【Bo105】(びーおーいちまるご)
MBB Bo105
西ドイツのメッサーシュミット・ベルコウ・ブローム(MBB)社(現ユーロコプター)が開発・製造した軽量双発ヘリコプター。
ベルコウ社が1962年に開発を始めたが、間もなくメッサーシュミットやブローム・ウント・フォス(Blohm + Voss)の航空機部門と合併し、MBBの製品となった。
初飛行は1967年で、1970年に型式証明を取得した。
本機の特徴は信頼性を重視して、5人乗りの小型機でありながらアリソン250ターボシャフトを双発で搭載したことである。
これにより、後にライトツインと呼ばれるものの始祖的存在となった。
また、ローターブレードをガラス繊維強化樹脂製にし、ローターハブを無関節のリジッドローターにするなど、ローターも当時としては非常に先進的なものであり、操縦応答性がよく機動性に優れている。
さらに小型のシングルローター機でありながら、胴体後部のテイルブーム下にクラムシェルドアを備え、担架などの積み下ろしが容易である(現代では多くの小型ヘリがこれに倣っている)。
発展型としてBo108が開発されていたが、アエロスパシアルとの合併によりフェネストロンが追加されることとなり、EC135へ改称された。
スペックデータ
乗員 | 2名+兵員3名 |
主ローター直径 | 9.84m |
全長 | 11.86m |
胴体長 | 8.56m |
全高 | 3.02m |
回転円盤面積 | 76.1㎡ |
空虚重量 | 1,688kg |
離陸重量 | 2,380kg(HOT×6発搭載時) |
最大離陸重量 | 2,500kg |
エンジン | アリソン 250-C20Bターボシャフト(推力313kW)×2基 |
速度 (最大/経済巡航) | 131kt/110kt |
海面上昇率 | 445m/min |
実用上昇限度 | 5,200m |
ホバリング高度限界 | 3,200m(IGE)/2,100m(OGE) |
航続距離 | 550nm(フェリー時)/350nm(HOT×6発搭載時) |
兵装 | FIM-92、HOT、BGM-71等 |
派生型
- Bo105A:
初期生産型。エンジンはアリソン 250-C18を搭載。
- Bo105C:
エンジン強化型。アリソン 250-C20を搭載。
- Bo105CB:
エンジンをさらに強化した小型観測/多用途輸送型。
エンジンはアリソン250-C20Bを搭載。
- Bo105CBS:
多用途輸送型。
救命救急医療活動向けにキャビンを25cm延長している。
- Bo105CBS-5:
CBSの捜索救難型。
- Bo105D:
英国向けの洋上運用モデル。
- Bo105LS A1:
CBSのエンジンやトランスミッションをさらに強化し、高温・高地に対応した型。
エンジンははアリソン 250-C28Cを搭載。
- Bo105LS A2:
A1の最大離陸重量を2,00kgに増大したモデル。
- Bo105LS A3「スーパーリフター」:
CBS-5にBK117C-1のテイルローターを組み合わせて揚力を強化し、最大運用重量を2,850kgまで増大、機外吊り下げ能力を強化したモデル。
- EC-スーパーファイブ:
CBSベースの民間型。
- Bo105P:
アウトリガーにHOTを装備するドイツ陸軍向けの対戦車型。軍呼称はPAH-1。
- PAH-1A1:
Bo105Pの改良・改修型。
- PAH-1 フェーズ2:
西ドイツ陸軍向け夜間攻撃型の提案モデル。
- BSH:
西ドイツ陸軍向け護衛型の提案モデル。スティンガーAAMを搭載。
- Bo105M:
PAH-1の連絡・観測改修型。軍呼称はVBH。
- Bo105/オフェリア:
試験・評価用モデル。メインローター上に照準器機を搭載。
- Bo105ATH:
スペイン陸軍向け対戦車ヘリコプター型。
- Bo105GSH:
スペイン陸軍向け武装偵察ヘリコプター型。
- Bo105LOH:
スペイン陸軍向け観測ヘリコプター型。
- Bo105MSS:
海事モデル。捜索レーダーを搭載。
- NBO-105:
ITPN社でのライセンス生産型。
- NBO-105S:
胴体延長モデル。
- BO105 エグゼキュテエア:
ボーイング・バートルとカールソン・ヘリコプターによるライセンス生産型。
胴体を24.5cm延長している。
- BO105E4:
Bo105Pの性能向上型。
Photo:MASDF
PAH-1(Bo105P)
MBB Bo 105
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/06 15:08 UTC 版)
MBB Bo 105
MBB Bo 105は、 西ドイツ、シュトゥットガルトのベルコウ(Bölkow)社で開発された小型の双発多用途ヘリコプターである。生産はメッサーシュミット・ベルコウ・ブローム(MBB)社時代に始まり、同社は1991年にユーロコプター(現エアバス・ヘリコプターズ)社になった。ユーロコプター社はBo 105の生産を2001年まで続け、その後はEC 135がこれに代わった。
開発
Bo 105Aは1967年2月16日に西ドイツのオットブルンでMBB社のテストパイロット ヴィルフリート・フォン・エンゲルハルト(Wilfried von Engelhardt)の操縦で初飛行を行った[1]。西ドイツ民間航空局は1970年10月13日にBo 105に型式認証を与え、その後まもなくドイツ国内の民間と法執行機関向けの生産が始まった。アメリカ合衆国からの注文に応じて、より安全基準の厳しいFAAの型式認証が1972年4月に取得された。
