流動性貯金
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 13:38 UTC 版)
通常貯金郵便貯金のサービスを踏襲しており、貯金通帳の発行料・維持料は無料である。預払は10円以上で、ATMでの預け入れ・引き出しには時間帯や曜日に関係なく手数料はかからない。ただし、提携金融機関ATM・CD機の利用は除く。2022年1月17日からゆうちょ銀行本支店や郵便局以外に設置されているATMの時間外利用や硬貨を伴う預け入れ・払い戻しに対して手数料が新設されることになった。民営化前に契約された通常郵便貯金はすべて民営化時に通常貯金に移行された。電信振替や定額・定期貯金の機能がついたものは、「総合口座通帳」(これに相当する民営化前の通帳は郵便貯金総合通帳「ぱ・る・る」)で、この通帳冊子そのものと後述する振替口座(振替貯金)とに限り、「口座」という名称を用いる。 「総合口座通帳」の冊子が発行されるものの、見開きページの「振替口座開設(送金機能)」の欄に機械印字で○がついていないものは、ゆうちょ銀行の定義上は「総合口座」とはならない。 なお、ゆうちょ銀行発足後に新規預け入れをした場合は、特に利用しないことを希望した場合を除けば、「振替口座開設(送金機能)」の欄に機械印字で○がついている状態で「総合口座通帳」が発行される。 ただし、厳密に「口座」に相当するのが「振替口座」のみである点は、民営化前と変わっていない。 基本的には、入金なし(0円新規)で新規預け入れすることができる(郵便貯金では新規預入時に10円以上の入金が必要だった)。 通帳の再発行(ほかの金融機関で称される通帳繰越)は、従来は最終ページ(総務省時代以降の通常郵便貯金の記入可能ページは9ページであり、郵政省時代までの縦型オンライン通帳は5ページ目あるいは7ページ目の途中で記入欄がなくなっていた)に記帳が達した時点で可能である。これは通帳の最終ページにも記載されている。なお、民営化前の通帳から民営化後の通帳への「切り替え」に際しては制限はない(これは、担保定額定期貯金の預入をするために必要な作業であるため。したがって、通常郵便貯金の最初のページに1行だけの記帳状態であったとしても切り替え可能である)。 郵政民営化以前は、旧郵便貯金法により通常郵便貯金(郵便貯金総合通帳)は1人1冊までと定められていたが、郵政民営化以降は2011年(平成23年)12月までは、冊数制限が撤廃され、複数の総合通帳を持つことが可能になっていた。しかし、振り込め詐欺などによるトラブルが絶えないため、再び2012年(平成24年)1月からは、原則として1人1冊となっている。 2013年1月までは、総合口座通帳の冊子は1種類しかなかったが、同年2月より新規に2種類のデザインが追加となったため、以降の新規預入ないし満行再発行の際に、3種類から選択が可能となった。 2016年3月6日より「ゆうちょダイレクトプラス」のサービスが開始され、自動貸付および当座貸越の利用が停止された以外は通帳のある、総合口座扱いの通常貯金(総合口座通帳)とほぼ同じ利用が可能となった。既存のゆうちょダイレクト利用者は、ダイレクトのサイト上で切り替えが可能であり、総合口座通帳は保有するが、ゆうちょダイレクトの契約がない場合は、ゆうちょダイレクトを申し込んでからダイレクト上で切り替えるか、窓口でゆうちょダイレクトプラスの申し込みと同時に切り替えるかのいずれかの方法がとれる。 ゆうちょ銀行の取引がない場合は、窓口での新規取引の申し込みのほか、メールオーダーで、ゆうちょダイレクトプラスの申し込みとあわせて行うことができる。ゆうちょダイレクトプラスの初回ログインパスワード(確認用パスワードは自動採番で後日通知される)とテレホンバンキングの暗証番号は申込書に記入が必要だが、キャッシュカードの暗証番号は申込書に記入欄自体がなく、キャッシュカード発行手続時に自動採番されるため、カードと暗証番号通知が到着したあとに、自身でATMでの変更を要する。 メールオーダーの新規加入の場合、キャッシュカードは、一般のものしか発行できないため、Suicaつきのもの、ないしはJP BANKカードの発行を希望する場合は、ゆうちょ銀行または郵便局の貯金窓口での手続きを要する。Suicaつきのカードは、無論、東日本旅客鉄道の事業エリアとなっている都県所在の拠点での申し込みが必要となる。メールオーダでの申し込み後に発行の申し込みをした場合は、再発行の扱いとなり、手数料が発生する。 JP BANKカードの発行申し込みは、簡易郵便局の貯金窓口では不可。 ゆうちょダイレクトプラス利用者が窓口での手続きが必要な場合は、通帳が発行されないため、キャッシュカードの提示で行う。 また、ゆうちょダイレクトプラス利用者が通帳の利用を希望する場合は、ダイレクトプラスの画面上ではできないため、窓口での手続きを要する。 「振替口座開設(送金機能)」の項目に機械印字で○がついている場合、通常貯金の利用限度額(オートスウィング基準額)を設定する必要があり、設定額を超えた残高には、利息が付与されない(オートスウィング基準額は、後日窓口ないしゆうちょダイレクトで変更可能)。