画像診断
(画像所見 から転送)
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画像診断(がぞうしんだん)とは、電離放射線(X線など)、超音波、核磁気共鳴などを用いて、主として疾患による形態上の変化を画像化し、診断することである。 放射線診断ともいう。詳しくは、 放射線診断学を参照。
定義
広義の場合、放射線診断のみでなく、内視鏡検査や眼底カメラなど器官を可視光線の元で撮影を行い、その画像を診断する方法も画像診断の範囲に含めることもある。
一方、診療報酬点数表上での、「画像診断」の項目の範囲は、エックス線診断(X線撮影、血管造影など)と、核医学診断(シンチグラフィ、PETなど)、 コンピュータ断層撮影診断(CT、MRIなど)の3診断方法のみである。超音波検査や内視鏡検査などは「検査」の項目になり、「画像診断」の項目には含まれない。
関連項目
外部リンク
画像所見
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 04:19 UTC 版)
CT X線CTでは、脳出血との鑑別、正中構造の偏位など圧排所見、広範囲な初期(早期)虚血変化(early CT sign)の確認ができる。脳出血ではよほど小さなものでない限り超急性期から血腫が明確な高吸収域として確認できる。early CT signはCTの撮影条件によって判定が困難になることから「rt-PA(アルテプラーゼ)静注療法適正治療指針」ではCT撮影条件の標準化が行われている。early CT signには脳虚血を示すものと血管の閉塞を示すものが知られている。細胞性浮腫は発症1時間前後で血管原性浮腫は発症3時間程度で認められることが多い。 early CT sign所見意義病態レンズ核の不明瞭化レンズ核と内包の境界が不明瞭となるが島皮質との境界は明瞭 中大脳動脈領域の虚血 細胞性浮腫 島皮質の消失島皮質と皮質下の境界が不明瞭となる 中大脳動脈領域の虚血 細胞性浮腫 皮髄境界の不明瞭化皮質と皮質下の境界が不明瞭となる 中大脳動脈領域の虚血 細胞性浮腫 脳溝の消失脳溝が狭小化する 中大脳動脈領域の虚血 血管原性浮腫 hyperdense MCA sign中大脳動脈M1が高吸収を示す 中大脳動脈M1の閉塞 血管閉塞 MCA dot sign中大脳動脈M2が高吸収を示す 中大脳動脈M2の閉塞 血管閉塞 脳虚血がMCA領域の1/3を超えるとき(1/3MCA領域)は血栓溶解療法の治療適応外となるため、近年では初期虚血変化有無の判定が重要となっている。MCAの領域はASPECT法で計算される。ASPECT法では基底核視床レベルと側脳室レベルの2スライスを用いて減点法でスコアリングする。early CT signが全くなければ10点であり、全てに認められれば0点となる。最もよい適応はASPECTにて8点以上の例であり、ASPECT2点以下は3点以上と比較して4倍以上出血のリスクが高いとされている。 やや時間が経過すると、壊死した脳の腫脹がみられることがある。そして、壊死した組織は発症数日すると軟化してCT上暗くなるが、これらの所見はどれも発症急性期にははっきりしないものである。 MRI MRIではより早期から所見を捉えることができる。T2強調画像で病変が高信号になる(細胞の腫脹をみている)のが発症約6時間でみられるほか、拡散強調画像 (DWI) では高信号を約3時間後から認めることができるとされる。概念上はDWIにて高信号を示している部位はすでに不可逆的な変化を示していると考えられており、その周囲に可逆的な部位であるペナンブラが存在すると考えられている。しかしDWIの高信号域の多くは梗塞巣に一致するが淡い病変の中に可逆性の病変が含まれることもあることが知られている。