1972年にBo 105Cが開発され、ドイツ連邦国防省はこのモデルを軽観測ヘリコプターに選定し1977年に100機を購入した。ほぼ同じ頃に西ドイツ陸軍は、HOT対戦車ミサイルを装備したBo 105PAH-1という名称の対戦車専門の機種を調達した。結局、総計212機のBo 105が納入された。
1976年により高出力のアリソン 250-C20Bエンジンを搭載したBo 105CBが開発され、更にこの機種からアメリカ市場での救命救急医療活動の要求に合致するように胴体を10インチ延長したBo 105CBSが開発された。この機種はアメリカではBo 105 ツインジェットとして知られるようになった。
1984年にはBo 105CBSの胴体を拡大し、より高出力のアリソン 250-C28Cエンジンを搭載することにより最大離陸重量を増大したBo 105LSが開発された。
2001年に1,406機が生産された後でBo 105の生産は終了し、より近代的なユーロコプター EC 135にとって代わられた[2]。
Bo 105は民間市場に投入された初めての小型双発ヘリコプターであり、洋上での運用と同様に地方自治体(警察、救急医療/救命搬送)での運用に広く浸透した。
設計
Bo 105は無関節型の複合材製4枚ブレードのメインローターにより高い運動性をもっており、レッドブル USAで宣伝活動のために使用されていたBo 105CBSは、宙返り、横転(ロール)、インメルマンターンなどの通常は固定翼機のみが実施できると考えられていた高い運動性を見せ、完全な曲技飛行を行った[3][4]。油圧系、電気系、燃料系、潤滑油系など全ての重要装備は完全な冗長性を持つように設計されている。
派生型
西ドイツ陸軍で使用された派生型はBo 105PとBo 105M。
- Bo 105A
- アリソン 250-C18エンジン搭載の最初の生産モデルで主に民間で使用。
- Bo 105C
- 1972年に開発されたアリソン 250-C20エンジン搭載の初期モデル。
- Bo 105CB
- 1976年に開発されたアリソン 250-C20Bエンジン搭載の小型観測、多用途輸送モデル。
- Bo 105CBS
- 救命救急医療活動向けに胴体を10インチ延長した多用途輸送モデル。
- Bo 105CBS-5
- Bo 105CBSの捜索救難モデル。
- Bo 105D
- 英国認証の洋上運用モデル。
- Bo 105LS A1
- 1984年に開発されたアリソン 250-C28Cエンジン搭載の胴体延長モデル。
- Bo 105LS A3
- 1986年に開発された最大離陸重量を2,600kgまで増大したモデル。
- Bo 105LS A3 "スーパーリフター"
- 1995年に開発された最大運用重量を2,850kgまで増大したモデル。

機体左右のチューブにHOT対戦車ミサイルを装備する
- Bo 105P/PAH-1
- 西ドイツ陸軍での名称を"PAH-1"、その能力向上型を"PAH-1A1"(PAH=Panzerabwehrhubschrauber;「対戦車ヘリコプター」)という有線誘導式HOT対戦車ミサイルで武装した対戦車攻撃ヘリコプター。大部分は新しい多目的攻撃ヘリコプターのユーロコプター ティーガーに改編されつつあるが、残存機はその機体寿命が尽きるまで引き続き現役で使用されている。対戦車攻撃任務を解かれた機体は武装を外しVBHモデルまでダウングレードされる。
- Bo 105P/PAH-1A1
- 西ドイツ陸軍向けのHOT対戦車ミサイルを6基搭載した対戦車攻撃ヘリコプターの改良モデル
- Bo 105P/PAH-1 フェーズ 2
- 西ドイツ陸軍向けの夜間攻撃型の提案モデル。
- Bo 105P/BSH
- 西ドイツ陸軍向けのスティンガー空対空ミサイルで武装した護衛型の提案モデル。
- Bo 105M
- 西ドイツ陸軍での名称を"VBH"(Verbindungshubschrauber;「連絡ヘリコプター」)という小型輸送、偵察ヘリコプター。これらは武装を外され改造されたPAH-1により更新される。
- Bo 105ATH
- スペイン陸軍向けの対戦車攻撃モデル。
- Bo 105GSH
- スペイン陸軍向けの武装偵察モデル。
- Bo 105LOH
- スペイン陸軍向けの観測モデル。
- NBO-105
- 1976年からITPN社でMBB(現ユーロコプター)社からのライセンスで生産されたモデル。ローターとトランスミッションのみはドイツから供給されている。オリジナルはNBO-105 CBだが101機目から現在までは胴体延長型のNBO-105 CBS。
- NBO-105S
- 胴体延長モデル。
- BO 105 エグゼキュテエア(Executaire)
- アメリカでの小型ヘリコプターの市場に参入することを意図してエグゼキュテエアの名称でボーイング・バートルとカールソン・ヘリコプターによりライセンス生産された24.5cm胴体を延長したモデルだが、販売は不振であった[5][6]。
- Bo 105E-4
- 1,000万ユーロの契約でドイツ連邦陸軍の12機のBo-105Pに性能向上とオーバーホールが施され、2006年に最初の1群がアルバニアに提供された。これらの機体は性能が向上し、より高性能の電子装備を搭載していた。ドイツ連邦軍のその他のBO-105の性能向上が将来の販売を目して考慮されている[7]。
- EC-スーパーファイブ(Super Five)
- Bo 105CBSの高性能モデル。
運用
軍用
民間
- Aerocardal
- LASSA, Línea de Aeroservicios S.A.
