ストラクチャード・ファイナンスの金融技術2とは? わかりやすく解説

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ストラクチャード・ファイナンスの金融技術2

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/02 13:59 UTC 版)

ストラクチャード・ファイナンス」の記事における「ストラクチャード・ファイナンスの金融技術2」の解説

金融技術一般的にアービトラージ裁定)の技術リスク・コントロール技術大きく分けられる金融取引一般にアービトラージから得られる収益求めて拡大し、このアービトラージ背後から支えるためにリスク・コントロール技術拡充されということがいえる。 アービトラージ アービトラージとは、金融商品構成する要素について2つ上の市場の間で価値の差が存在するということ裁定機会)、あるいは、そのような価値差を埋めるような金融取引金融商品の開発行って、無リスク価値差に相当する収益を得る行為裁定取引このような取引には、マクロ的にいえば、必ず反対ニーズ有する取引存在しているはずであり、金融機関はこの2つ取引ニーズ合致(マリーイング)させることによって無リスク収益をうることができると考えられた。 リスクコントロール オプションヘッジ基本的に反対取引によりマリーイングしかせるしかなく、またそうすることが可能だ考えられていたのである。これに対してスワップに関するウェアハウジングという概念登場しさらにはオプションヘッジするためのダイナミック・ヘッジという考え方紹介される及んで提供した商品全体のリスク・プロファイルをヘッジするために必要なポジションを、全く別個の金融商品作り出すことにより、リスクコントロールするという発想生まれてきた。 アービトラージ 1.市場アービトラージ市場アービトラージ古典的なものとして、金利為替の直先スプレッド外国為替相場における、直物為替相場先物為替相場の差)である。為替スワップについての直先スプレッド市場が完全で投資対象のリスクプロファイルが同一ある限り結果的にリターンは同じという考え決定されるが、実際に為替レート金利水準その通りなければ理論的な水準達成されるように裁定取引アービトラージが行われる。 2.米国住宅ローン金利内在するアービトラージ米国古典的な住宅ローンは、最終期限が30年で、元利均等払いであることから、その加重平均期間は12年程度となり、金利決定にあたり30年金利基準とされていれば裁定取引存在することになる。次に固定金利住宅ローンは、手数料なしで全額期限償還することができるため、市場金利低くなる借り換え需要増加期限償還率が上昇し金利高くなるとその逆の現象生じる。このように一種コールオプション売っていることになり、しかし、そのキャッシュフロー特性きわめて複雑であり、オプション・プレミアム正確に計算することが困難なため、このプレミアム金利中に正しく織り込めていない可能性があり、ここにも裁定取引存在する。 3.金利の期間構造金利水準は期間ごとに異なる。これは主として将来金利対す予測資金固定化することに対すプレミアムが、期間によって異なるとされている。このような期間と金利の対応をイールドカーブという。一般に後者要因働いて長い期間ほど金利高くなる傾向がある(順イールドカーブ)が、将来金利これから低くなるという予想一般的であれば目先の金利はそれに見合うだけ高くないと、長期運用したほうが良いということになるので、短期になるほど金利の高い、逆イールドカーブ呼ばれるような期間構造となることもある。 制度アービトラージ税金補助金規制税金補助金制度規制そのものが国や地域によって異なっており、あるいは内在的な歪みがあることから生じる、制度アービトラージである。 1.タックス・ファイナンス資金の調達者のタックス・ポジションとエクイティ投資家のタックス・ポジションが異なることを着目して、税メリット後者とらせるような仕組み工夫して、そのメリット一部調達コスト還元する。税メリットには、税金そもそも軽減されるタイプと、損益発生ずらせることにより税金支払い繰り延べることでメリットを得るタイプ2つがある。 2.ダブル・ディップあるリース取引レッシーユーザー)の所在国で金融取引みなされるために、レッシーにおいて資産計上して税務上もレッシー償却せねばならないことになっているとする。ところで、このリースクロスボーダーレバレッジドリース仕組まれており、レッサーレッシーとは異なる国の法人であるとすると、2国間の税法は必ずしも同一ではないから、この取引レッサー本国では、リース取引みなされレッサー同国資産計上して税務償却損を認識できるということ起こりうる同一経済取引について2つ主体減価償却行えることになるから、この余分な償却から生じる税メリット全体価格反映させれば通常の仕組みよりも安いコスト仕上げることができる。当事者からすれば両方からうまいものをすくいあげるdip)ことになるので、ダブル・ディップといわれる。ただしダブル・ディップリーガル・エンジニアリング中でも最も高等な技術として、この種の仕事関わる金融マンなら一度夢見る挑戦ということができる。 3.