逆に超早期はDWIでも偽陰性を示すことはしばしば認められる。発症24時間以内でも5%ほどの偽陰性が知られている。特に発症6時間以内の椎骨動脈灌流域で偽陰性が多く20%も認められる。特に延髄病変で多いとされている。逆に大脳皮質での偽陰性は低く2%程度である。初回のDWIにて高信号が認められなくとも経過、症状から脳梗塞が強く疑われた時は24時間後に再度撮影するのが望ましい。その場合は3mm程度の薄いスライスでb value 2000以上で行うと検出率が高くなる。 病期病態DWIADC-MAPT2WICT発症直後(0 - 1時間)閉塞直後の灌流異常 所見なし 所見なし 所見なし 所見なし 超急性期(1 - 24時間)細胞性浮腫 高信号 低信号 所見なし early CT sign 急性期(1 - 7日)細胞性浮腫と血管性浮腫 高信号 低信号 高信号 低吸収 亜急性期(1 - 3週間)細胞壊死による炎症反応から徐々に浮腫軽減 高信号から徐々に低信号へ 低信号から徐々に高信号へ 高信号 低吸収からFEを介して低吸収へ 慢性期(1か月 - )壊死、吸収、瘢痕化 低信号 高信号 高信号 髄液濃度 上記表は脳梗塞におけるMRIの典型的経時的変化である。超急性期は細胞性浮腫のため拡散係数が低下し、それはDWIにて高信号、ADC-MAPで低信号という形で表現される。急性期では毛細血管のBBBの破綻により血管性浮腫が起る。血管性浮腫により単位組織あたりの水分量が増加するためT2WIにて高信号を示すようになる。急性期に再灌流により血管性浮腫が増悪し、著明な脳浮腫や出血性梗塞を起こすこともある。亜急性期になると細胞壊死と血管壊死により拡散係数が上昇してくるため、一時期見かけ上正常化(pseudo-normalization)する。拡散強調画像ではT2 shine throughの影響をうけて亜急性期後半まで高信号が持続する。この現象があるために拡散強調画像で高信号でも拡散係数の低下や脳梗塞超急性期と言えずとすることができず、ADC-MAPを併用して評価する。発症2週間ほどでCTでも血管性浮腫の軽減により一時的に病変が等吸収になる。しかし不明瞭化はしておりFE (fogging effect) と言われる。亜急性期では軟膜髄膜吻合による側副血行路の発達や代償性の灌流増加にて比較的小さな梗塞巣内の出血が認められることがあり、T2*にて低信号を示す。これは急性期の出血性梗塞と異なり、重篤な神経症状の増悪を招くことはないが、ラクナ梗塞の場合はこれらの所見がある場合は抗血小板薬投与をしない方が無難とされている。その後は慢性期所見としてT2WI高信号となるが、組織欠損の程度によりFLAIR画像で低信号化したりする。細胞外液腔の開大によるものである。 脳血管障害では遠隔部に二次性が起ることが知られている。代表例を示す。 二次性変化所見皮質脊髄路のワーラー変性皮質脊髄路に障害があるとその遠隔部で4週後よりT2短縮、10週頃よりT2延長。DWIでは2日から8日程度で信号変化が認められる。 視床の変性外側線条体動脈を含め中大脳動脈領域に障害があると皮質視床路を介して同側視床が発症3か月以降にT2延長。背内側核から起ることが多い。 中脳黒質の変性線条体の障害で同側中脳黒質に発症10日前後でT2延長が認められ、1か月ほどで消失する。 下オリーブ核仮性肥大小脳歯状核病変では対側の下オリーブ核に橋背側中心被蓋路では同側に変性がおこる。数か月でT2延長がおき、その後肥大する。 交叉性小脳萎縮橋核が障害されると対側の中小脳脚にワーラー変性が生じる。橋核近傍が障害されると対側に同様の変性が生じるため、両側性となることも多い。 そのほか、有名な所見としては皮質層状壊死(cortical laminar necrosis)というものがあり、椎体細胞層(第3層)が選択的に虚血に陥ることであり発症後3週間ほどでT1WIにて皮質に沿った高信号域が認められる。