性能・主要諸元
(Bo 105)

- 定員:乗員1名または2名
- 乗客:4名
- 全長:11.86m(38ft11.2in)
- 全幅:9.84m(32ft3.3in)
- 全高:3.00m(9ft10in)
- 空虚重量:1,301kg(2,868lb)
- 有効搭載量:1,199kg(2,643.34lb)
- 最大離陸重量:2,500kg(5,511.55lb)
- 主回転翼直径:10.70m(35.1ft)
- 円板面積:89.9m²(968ft²)
- 発動機:アリソン 250-C20B 2基, 420shp(308kW)
- 超過禁止速度:242km/h=M0.20(131knots)
- 航続距離:564km(304nm)
脚注
出典
- ^ a b c “Bölkow Bo 105”. History of EADS. 2007年3月10日閲覧。
- ^ Eurocopter Press Release - Eurocopter celebrates the 40th Anniversary of the Maiden Flight of the BO105
- ^ http://www.redbullusa.com/#page=ArticlePage.1165622311204-62961151.0
- ^ YouTube - Red Bull Helicopter does back flips!
- ^ “Messerschmitt-Boelkow-Blohm Bo-105”. All the World's Rotorcraft. Maksim Starotsin. 2007年4月28日閲覧。
- ^ “MBB (Eurocopter) Bo105”. WaffenHQ.de (German language for "WeaponHQ"). 2007年4月28日閲覧。 translated from German by Google translate
- ^ EADS N.V. - Eurocopter to deliver 12 BO 105 helicopters to the Albanian Defense Ministry
- ^ The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2023-02-15) (英語). The Military Balance 2023. Routledge. p. 72. ISBN 978-1-032-50895-5
- Apostolo, Giorgio (1984). The illustrated encyclopedia of helicopters. New York: Bonanza Books. ISBN 0-517-43935-2
外部リンク
- Eurocopter history on Bo 105
- Airliners.net info on Bo 105
- Bo 105 info from Federation of American Scientists
- Lahak Aviation Ltd. Israel Bo-105 EMS and VIP Operator
- Bo 105 Photos and Walk Arounds on Prime Portal
- Video of a Bo 105 doing aerobatics including rolls and loops
- Red Bull Aerobatic Helicopter to Perform at EAA AirVenture 2008
関連項目
「MBB Bo 105」の例文・使い方・用例・文例
- 私たちのほとんどが18 日にBorneセンターでの展示会に出席するので、その日に予定されている会議を20日に延期しました。
- 6 月4 日―Mertonスタジアムの取り壊しに伴い、6 月15 日から3 週間に渡り、Central通りとMerton通りの間と、9 番通りと11 番通りの間の全区域が通行止めになると、Bordertown交通局(BTA)が火曜日に発表した。
- Bookは日本語で「ホン」といいます。
- 私は、いつか、X-Boxを体験したいと思っています。
- 私はX-Boxを体験したいと思っています。
- Boston Dynamicsのロボット「RHex」は、いろんな地形を走れるすごいやつです。
- 創世記のBookでノアの時間起こっていると言われているすごい大洪水
- 輝かしい赤の、または、紫色の花の包葉を持っている類概念Bougainvilleaのいくつかの南米の装飾用の樹木の茂ったつる植物のいずれも
- 紅組(女性チーム)の新顔には島谷ひとみさん,中島美(み)嘉(か)さん,そしてBoAさんが含まれる。
- アップルはまた,iPadで電子書籍を買って読むことができるようになる新しいアプリケーション「iBooks(アイブックス)」も発表した。
- しかし,iBooksのサービスは当初は米国内でしか利用できない見込みだ。
- 株式はトリガー価格の一株当たり$105にて売却処分された。
- 残余財産分配請求権は会社法第105条に規定されている株主の権利である。
- その会社の株価は2000年の105円から2010年末には60円まで下落しました
- 一ヶ月につき、105円いただきます。
- 内線 105 番をお願いします.
- 順序を数える際の序数105
- 紀元1054年の最初に見つけられた超新星の残り
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ヘリコプター |
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