』楽工社、2007年p.275
  21. ^ 『カール・セーガン 科学と悪霊を語る』p.227
  22. ^ 判例時報1636号』78頁、『判例タイムズ942号』267頁
  23. ^ 日本弁護士連合会消費者問題対策委員会(編)『宗教トラブルの予防・救済の手引―宗教的活動にかかわる人権侵害についての判断基準』p86(教育史料出版会 1999年10月) ISBN 978-4876523702
  24. ^ a b 日本弁護士連合会消費者問題対策委員会(編)『宗教トラブルの予防・救済の手引―宗教的活動にかかわる人権侵害についての判断基準』p85(教育史料出版会 1999年10月) ISBN 978-4876523702
  25. ^ 梶本裕之、稲見昌彦、川上直樹、舘(東京大学大学院情報理工学系研究科)「触覚におけるオーグメンテッドリアリティの研究(第3報) -SmartSkin:電気触覚による皮膚感覚の実装 -」日本バーチャルリアリティ学会第7回大会論文集(2002年9月)






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