規制緩和アービトラージある業界が強い政府規制にあったり、独占状態寡占状態にある場合、その業界提供している商品価格には一定の超過利潤含まれている可能性が高い。このような状況規制緩和によって崩されると、多く場合超過利潤顕在化されて、その再分配が行われる。さて、このような超過利潤理論的に消失すべきものだが、規制緩和をしたからといって即時消失するものでもなく、むしろ、規制緩和のなかで新し競争枠組み商品生み出される過程徐々に理論的な水準収れんしていく可能性が高い。そこで、金利為替裁定取引同じような形で、超過利潤消失されるような動き中に収益機会生じることになる。 信用アービトラージ 信用リスクによるアービトラージ古典的な例は、預金者と銀行の関係にみることができる。ある企業信用リスクをとりにいけるだけの技量のある銀行と、素人預金者の間に、リスク対す認識の差があるということが、銀行成立する一つ要素である。両社に差がないと、預金者が自分から貸付をした方がより多く利潤得られることになるからである。 1.ジャンク・ボンドジャンク・ボンドとは、主要な格付け機関から投資適格格付けトリプルB以上)を得ていない社債を指す。ジャンクという語感からすると危な社債イメージするが、例え長期債格付けダブルBといえば銀行世界では優良取引先範疇属するものが多いのである。ところが、証券世界では投資適格ではなくなった瞬間から投資家ベース一挙に減少する。この結果投資適格であったときに享受していた流動性極端に悪化するので、信用リスクからして適正思われる水準以上に価格下落するということが起こる。こうして、銀行がしのぎを削って貸し込もうとしている先のボンドが、投資適格なくなったという一時をもって非常に高い利回り取引されるという現象生じうる。また、より格付けの低い銘柄になればなるほど、企業信用リスクみられるという自信のある投資家しか手が付けられないが、逆にそのような投資家にとっては資本市場プライシング相対取引プライシングよりも有利ということありうるこのようにジャンク・ボンド・ビジネスは、間接金融マーケット直接金融マーケットとの間で、同一信用リスク有する企業対す評価異なっていることを利用した信用アービトラージであったということができる。 2.信用アービトラージとしてのストラクチャード・ファイナンス信用アービトラージは、ある一定の信用リスク・プロファイルを特に選好する投資家存在している結果そのようなリスク・プロファイルを有する商品プライシングが特に調達者にとって有利となる場合にも成立するより一般的に広義証券化機関化が進行して資金給与者が銀行等の間接金融機関比べるリスクをより好まない機関投資家中心になってくると、機関投資家投資基準合致するような高い格付け有する商品がより有利なプライシング享受する可能もある。このように自分欲し格付け作り出すクレジット・エンジニアリングとしてのストラクチャード・ファイナンスは、信用アービトラージ可能にする基幹技術であるということができる。 マーケット・セグメンテーションによるアービトラージ もしあらゆる投資家すべての金融商品等しくアクセスでき、また、同一尺度個々金融商品評価して決めをするのだとすれば、完全な一物一価成立して企業資金調達コストは、純粋にその企業信用リスクと期間や担保といった調達条件のみに規定されるであろう。しかし、実際には、これ以外に「誰か調達するか」「何で調達するか」によってプライシング異なるのが通常である。これは、現実には資金供与者が、その種類セグメント)ごとに固有の特性有しており、必ずしも相互の間に連絡がないことから、そのセグメントごとに需給関係成立することによる。セグメンテーション・アービトラージ(segmentation arbitrage)とは、このような投資家、あるいは投資家セットとなっている金融商品セグメント間で一物二価存在することを利用したアービトラージである。 1.小口古典的な手法が、小口化の技術である。一般に小口資金大口の資金比べて運用対象限られている。そこで、大口の投資小口化してやることによって、大口投資家相手にするよりはよいプライシング獲得することが可能になる銀行小口預金まとめて大口運用することによって、信用リスク・テイクによって本来得られるべき利ザヤ上の利益生み出している。ただし、小口化によって、事務コスト増大理論的に考えたほどのメリット得られないことがあるまた、一般に大衆相手にする投資商品を扱う募集者には、消費者保護観点から高度の責任要求される。 2.法的性質転換セグメンテーション・アービトラージを狙うには、CMOのように期間(短期中期長期、超長期)、クーポン固定変動、ゼロ・クーポン)などを変えるだけではなくそもそも商品法的性質転換することが有効な場合が多い。特に、機関投資家場合それぞれ特有の投資規制があることから、これを念頭においた商品設計を行うことによって、より有利なプライシングを得ることができる。法的性質転換という観点から、貸出減少悩んでいるものの、証券投資でもよいと割り切れてもいない機関投資家間接金融に対してセカンダリー・マーケット利回りの高い証券SPVを介してローン転換してやるようなスキーム反証券化(descuritization)という。

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