民営化にともなう貯金・施設などの取り扱い
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「ゆうちょ銀行」の記事における「民営化にともなう貯金・施設などの取り扱い」の解説
民営化にともなう各種貯金などの取り扱いは以下のとおり。 なお、民営化に際し変更点がないものは省略している場合もある。 流動性貯金通常貯金、振替口座は民営化と同時にゆうちょ銀行に引き継がれる。なお、顧客から預かった金銭の名称については一般の金融機関が使用している「預金」ではなく「貯金」を引き続き使用する。 2009年(平成21年)1月5日開始の全国銀行データ通信システム(全銀システム)接続開始にともなう、他行からの振込入金の際に指定する番号のみ、従来の番号を読替する必要が生ずるが、従来の番号自体はこれによって変更されることはない。 通帳・カード、ATM(現金自動預払機)利用時の取扱キャッシュカード、ICキャッシュカードはそのまま利用できる。共用カードについては2009年(平成21年)までに順次廃止となり、新たにゆうちょ銀行ICキャッシュカードが送付される(クレジットカードなどの提携部分については、分離のうえ再発行されるか、取扱期限をもって解約されるかのどちらかとなる)。なお、すでに日本郵政公社名ないしゆうちょ銀行名のICキャッシュカードを発行して併用していた場合は、差し替えは行わない。 日本郵政公社以前のキャッシュカードのうち、郵政公社末期に発行されたICキャッシュカードを除き、ゆうちょ銀行名のICキャッシュカードに無料交換を行う。日本郵政公社時代のICキャッシュカードの場合は、不可抗力で使用不能となっているケースを除き、有償交換とされる。 通帳も、郵便貯金総合通帳(ぱ・る・る)および通常貯蓄貯金通帳はそのまま利用できる(総合通帳で定額定期を利用していた場合は、後述のようにこの限りではない)。無余白となった際にゆうちょ銀行の総合口座通帳あるいは通常貯蓄貯金通帳に切り替えとなるが、希望により満行となる前に再発行の手続きをとることも可能(ゆうちょ銀行移行後に、担保扱いの定額貯金および定期貯金の利用を希望する場合は、ゆうちょ銀行の総合口座通帳に再発行しないと利用できない)。 通常貯金通帳の冊数制限は撤廃されたため、複数の通帳を持つことはできる。 定期・定額郵便貯金の通帳式証書については民営化後は余白があっても預け入れ(追加預入)ができず、民営化前に預け入れした貯金の払い戻しのみ利用できる(郵便貯金総合通帳に担保定額貯金や定期貯金の預け入れがあった場合は、通常貯金部分はゆうちょ銀行の総合口座通帳、定額貯金と定期貯金は独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構(郵政管理・支援機構)名の通帳式証書にそれぞれ分離再発行され、ゆうちょ銀行の総合口座通帳には、ゆうちょ銀行移行後に新規に預け入れる定額貯金と定期貯金が記載される)。民営化後に担保扱いではない(総合口座通帳とは別冊の)通帳式定期・定額貯金証書に預入する場合、新規預入となりゆうちょ銀行名の新しい通帳式証書が発行される。 これに際しては、郵便貯金総合通帳を窓口に提出する必要がある。通帳式定期・定額貯金証書に限らず、ゆうちょ銀行の通帳の発行には、無余白などによる通帳再発行を含み、郵便貯金総合通帳を窓口に提出することで本人確認手続きが行われる。ただし、郵便貯金総合通帳側の本人確認手続きが完了していない場合は、双方あわせて手続きを行うことになる。 また、2013年6月3日に行われた副印鑑廃止に際して、同日以降に副印鑑の取り外しの際に行われる印鑑登録手続きの折にも、改めて本人確認が実施され、印鑑登録の書類記入と本人確認の証明書などの提示が必要となるが、印鑑が登録済となっていた場合は、書類記入や本人確認の証明書などの提示は行われず、通帳の提示などで対応される。 また、民営化前の通帳式定期・定額郵便貯金証書と異なる点として、ゆうちょ銀行の通帳式定額定期貯金証書に預入した資金を担保に貸付を受けることはできない(総合口座通帳に組まれている定額貯金と定期貯金のみ対応となる)。 