初代 VG2#/3#/4#型 (1967年 - 1997年)
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「トヨタ・センチュリー」の記事における「初代 VG2#/3#/4#型 (1967年 - 1997年)」の解説
世界の最高級車に匹敵するプレステージサルーンを目標にして開発され、1967年(昭和42年)9月25日に発表、11月に発売された。以後細部の改良を受けながらも、1997年(平成9年)まで30年間に渡ってフルモデルチェンジなしで生産される希有な記録を作った。 設計主査を務めたのは、初代・2代目のトヨペット・クラウン、センチュリーに先立って発売されていたクラウン・エイトの設計主査であった中村健也で、彼が主査を務めて開発された最後のモデルとなった。先に発売されていた日産・プレジデントなど既存の国産大型車同様にアメリカ製高級車の影響こそ色濃いものの、単なる模倣ではなく、「伝統的な日本の美」を感じさせる保守的かつ重厚さを持った独特のデザインテイストを持つ。これは結果的に長期間陳腐化することがなく、その後のモデルチェンジごとにセンチュリーのアイデンティティーとして継承されている。 エンジンは3V型OHV・3,000 ccエンジンから始まり、その後は排出ガス対策等で3,400 cc(4V-U型、4V-EU型)、4,000 cc(5V-EU型)まで排気量拡大がなされた。 クラウンの構造拡大型に留まったクラウン・エイトとは異なり、センチュリーは全面的な新設計により開発された。その初期モデルは、当時のトヨタ車としては異例の複雑なメカニズムを採用しており、エア・サスペンションを組み込んだトレーリングアーム式サスペンションや、ギアボックスをスカットル上部に置き、リンケージの大半をエンジン上部に配置した操舵系(ナックルアームはストラットタワー頂部に配置)に代表される。これらは、当時の日本車はもとより欧米車でも事例は少なく、複雑なメカニズムが走行性能の向上に繋がったかは不明確であり整備性を悪化させる原因にもなっている。1990年代には販売時に運転の状況や、定期的なメンテナンスが受けられるかを審査することもあり、これが「購入者が審査される」という都市伝説の元になったという指摘がある。トヨタでは机上のスペックよりも現実の実用性能を重視するという考え方のもと、1982年(昭和57年)の大規模なマイナーチェンジの際に、フロントサスペンションをダブルトレーリングアームからマクファーソンストラットへ改め、操舵系も一般的な方式に改められ、リヤサスペンションもリジットアクスルで変わりないものの、当時トヨタ車多くが採用したラテラルロット付き4リンク式に改められ、構成部品が簡便化された。 初投入時のモデルであるVG20型には、オートマチックトランスミッションの装備が常識化していたアメリカ製高級車に対抗するため、当初からATが標準装備であったが、富裕層のオーナードライバー向けに、マニュアルトランスミッションの4速フロアシフト車(センチュリーAタイプ)も設定されていた。このMT車はVG21型へのマイナーチェンジ時に廃止されている。また、防弾装備が施されたセンチュリーは、当時の内閣総理大臣であった佐藤栄作の公用車として納入され、以後3代に渡って内閣総理大臣専用車として使用されている。 グレードミッションシート主な装備Dタイプ コラムAT セミセパレート 高級布地張(トッパー・ファブリック)シート:29f パワーシート:29 パワーウィンド:30 エアコン:29 エアピュリファイア:29 パワーステアリング:36 オートロック式ドア:30 AM/FMステレオラジオ:31 Cタイプ コラムAT ベンチシート 高級布地張(トッパー・ファブリック)シート:29f パワーウィンド:30 AM/FMモノラルラジオ:31 電磁式ドアロック:30 オプションセミセパレートシート パワーステアリング:36 エアピュリファイア:29 Bタイプ コラムMT ベンチシート ファブリックシート:36 AMラジオ:31 Aタイプ フロアMT セパレート 本革シート:30 前席ヘッドレスト タコメーター:36 パワーウィンド:30 オプションパワーステアリング:36 エアピュリファイア:29 1969年(昭和44年) - 一部改良。フェンダーウインカー追加 、エンジン出力アップ、内装一部変更など 。 1971年(昭和46年)10月 - Aタイプ廃止 1973年(昭和48年)4月 - マイナーチェンジで型式をVG21型へ変更。昭和48年自動車排出ガス規制適合と同時に総排気量が3,400 ccの4V型へ変更。外観も一部変更され、テールランプのデザイン変更と同時にターンシグナルレンズをアンバー化。