ファジーネーブル
ファジーネーブルとは
ファジーネーブル(fuzzy navel)は、桃(ピーチ)リキュールにオレンジジュースを加えて作られるカクテルの一般的な呼び名。「ピーチツリー」という銘柄のオランダのピーチリキュールがカクテルのベース(基酒)の定番となっており、「ピーチツリー・オレンジ」と呼ばれることもある。ファジーネーブルは、桃の円やかな甘さと柑橘系の爽やか甘さが相まって、フルーティーで飲みやすい。アルコール度数も数パーセント程度と低めにでき、アルコールが苦手な人にも飲みやすい。材料も揃えやすく、ビルド(直接グラスに注いで作る方法)で上手に作れる。ベースや割り材を変えれば「スクリュードライバー」や「オレンジブロッサム」などにもできる。
なお、「ファジーネーブル」という名称は、キリンホールディングス株式会社の登録商標である。
ファジーネーブルの作り方
ピーチリキュールとオレンジジュースの割合は、特に決まっていない。味わいやアルコール度数の高低に応じて、半々(50:50)で作ってもよいし、1:4 程度の比率にしてもよい。ファジーネーブルの由来
ファジーネーブルは1980年代のアメリカで考案され流行し、定着したカクテルとされる。ファジー(fuzzy=毛羽立っている)が「桃」を意味し、ネーブル(navel)は navel orange すなわち「オレンジ」を意味する、という解釈が定説となっている。ただし異説もある。たとえば「fuzzy」を「曖昧な」という意味と捉え、ピーチとオレンジの味が綯い交ぜになって判別しがたいさまを指している、といった解釈もある。
ファジーネーブルと「ピーチツリー・オレンジ」の関係
ピーチリキュールに「ピーチツリー」を使ってファジーネーブルを作った場合、そのカクテルは勿論「ファジーネーブル」であるが、「ピーチツリー・オレンジ」と呼ばれることもある。この「ファジーネーブル」と「ピーチツリー・オレンジ」は同義である。ただし、ファジーネーブルは必ずしも「ピーチツリー」リキュールを使用したカクテルに限って用いられる呼び名とは限らない。どのような銘柄のピーチリキュールを使っても「ファジーネーブル」と呼べる。
「ピーチツリー」以外のピーチリキュールを使って作ったファジーネーブルを「ピーチツリー・オレンジ」と呼ぶことは基本的にない。
材料がファジーネーブルに近いカクテル
ピーチリキュールをジンに変える(オレンジジュースでジンを割る)と「オレンジブロッサム」になる。オレンジジュースでウォッカを割ると「スクリュー・ドライバー」となる。
オレンジジュースで香草リキュール「カンパリ」を割ると「カンパリオレンジ」になる。
ファジーネーブル
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まだ、少年や少女の気分が心の中で揺らいでいる、ファジー(あいまい)な時間を過ごしている方におすすめしたい、アメリカで爆発的にヒットしたカクテル。ピーチのやさしい香りとオレンジのフレッシュさがおいしくミックスされ、フルーティーな甘い口当たりがたまらない。アルコール度数も低めで、お酒があまり強くない方にもおすすめのカクテル。 「ルジェ クレームドぺシェ」は、地中海の明るい陽光のもとで育った、南フランスの黄桃だけで作ったピーチリキュール。まろやかな甘さとフレッシュな香り。添加物をいっさい加えていない自然のおいしさ。アメリカで大流行したことはご存じのとおり。オン・ザ・ロックでカクテルで幅広く活躍してくれる。 |
ファジー・ネーブル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/24 15:32 UTC 版)
ファジー・ネーブル | |
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基本情報 | |
種別 | ロングドリンク |
作成技法 | ビルド |
色 | 橙黄色 |
グラス |
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度数 | 5.4度[1] |
レシピの一例 | |
ベース | ピーチ・リキュール |
装飾材料 | カット・オレンジ或いはスライス・オレンジ |
備考 | データはロングドリンクとして作られる場合のものを掲載。 |
ファジー・ネーブル (Fuzzy navel)は、リキュールベースのカクテルである。ショートドリンクとしても、ロングドリンクとしても作られる。作り方が簡単で、ビルドで作る(グラスに直接作る)ことができるので、ホームパーティ向きのカクテルともされる。なお、ピーチ・リキュールは、好みのものを選択すればよい。
由来
- 「ファジー(Fuzzy)」は日本語で「産毛(この場合は桃の皮の表面の毛)」のことを指すほか、ここでは「曖昧」という意味もあり、「桃なのかオレンジなのかわからない曖昧な味」としてつけられている[2]。
- 「ネーブル(Navel)」は日本語で「へそ(この場合はモモやオレンジの果頂部)」のことを指すほか、ここではネーブルオレンジのことを指している[2]。
歴史