民営化前の通帳式定額定期貯金証書は、郵政管理・支援機構の通帳式定額定期郵便貯金証書として扱われる(再発行時は同機構名の通帳式証書となる)。 総合口座通帳における担保定額・定期貯金の欄は、1冊における記入可能件数が「ぱ・る・る」の24件より増えて32件となっている(頁数は変わらず、1件あたり通常貯金4行分→3行分に減らして対応)。また、1冊あたりの担保定期・定額貯金の預入可能件数も21件→30件に増枠された。 ゆうちょ銀行および提携金融機関のキャッシュカードを使って同行ATMでの入金が行われた場合の「ご利用明細票」が、これまでは入金された金額が印字されたが、民営化以降は入金額が印字されなくなり、入金後の利用残高のみが印字される方式に変更された(なお、入金された金額の詳細は通帳へ記帳する際に印字される)。 郵政省時代の通帳の場合、通常貯金(郵便貯金総合通帳で利用している場合は、定額定期の貯金残高がない場合)および通常貯蓄貯金においては、ATMでの利用については従来通り支障はない(ただし、2015年ごろから一部の拠点で郵政省時代の通帳の利用ができないタイプのATMが登場しているため、その場合はほかの利用可能なATMを利用するか、現行のゆうちょ銀行通帳に再発行するかのいずれかを行う必要がある)。総務省時代および日本郵政公社時代の通帳についても、通常貯金(総合通帳の場合は、定額定期の残高がない場合)および通常貯蓄貯金の利用については、通帳の取引印字面の様式はゆうちょ銀行移行後と同じであるため、満行まで引き続き利用することは可能となっている。なお、全銀システム接続にともなう旧発行主体名通帳への他金融機関からの振込に使用される口座番号の表示については、以下のように扱われる。郵政省時代の通帳については「振込」用の口座番号などの窓口端末(いわゆるCTM)による機械印字に対応していないため、2009年(平成21年)4月以降、満行となっていなくとも、何らかの窓口での手続きがともなう際に通帳の強制再発行を行うことになった。それまでは、全銀システム用の口座番号印字のある通帳の利用はできないものの、郵政省時代の冊子を受け付けない端末でなければ、ATMでの通帳利用は引き続き可能。 総務省時代の通帳の場合は、原則満行になるまでATMでは継続して利用できるが、窓口提出時に見開きページの「備考欄」の下3分の2の位置に「振込」用の口座番号が印字される(「振込」用の口座番号などの情報が印字される、現行のゆうちょ銀行名の通帳の銀行使用欄のうち、下側の橙背景色の欄にあたる位置に相当するのがこの場所であるため)。ただし、窓口係員の判断で、副印鑑の廃止手続きと同時に行う際などに強制再発行とされる場合もある。 日本郵政公社時代の通帳の場合は、原則満行になるまでATMでは継続して利用できるが、窓口提出時に見開きページの「備考欄」の下3分の1から「メモ」の2つの欄にまたがって「振込」用の口座番号が印字される(「振込」用の口座番号等の情報が印字される、現行のゆうちょ銀行名の通帳の銀行使用欄のうち、下側の橙背景色の欄にあたる位置に相当するのがこの場所であるため)。ただし、窓口係員の判断で、副印鑑の廃止手続きと同時に行う際などに強制再発行とされる場合もある。 他金融機関からの振込に使う口座番号の印字に関しては、通帳の発行主体名にかかわらず、サービス開始後の2009年以降の印字と、サービス開始前に先行して行われた2008年の印字では、最初の2行の文言が異なっている。 保証通常貯金や振替口座の保証は民営化時点で政府保証から一般の銀行と同じ預金保険に改められた。 振替口座は決済用預金の扱いとなるが、ほかの銀行とは違い従来どおり無通帳となる。また指定した店舗・郵便局のみ本人払い込み・払い出しができることや自動払い込み・給与預け入れなどの指定に利用することができないなど、当面の変更はない。 通常貯金・通常貯蓄貯金は決済用預金の扱いとはならず、従来の民間金融機関における普通預金・貯蓄預金と同様の形態となる。ただし、各々の通常貯金・通常貯蓄貯金について、民営化後に「オートスウィング基準額」を0円に設定している場合は無利息となるため、通常貯金に関しては、事実上は決済用普通預金と同じ扱いとなる。