他には、フロントディスクブレーキ化、電磁式ドアロックの廃止、フロントワイパーのピボット位置の変更、パワーステアリングが全車標準装備、Cタイプ・Dタイプにコンソール付セパレートシート車を追加など。 1974年(昭和49年)8月 - 一部改良。電動ミラー、間欠ワイパー、ワンタッチ式パワーウインドウの採用、リアウインドシールドアンテナ採用(電動ポールアンテナ廃止) シート表皮、意匠の変更。MT車(Bタイプ)廃止など。 1975年(昭和50年)6月 - 昭和50年自動車排出ガス規制適合。トヨタ触媒方式「TTC-C(トヨタ・トータル・クリーン・システム―キャタライザー)」を採用した4V-U型エンジンを搭載して50年排出ガス規制に適合 。これにより最高出力170 HP / 5,400 rpm、最大トルク26.5 mkg / 3,600 rpmに低下 。トランク左側に「TTC-C」のエンブレムが付く 。 1977年(昭和52年)1月 - 昭和52年自動車排出ガス規制適合で型式をC-VG30型へ変更(自動車型式認定制度上ではモデルチェンジ扱い)。外観の変更はリアバンパーの形状、フェンダーモールの形状変更。ボディカラーでは富士ノーブルホワイトが復活。その他、ステッキタイプだったパーキングブレーキをペダル式に変更。後席ヘッドレストシート一体式(固定)から格納・引き出しの2段階調整式に変更 。Dタイプには、シート位置を前後に調整できる後席パワーシートを採用(Cタイプは固定、パワーシートの設定なし) 。 1978年(昭和53年)11月 - 昭和53年自動車排出ガス規制適合で型式をE-VG35型へ変更。ホイールキャップのデザイン変更。装備面では、ドアを閉めた後もルームランプが点灯するシステムや電磁式フューエルリッド・オープナー 、カレンダー付クオーツデジタル時計、運転席ランバーサポートなどを新たに装備。また本革シートやラジアルタイヤなどもオプションに加わった。 1982年(昭和57年) - 大規模マイナーチェンジで型式をVG40型へ変更(自動車型式認定制度上ではモデルチェンジ扱い)。エンジンが4,000 ccの5V-EU型となり、発売以来大幅な変更がなかった内外装を変更。外装ではヘッドランプ、フロントグリル、テールランプ、バンパーなど、装備ではオートエアコンの採用、ラジオの電子チューナー化、スーパーモニタリングディスプレイの採用、各種スイッチの日本語表記化などを実施。Eタイプには、フル定員乗車の時でも、車高を一定に保つオートレベラーが装着されており、フラットな車体姿勢を保つ。 1985年(昭和60年)8月 - Eタイプに設定されていたリフレッシングシートを右後席にも設定。後席用カセットデッキを設定。エアコン中央吹き出し口に風量・風向き調節機能、左右スイング機能の追加、後席に腰当クッションをオプション設定 など。 1987年(昭和62年)9月 - マイナーチェンジ。外観ではコーナリングランプ一体型異型ヘッドランプを採用すると同時にフロントグリルのデザインを変更。内装ではデジタルメーターを採用し、Eタイプには100%ウール地のジャガードモケットシートを採用。ATを油圧制御の3速から電子制御式の4速に変更。フロアシフトAT車追加。足回りではTEMSと4輪ESCを採用。 1989年(平成元年)5月 - シフトロックシステムを採用。ウールシート表皮色のグレー色変更、及び本革グレー内装追加など 。 10月 - ホイールベースを650 mm延長したリムジンを追加(型式はVG40改)。標準車よりルーフが30 mm高く、後席ロッカーパネルが40 mm低い 。後席のみ本木目パネルを採用。グレードは標準仕様のSタイプ(オールウールモケットシートが標準)と豪華仕様のHタイプ(本革シートが標準)の2種類。 1990年(平成2年)9月 - 一部改良。ホイールベースを150 mm延長したロングボディのLタイプを追加(型式はVG45型)。リムジンはLタイプベースに変更。同時にDタイプのコラムシフトAT車は廃止。本木目(ウォールナット)パネルの採用など。 1992年(平成4年)12月 - マイナーチェンジ。フロントグリル、ホイールのデザイン変更。後席VIPシート、サイドドアビーム、LEDハイマウントストップランプ、運転席エアバッグを全車標準装備。 1994年(平成6年)12月 - 一部改良。エアコンカットシステムの採用。車載電話用アンテナをバックウインドウ内蔵タイプに変更。 1997年 (平成9年)3月 - 生産終了。在庫対応分のみの販売となる。 4月 - 2代目と入れ替わる形で販売終了。 1969年改良型 1982年改良型 1982年改良型 車内 1987年改良型
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