フルクトース 生化学

フルクトース

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/22 06:22 UTC 版)

生化学

フルクトースは、グルコースに比べ開環率が高く(約10倍も糖化反応に使われやすいため[10])、生体への毒性はグルコースよりも遥かに高い。この毒性を早く消す目的で、肝臓はグルコースよりもフルクトースを優先的に処理する[19]

フルクトースは、小腸から吸収されると、一定量までは速やかに小腸でグルコースに変換されて、門脈に入る[20]。グルコースに変換されなかったフルクトースは、門脈から肝臓に達し、肝細胞に入るとグルコースよりも速やかにフルクトキナーゼによりリン酸化されてフルクトース-1-リン酸を生成し、フルクトース-1,6-ビスリン酸を経て解糖系に入り、ピルビン酸を生成する。大量のフルクトースの摂取はピルビン酸の処理が追いつかず多量の乳酸を生じ乳酸アシドーシスを発症する場合がある。多量のフルクトースの摂取はピルビン酸を脱炭酸して多量のアセチルCoAを生じ、脂肪酸の合成に利用され、中性脂肪の生成を促進する。慢性的な中性脂肪の生成は高トリグリセリド血症をきたす。なお、空腹時には、フルクトースはフルクトース-1,6-ビスリン酸を経て糖新生に入り、66%がグルコースに変換されると言われる。また、グルコースは、門脈を経て肝細胞内に入るとリン酸化されてグルコース-6-リン酸となり、細胞内に留まることが可能となり、必要に応じて肝臓のグルコース-6-ホスファターゼによりリン酸が脱離されて再びグルコースになり細胞膜中を輸送されて肝静脈に放出される。これはグルコースの代謝量を調節するために重要であるが、フルクトースにはこのような調節機構がないことにより速やかに各種代謝が進行する[21]


  1. ^ Levulose comes from the Latin word laevus, levo, "left side", levulose is the old word for the most occurring isomer of fructose. D-fructose rotate plane-polarised light to the left, hence the name.[1].
  2. ^ Fructose - Merriam Webster dictionary
  3. ^ Hyvonen, L., & Koivistoinen, P (1982). “Fructose in Food Systems”. In Birch, G.G. & Parker, K.J. Nutritive Sweeteners. London & New Jersey: Applied Science Publishers. pp. 133–144. ISBN 0-85334-997-5 
  4. ^ 20°Cでの溶解度は375.0 g/100g H2O、40°Cでは538.0 g/100g H2Oである。
  5. ^ Wolfgang Wach "Fructose" in Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry 2004, Wiley-VCH, Weinheim.doi:10.1002/14356007.a12_047.pub2
  6. ^ Fruton, J.S. Molecules of Life 1972, Wiley-Interscience
  7. ^ フルクトース(果糖)の構造”. 2011年4月12日閲覧。
  8. ^ McWilliams, Margaret. Foods: Experimental Perspectives, 4th Edition. ISBN 0130212822 
  9. ^ Keusch, P. “Yeast and Sugar- the Chemistry must be right”. 2011年4月12日閲覧。
  10. ^ a b McPherson JD, Shilton BH, Walton DJ (March 1988). “Role of fructose in glycation and cross-linking of proteins”. Biochemistry 27 (6): 1901–7. doi:10.1021/bi00406a016. PMID 3132203. 
  11. ^ Dills, WL (1993). “Protein fructosylation: Fructose and the Maillard reaction”. Journal of Clinical Nutrition 58: 779–787. 
  12. ^ Huber, G. W.; Iborra, S.; Corma, A. Chem. Rev. 2006, 106, 4044 - 4098. doi:10.1021/cr068360d
  13. ^ a b Fructose in our diet: http://www.medbio.info/Horn/Time%201-2/carbohydrate_metabolism.htm last visited 2008-12-28
  14. ^ a b Hanover, LM; White, JS (1993). “Manufacturing, composition, and application of fructose”. Journal of Clinical Nutrition 58: 724s-732. 
  15. ^ Oregon State University. "Sugar Sweetness". Last accessed May 5, 2008. http://food.oregonstate.edu/sugar/sweet.html アーカイブ 2008年5月16日 - ウェイバックマシン
  16. ^ JAMA 2013 Jan 2; 309:63.
  17. ^ “クスリ”としての砂糖”. 独立行政法人農畜産業振興機構. 2017年7月8日閲覧。
  18. ^ 砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律 - e-Gov法令検索
  19. ^ 山内俊一「糖質ー特にフルクトースに関してー」『痛風と核酸代謝』第34巻第2号、日本痛風・核酸代謝学会、2010年、 219-、 doi:10.6032/gnam.34.219
  20. ^ Jang, Cholsoon; Hui, Sheng; Lu, Wenyun; Cowan, Alexis J.; Morscher, Raphael J.; Lee, Gina; Liu, Wei; Tesz, Gregory J. et al. (2018-2). “The Small Intestine Converts Dietary Fructose into Glucose and Organic Acids” (英語). Cell Metabolism 27 (2): 351–361.e3. doi:10.1016/j.cmet.2017.12.016. https://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S1550413117307295. 
  21. ^ 高橋隆一 [解説]高カロリー輸液施行中に認められるアシドーシス


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