また血管の閉塞に関してはintra-arterial sign(IA sign)というものが知られている。通常はFLAIR画像では血管内腔はflow voidとなるが、血液の鬱滞が認められると急性期にはFLAIR画像での血管の描出が認められるというものである。 MRA 脳主幹動脈の狭窄、閉塞がTOF-MRAやMIPにて明らかになる場合もある。主幹動脈の閉塞はflow voidの消失を確認することで検出可能であるが、MRAを行うことでよりわかりやすくなる。なおflow voidとは血液や脳脊髄液の流れのために発生する信号の消失を示す。その他頸部動脈の造影MRAなども経動脈評価でCTAとともによく用いられる。MIP画像の注意点としては狭窄の過大評価をしやすいことである。乱流が認められると狭窄が実際よりも過大に評価される。この影響で一見閉塞に見えることもある(flow gap)。末梢が対側と同程度に描出されていれば高度狭窄ではなく乱流を見ている可能性が高い。3TのMRAでは3D black blood imagingという撮影法を用いることで、プラークの性状まで評価できる。 プラーク性状TOFT1WIプロトン密度強調画像T2WI脂質コア(出血なし)等信号〜軽度高信号 等信号〜軽度高信号 等信号〜軽度高信号 等信号〜軽度高信号 脂質コア(新鮮出血)高信号 高信号 低信号〜等信号 低信号〜等信号 脂質コア(出血あり)高信号 高信号 高信号 高信号 線維性被膜低信号 等信号〜軽度高信号 等信号〜軽度高信号 等信号〜軽度高信号 石灰化低信号 低信号 低信号 低信号 線維組織等〜低信号 等信号〜軽度高信号 等信号〜軽度高信号 等信号〜軽度高信号 BPAS(basiparallel anatomic scanning) 動脈解離の検出や慢性閉塞と急性閉塞の鑑別に有効とされている。MRAが血液のフローを信号化するのに対して、BPASは血管の外観の表示を行う。 頚動脈エコー 詳細は「頸部血管超音波検査」を参照 血栓性の場合、頚部血管のエコーで、血管内壁の粥腫(プラーク)による狭小化を確認できることがある(高度な場合には外科的切除の対象になる)。エコーでは、頭蓋内血管を微小栓子(HITS)が流れているのを確認できることもある。 エコーではプラークの性状としてエコー輝度、表面性状、均一性、可動性を評価する場合が多い。エコー輝度は病理組織との対比で低輝度は粥腫や血腫、等輝度は線維組織、高輝度は石灰化病変と一致すると言われている。低輝度の場合は脆弱であり脳梗塞のリスクが高いとされている。表面性状としては壁の不整はプラークがなくとも脳梗塞のリスクがあるとされている。また2mm以上の陥凹、すなわち潰瘍は脳梗塞のリスクが高い。またプラークの性状が不均一であると均一な場合よりもさらに脳梗塞のリスクが高いとされている。またプラークに可動性のある血栓が付着する場合も高速のリスクが高いと考えられているが頻度は低い。 心エコー 非弁膜性心房細動が最も心原性脳塞栓のリスクとなるのだが、心臓超音波検査を行うことでさらに詳細な評価を行うことができる。塞栓源として重要な所見としては左心耳内血栓、卵円孔開存(PFO)、心房中隔瘤、心臓腫瘍、大動脈弓部複合粥腫病変などがあり、これらは経食道心エコーでの検出率が高い。卵円孔開存(PFO)は一般剖検で20%ほど認められる所見で右左シャントとなり静脈で形成された血栓が左室系に流出することで脳梗塞を起こす。これは奇異性脳塞栓症といい若年者脳梗塞や原因不明の脳梗塞で頻度が多い。発症様式で塞栓性が疑われるが心房細動もなく、内頚動脈に有意病変が認められない場合は大動脈源性脳塞栓を疑い大動脈弓部複合粥腫病変を検索する。
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