結婚祝い
贈答習慣
冠婚葬祭儀式の「婚」にあたる婚礼は、古来より「葬」にあたる弔い行事とともに礼節が重んじられ、婚約・結納の儀から結婚の儀までの一連の儀式が厳粛に行われてきました。結婚式や披露宴の形式が時代と共に変化していってもなお、基本となる結婚のしきたりは脈々と継承されています。
お祝いを贈る(お祝い金の場合)
祝い金の元々は、結婚披露の宴会に招かれた出席者が各々に宴会用の酒や肴を持参して集まり祝った事の名残で、婚儀にまつわる一連の費用を部分負担してあげるという相互扶助の意味合いがあります。
贈る時期
正式には、結婚式の1ヵ月前〜1週間前くらいまでの相手の都合のよい吉日を選んで本人宅に訪問持参するのが基本のマナーです。手渡す時はお盆に祝い金(袋)をのせ、袱紗をかけて渡します。
挙式当日に持参する場合
受付で袱紗から取り出して「本日は誠におめでとうございます」などと挨拶した後に、金封の下方を相手に向けて差し出します。
持参せずに送る場合
遠方などの理由で直接手渡すのが難しい場合(この場合は現金封筒などで郵送)は現金書留郵便を利用します。その時は「本来なら持参すべきなのですが…」と書き添えて贈りましょう。挙式後に持参し直接訪問する場合は、新婚旅行などから帰宅しているかどうかを確かめた上で相手の都合のよい日に訪問するようにします。
避けた方が良い数字
婚礼においては、折る・汚れるなどを忌み嫌うことから、封入する紙幣は出来るだけ折り目や汚れのない新札を使用します。また封入紙幣の枚数(金額)は幸運の数字と言われる3枚・5枚・8枚が良いとされ、「祝御結婚」などの献辞(表書き)の字数ともども、4や9の付くものは死(四)や苦(九)に、6は「ろくでなし」に通じると、忌み嫌われることからなるべく避けた方が賢明です。「祝御結婚」は「御結婚御祝」と5文字にするとよいでしょう。元々は中国の古い学説で、「奇数は陽の数字、偶数は陰の数字」という陰陽説からきており、陰に当たる偶数は縁起が悪く、陽に当たる奇数は縁起が良い数字とされることからきているようです。
一方では、奇数や偶数に関係なく、「4・6・9」のような言い回し方を始め、「1」は全ての事の始まり、「2」は双方が交わる、「8」は末広がり、「10」は満ち足りて事が成就したなどと言って、それぞれを吉とする日本古来の考え方も影響して、「1・2・3・5・7・8・10」は吉兆の数字で良いとされることから、封入する紙幣の枚数や祝儀袋の表書き(献辞=上書き)の字数に用いられています。
金封の参考例
贈る金額によって下記の金封を目安にしてください。ただし、地方によって贈る金額と金封の目安が変わることがありますので注意が必要です。表書きは濃い墨(色)にて楷書で書きます。紙幣は新札を用い、封入した金額を中包袋の表面中央上に漢数字で、住所は中包袋の裏面左下(中包袋のない場合の金額は金封の裏面左下)に書き入れます。
![]() (5万円以上) |
![]() (3万円以上) |
![]() (1万円以上) |
![]() (5千円以上) |
お祝い金の目安
贈り先 | 年代別 | 東西別 | 出席者別 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
20代 | 30代 | 40代 | 50代以上 | 関東 | 関西 | 夫のみ | 妻のみ | 夫婦で | その他 | |
全体 | 3万円 | 3万円 | 3万円 | 3万円 | 3万円 | 3万円 | 3万円 | 3万円 | 10万円 | 2万円 |
勤務先の上司 | − | * | − | − | − | * | * | − | − | − |
勤務先の同僚 | 3万円 | 3万円 | * | 2万円 | 3万円 | 3万円 | 3万円 | 3万円 | * | 2万円 |
勤務先の部下 | 3万円 | 3万円 | 3万円 | 3万円 | 3万円 | 3万円 | 3万円 | * | 1) | − |
取引先 | − | * | 3万円 | 5万 | 3万円 | 2) | 3万円 | − | − | − |
兄弟姉妹 | 10万円 | 10万円 | * | * | 3万円 | 10万円 | * | * | 10万円 | 2万円 |
甥・姪 | − | 5万円 | 10万円 | 10万円 | 5万円 | 10万円 | 5万円 | 3万円 | 10万円 | 10万円 |