ファジー・ネーブルの材料の一つとして使われることもあるピーチツリー(Peachtree)は、オランダのデ・カイパー社のピーチ・リキュールである。同社は、ピーチツリーを宣伝するために「ピーチツリー・トニック」というカクテルを提案していた。ピーチツリー・トニックとは、その名の通り、ピーチツリーのトニック・ウォーター割りである(詳しくは、バリエーションの項目を参照)。デ・カイパー社は、この飲み方を、ピーチツリーを発売した当初から薦めていた。このピーチツリー・トニックというカクテルは、1980年代のアメリカで流行し、ピーチツリーの人気も不動のものとなった。しかし、その後「ファジー・ネーブル」が考案され、ピーチツリー・トニックよりもファジー・ネーブルの方が人気の高いカクテルとなった。先述の通り、ファジー・ネーブルに使用されるピーチ・リキュールは、ピーチツリーに限定されない。だが、このような経緯があるため、ピーチ・リキュールはピーチツリーに限定するとするレシピも存在する。
標準的なレシピ
- ピーチ・リキュール(ピーチツリー/Peachtree、クレーム・ド・ペシェ) = 30ml
- オレンジ・ジュース = 30ml
作り方
氷を入れた小型のオールド・ファッションド・グラス(容量120~180ml程度)に、ピーチ・リキュールを注ぎ、次にオレンジ・ジュースを注いでからステアすれば完成である。ただし、グラスにオレンジ(カット・オレンジ或いはスライス・オレンジ)を飾ることもある。また、ロングドリンクとして作る場合も同様であるが、グラスはタンブラー(容量300ml程度)など、ショートドリンクとして作る場合よりも容量の大きなものを用いる。なお、オレンジ・ジュースは、その場でオレンジを絞ったものを使用するのがベストであるが、市販のジュースを用いてもよい。特にホームパーティなどで作る時は、市販のジュースを用いた方が簡単である。ただしその場合でも、果汁100%のオレンジ・ジュースを用いるのが一般的である。
備考
- 好みによって割合は変えることがある。特にロングドリンクとして作る場合は、オレンジ・ジュースでグラスを満たすので、アルコール度数は低くなる。アルコール度数が低くなりすぎる場合は、ピーチ・リキュールを増量して対応する。なお、ロングドリンクとして作る場合のピーチ・リキュールの使用量は、45mlを標準とする。この点は、後述の「ピーチツリー・トニック」の標準的なレシピと同じである。
- ショートドリンクとロングドリンク、いずれの場合もオレンジを飾ることもある。
- ピーチ・リキュールは、別にピーチツリーでなくともよい。ちなみにピーチツリーは無色透明なので、ピーチツリーを使った場合は、オレンジ・ジュースの色で仕上がりの色が決まる。
バリエーション
ピーチ・リキュールは「ピーチツリー」を使用し、ロングドリンクとして作った「ファジー・ネーブル」のオレンジ・ジュースをトニック・ウォーターに変えると、「ピーチツリー・トニック」(Peachtree and Tonic)となる。
標準的なレシピ
- ピーチツリー = 45ml
- トニック・ウォーター = 適量
- レモン (飾り用)
作り方
氷を入れたタンブラー(容量300ml程度)にピーチツリーを注ぎ、よく冷やしたトニック・ウォーターで満たす。最後にレモンを飾れば完成である。
注意
ファジー・ネーブルとは違い、
- ピーチツリーを使用しなければならない。
- オレンジではなく、レモンを飾る。
その他のバリエーション
ショートドリンクとして「ファジー・ネーブル」を作った場合
- ピーチ・リキュールをジンに変えれば、「オレンジ・ブロッサム」となる。
- ジン:オレンジジュース=2:1のレシピが多いが、ファジー・ネーブルと同様、好みによって割合は変えることがある。
ロングドリンクとして「ファジー・ネーブル」を作った場合
ピーチ・リキュールを
- カンパリに変えれば、「カンパリ・オレンジ」となる。
- マリブに変えれば、「マリブ・ビーチ」となる。(オレンジ以外に、マラスキーノ・チェリーも飾ることがある。)
- マリブ以外のココナッツ・リキュールに変えた場合は、「ココナッツ・オレンジ」と呼ばれる。
- アマレットに変えれば、「イタリアン・スクリュー・ドライバー」となる。
- ウォッカに変えれば、「スクリュー・ドライバー」となる。
- ウォッカに変え、そこに2tspのガリアーノを加えれば、「ハーベイ・ウォールバンガー」となる。
関連項目
脚注
- ^ 桑名 伸佐 監修 『カクテル・パーフェクトブック』p.208 日本文芸社 2006年2月25日発行 ISBN 978-4-537-20423-0
- ^ a b TPO別カクテルBOOK 315 ISBN 978-4415071244
参考文献
![]() | 出典は列挙するだけでなく、脚注などを用いてどの記述の情報源であるかを明記してください。 |
- 福西 英三 『カクテルズ』 ナツメ社 1996年9月1日発行 ISBN 4-8163-1744-9
- 澤井 慶明 監修 『カクテルの事典』 成美堂出版 1996年12月20日発行 ISBN 4-415-08348-X
- 上田 和男 『カクテル』 西東社 2001年3月15日発行 ISBN 4-7916-0994-8
- 桑名 伸佐 監修 『カクテル・パーフェクトブック』 日本文芸社 2006年2月25日発行 ISBN 978-4-537-20423-0
- 上田 和男 監修 『カクテル・ハンドブック』 池田書店 1997年7月31日発行 ISBN 4-262-12007-4
- 上田 和男 『カクテル Handy Book』 西東社 2001年3月15日発行 ISBN 4-7916-0977-8
固有名詞の分類
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