同じ条件とした通常貯蓄貯金については、その性質上、決済用途では利用できない、単なる通帳のある利息のつかない取引となる。 定期性貯金(積立貯金などの類似するものを含む)は民営化前に預け入れしたものは政府保証が継続されるが、民営化後に満期を迎えたものは自動継続が停止される。満期の前でも払い戻し(解約)はできるが、同じ通帳式証書への追加預入はできない。 暗黙の政府保証の有無について原口一博総務相は、民営化後の預金保険料の負担を前提に、もし暗黙の政府保証が存在すれば預金保険料の負担は不要になるとして、存在に否定的な見解を示した。 非課税貯金(マル優)利子に対する非課税貯金については廃止された。ただし定期性貯金で民営化前に預け入れされたものは満期まで継続。なお、ほかの金融機関と同じ枠でマル優(少額預金の利子に対する非課税制度)はほかの金融機関と合計で350万円まで利用できる。流動性預金にあたる「通常貯金」および「通常貯蓄貯金」のマル優扱いは全廃。定期性貯金のみマル優扱ができるが、利用する直営店ないしは郵便局の貯金窓口に非課税貯蓄の申告書を提出する必要があり、ほかの直営店または郵便局の貯金窓口でのマル優扱の預入は一切できない。 預入限度額発足当初は、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(現:郵政管理・支援機構)への移管分とゆうちょ銀行への預け入れの合算額で1,000万円まで。2016年4月からは1,300万円(民営化前からの預け入れ分、すなわち機構に移行された分は、2016年4月以降も1,000万円のまま。これと合算して1,300万円以内)となったが、特段の理由がない限り、従来どおり通帳に表示された限度額(例として、郵政省時代の1,000万円までに引き上げられる前の限度額のときに取引開始した場合や、その後も含めて民営化前に移替基準額を変更していたケースで、その後特に変更をしていなかった場合は、そのときの額が現在も適用されたままのケースが存在する。そうでなくとも、利用者ごとの現状については、通帳の見開き部分には「○○貯金ご利用の上限額 10,000,000円」のように表示されているため、そこで確認可能。この表示額は民営化前は移替基準額だったが、ゆうちょ銀行では後述のオートスウィング基準額となり、通常貯蓄貯金や複数の通常貯金を有する場合は、表示されている各通帳ごとの貯金残高に対する限度額にニュアンスが変わった)がそのまま適用されるため、変更には窓口での手続きを要する。当然ながら、今般の増額となった300万円分は預金保険法の補償対象外となる。この告知のため、引き上げ日以降に通帳の新規ないし再発行を行う場合は、通帳の見開き面(銀行使用欄の、上側の白い部分)に、引き上げが行われた旨のスタンプが押印される。定期貯金や定額貯金を利用する場合に上限をトータルで1,000万円を超過する場合は、手続きは基本的に不要だが、通常貯金については、移替基準額や後述の「オートスウィング基準額」などを変更する必要が生じる場合もある。 なお、民営化後は、移替基準額や貯金の上限額とは別に「オートスウィング基準額」が総合口座通帳に対して設けられており、1つの総合口座通帳全体の上限額から、通常貯金部分に対する上限額として設定された金額を指す。これは、各々の通常貯金で「オートスウィング基準額」を越えた部分は、定期貯金や定額貯金などとの合算が通帳に記載されている、設定した上限額に達していない場合でも、「オートスウィング基準額」を超過している金額分は振替貯金とみなされ、超過金額は通帳記帳の際に残高の次の行に別途かっこで括られて表示される(貯金の上限額あるいは移替基準額超過時の金額の表示と同様)。なお、「オートスウィング基準額」は、新規預入時に同じ申込書で指定することも可能であるほか、2015年9月にリニューアルしたあとのゆうちょダイレクトでも変更の設定が可能となっている。貯金の上限額自体の変更は、ゆうちょ銀行の窓口ないし郵便局の貯金窓口での対応となる。 