設定額を超過した残高分は、無利息で預け入れが可能。総合口座通帳にセットされる担保定額貯金および担保定期貯金については、この設定はない。上述のように、ゆうちょダイレクトでも設定金額の変更が可能となっているため、ゆうちょダイレクトプラスの利用者については、ログイン画面上でも確認できる。そのため、通帳がなくとも設定額の確認は可能である。 決済用普通預金相当の貯金はゆうちょ銀行には存在しないが、通常貯金の「オートスウィング基準額」を0円に設定した場合、残高すべてが振替口座への預り金扱いとなり、一切の利息の付利がなされないため、事実上は、決済用普通預金と同様に利用することが可能となっている。 通常貯蓄貯金残高が10万円以上あれば、通常貯金よりも高い利子がつけられるが、10万円を下回ると通常貯金より低い金利になる(金利情勢により変わらない場合もある)。民営化前に契約された通常貯蓄貯金はすべて民営化時に通常貯蓄貯金に移行された。 送金決済(給与振込や自動引落)先に指定できないが、電信振替の利用は可能。その場合は、通帳の見開きページの「振替口座開設(送金機能)」の欄に機械印字で○がついている必要がある。なお、ゆうちょ銀行発足後に新規預入をした場合は、特に利用しないことを希望した場合を除けば、「振替口座開設(送金機能)」の欄に機械印字で○がついている状態で「通常貯蓄貯金通帳」が発行される。 その他の点については、通帳印字ページのフォーマットなどを含め通常貯金とほぼ同じ。「通常貯蓄貯金通帳」の取引の記帳面も、7ページで民営化前の総務省名以降の通帳と同じである。 ちなみに、ゆうちょダイレクトプラスの対象外となっているため、無通帳での取引は不可である。 「振替口座開設(送金機能)」の項目に機械印字で○がついている場合、通常貯蓄貯金の利用限度額(オートスウィング基準額)を設定する必要があり、設定額を超えた残高には利息が付与されない(オートスウィング基準額は、後日窓口ないしゆうちょダイレクトで変更可能)。設定額を超過した残高分は、無利息で預け入れが可能。 商品の性質上、意味がない状態となってしまうが、例として、定期貯金や定額貯金の貯金残高が多いために、通常貯金(預り金となっていない残高分)などを含めたトータルでの残高が1,300万円の限度額をオーバーする可能性などがある場合は、「オートスウィング基準額」を0円にして、通常貯蓄貯金の残高に対する利息の付利がない状態とすることも、制度上は可能である。 ICキャッシュカードは、通常貯金と同一のものを採用しているため、エンボスレスで印字される記号番号と発行年月の部分以外では、区別ができない。ただし、Suicaつきのカード(かつて発行されていたEdyつきのカードも同様)も通常貯蓄貯金で選択可能であるため、一方をSuicaつき、一方をSuicaなしの形で発行すれば、一定の区別は可能。 振替口座 詳細は「#振替」を参照 なお、「振替貯金」という用語は、振替口座の残高たる預り金を指し、厳密には貯金ではない。通常貯金と通常貯蓄貯金に設定された、「オートスウィング基準額」を超過した金額分(通帳の残高欄の2行にわたって印字されているうち、括弧書きで別途印字された金額分)も振替貯金に相当するため、括弧内の金額については、法律で定める預入限度額(2016年4月時点で1,300万円)超過の対象外とされる。 ゆうちょボランティア貯金ゆうちょ銀行が2008年10月1日に開始した、通常貯金ないし通常貯蓄貯金に付与される利息の20%分を、独立行政法人国際協力機構を通じて、「国際協力(全般)」または「国際協力(環境)」のいずれかから選択した先に寄付するというもの。 郵便貯金にあった「国際ボランティア貯金」との関連性はない。民営化前に国際ボランティア貯金を利用していた場合も、利用(事実上の利用再開)を希望する場合は、サービス開始後に改めて申し込む必要がある。 寄付割合は20%で固定されており、国際ボランティア貯金のように寄付割合は選択できない。 「国際ボランティア貯金」のように、一般の通常貯金とゆうちょボランティア貯金が別枠での利用となっているわけではないため、専用の冊子がないことと、2012年以降に原則1冊での取引を要請しているため、ゆうちょボランティア貯金の利用を理由に、ボランティア貯金の付加のない通常貯金と別枠で取引を始めることは基本的にはできなくなっている。逆に、2冊以上の通常貯金がすでにある利用者が、2以上の通常貯金でゆうちょボランティア貯金を利用することは可能。 通常貯蓄貯金での利用も可能。こちらも取引冊数の扱いは通常貯金のケースと同じ。 通帳の見開きページにある「銀行使用欄」には、「ボランティア」と機械印字される。 通常貯金および通常貯蓄貯金の利息の寄付の点を除けば、一般の通常貯金および通常貯蓄貯金とほぼ同一の商品性となっている。
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