限度額を超過した場合は、原簿を管轄する貯金事務センター長名での文書が送付されてから1か月以内(文書上の日付基準で、文書の受取日や発送日基準ではない)に、限度額を下回らない場合は、次の対処が行われる。なお、通常貯金および通常貯蓄貯金のオートスウィング基準額を超過した部分については、振替口座の預り金(振替貯金)と同じ扱いとされるため、限度額超過分に算入されない。民営化前からの預入分、すなわち、郵政管理・支援機構へ移行された貯金(民営化前の定額貯金・定期貯金の満期到来で、民営化後に新たに通常郵便貯金にされた残高は、利用者が引き出すまでは機構への預入分と見なされ、ゆうちょ銀行の通常貯金とは別に管轄される)については、民営化前と同じで、郵便貯金法第11条で規定されていた内容の経過措置適用を根拠に、機構扱いとなる貯金残高総額の一部を原資として日本国債の強制買入が実施される。なお、強制買入となる国債については、買入実施時期により、利付国債→割引国債→個人向け国債の優先順位で決定され、償還期間は、2年以上10年以下となっているものの中からより短いものが優先的に対象とされる。当然ながら、この措置で手元にきた国債を満期まで保有しなかった場合は、通常の国債取引同様、元本割れが生じることもある。 ゆうちょ銀行に移行してからの預入分(民営化直前の時点で利用していた通常郵便貯金と通常貯蓄貯金の残高は、ゆうちょ銀行の通常貯金および通常貯蓄貯金の預入分とされる)は、ゆうちょ銀行が定める約款の規定を根拠として、残高の一部ないし全部を強制的に引き出したうえで、引き出された金額を額面とした貯金払戻証書が発行され、貯金者に送付される。 機構に貯金がある場合は、残高を減額とする対象に優先順位を付与する場合がある。たとえば、ゆうちょ銀行の残高の減額が優先され、それでも限度額を超過している場合に、国債購入で機構分の貯金を減額とする場合などもあり、その旨通知文書に明記することがある。 財産形成定額貯金等については例外的に別枠として550万円まで。 最低預入金額民営化前は通常貯金・通常貯蓄貯金の最低預入金額は10円であった(たとえば、ATMで10円未満の預入をしようとしても受け付けなかった)が、民営化後は撤廃され0円から預入ができる(ただし、ATMでは現在も10円未満の預け入れはできない)。 貯金払戻証書・為替証書・振替払出証書従来の期限がくるまでそのまま有効となる。 民営化前振出分は再発行不可のため、再発行せず現金との引き換えとなる。 自動払い込み・給与預入・年金自動預入・投資信託すべてゆうちょ銀行にそのまま引き継がれた。 国際ボランティア貯金・介護定期郵便貯金・積立郵便貯金・住宅積立郵便貯金・教育積立郵便貯金・電信為替・通常振替すべて廃止された。 ただし、国際ボランティア貯金については、2008年(平成20年)10月1日より、「ゆうちょボランティア貯金」の名称で新たに新規預入をする(従前のものとの直接の関連はない。民営化前の寄付金は郵政管理・支援機構に引き継がれており、新たなものはゆうちょ銀行自体が寄付金交付などを自ら行う)。国際ボランティア貯金利用者であっても自動で切り替えとならないため、利用を希望する場合は新たに切り替えの申し込みが必要となる。 ゆうゆうローン郵政管理・支援機構に引き継がれている。 定期郵便貯金を担保としている場合、民営化後は自動継続が停止されるため、貸付期限が満期まで繰り上がる。 ATM(現金自動預払機)コーナー民営化前、郵便局外に設置されているATMコーナーは最寄りの外務員配置局(大概は旧集配局だが例外あり)によって管理されていたが、民営化後は本店または支店により管理されることになる。 通常貯金・通常貯蓄貯金の利息付与時期民営化前は、通常郵便貯金が年度末締めで4月1日付の付与、通常貯蓄貯金が年度末と年度中間末締めでそれぞれ4月1日、10月1日の付与となっていたが、締日を通常貯蓄貯金の方式に統一し、翌営業日付の付与となった。 「メルパルク」「ぱ・る・るプラザ」日本郵政株式会社が承継した。なお、唯一京都府に残っていた郵便貯金地域文化活動支援施設「ぱ・る・るプラザ京都」は「メルパルク京都」と改称された。
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