いとこ | 3万円 | 3万円 | 3万円 | * | 3万円 | 3万円 | 3万円 | 3万円 | 5万円 | * |
その他の親類 | − | * | 2) | 5万円 | 5万円 | 5万円 | 5万円 | * | 10万円 | * |
友人・知人 | 3万円 | 3万円 | 3) | 3万円 | 3万円 | 3万円 | 3万円 | 3万円 | 5万円 | 3万円 |
友人・知人の家族 | − | − | 5万円 | 4) | 5万円 | 2万円 | 5万円 | 1万円 | − | * |
1)5万円・10万円
2)3万円・5万円
3)2万円・3万円
4)2万円・5万円
注意)−は該当するサンプルがないもの *はサンプル数が少ないためクロス集計していません
贈り先 | 年代別 | 東西別 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
20代 | 30代 | 40代 | 50代以上 | 関東 | 関西 | |
全体 | 1万円 | 1万円 | 1万円 | 1万円 | 1万円 | 1万円 |
勤務先の同僚 | 1) | 5千円 | 5千円 | * | 5千円 | 1万円 |
勤務先の部下 | 2) | 5千円 | 5千円 | 1万円 | 2万円 | 5千円 |
取引先 | − | * | * | * | − | 1万円 |
甥・姪 | − | − | * | * | * | * |
いとこ | 3) | 1万円 | * | * | 3万円 | 1万円 |
その他の親類 | − | * | 1万円 | * | * | 1万円 |
友人・知人 | 1万円 | 1万円 | 1万円 | 1万円 | 1万円 | 1万円 |
隣・近所 | − | * | 5千円 | 1万円 | 1万円 | 1万円 |
友人・知人の家族 | − | * | 1万円 | 1万円 | 1万 | 1万円 |
1)5千円・5001円〜10000円
2)5千円・1万円
3)1万円・3万円
注意)−は該当するサンプルがないもの *はサンプル数が少ないためクロス集計していません
お祝いを贈る(お祝い品の場合)
お祝いの品は、各自各様の思い入れがあって様々なものが贈られるようですが、大切な事は贈る相手の都合や気持ちに配慮することです。極親しい方に贈る場合は、事前に希望の品を聞いて贈ると喜ばれます。そうでない場合は、二人の生活に必要なもので、場所をとらない物や重なってもよい物、欲しくても普段はなかなか買いにくい物などの基準で選ぶとよいでしょう。
贈る時期
正式には、結婚式の1ヵ月前〜1週間前くらいまでの相手の都合のよい吉日を選んで、本人宅に持参するのがしきたりです。当日までに間に合わなかったからといって、挙式当日に持参しては返って迷惑となりますので、その由を一言お断りして後日贈るようにするとよいでしょう。
持参せずに送る場合
お祝い品を購入したお店に配送を依頼するか、郵パックや宅急便などを利用します。
挙式後に持参し直接訪問する場合
新婚旅行などから帰宅しているかどうかを確かめた上で相手の都合のよい日に訪問するようにします。
避けた方がよい贈り物
ガラス製品・陶器製品・はさみ・包丁などの類は、「別れる」・「切れる」・「割れる」・「壊れる」などというものに通じるとして忌み嫌われることから、一般的には避けた方がよいとされています。また、数点がセットになったものを贈る場合でも「四つ・六つ・九つ」など、「死」・「ろくでなし」・「苦」に通じることから、出来るだけ避けた方が無難といえます。なお、1ダースや1ペアは一組と考えますので特に問題はないようです。
会費制の披露宴でのお祝いについて
会費制の披露宴では会費がお祝い金代わりとなりますので、会費とは別途にお祝い金を持参する必要はありません。また会費は、金封でなく白封筒に入れて持参しても特に問題はありません。引き出物については、通常の結婚祝い金のお祝い返しと同様に宴会終了後に受付で手渡すのが礼儀です。通常の場合は頂いたお祝い金の金額によってお返しの引き出物の金額相当が異なることになりますが、会費制の場合は同一金額ですので当日の会費に見合った金額相当同一の引き出物を用意します。
披露宴に欠席する場合のお祝いについて
披露宴に招待されたが都合でやむなく欠席することになった場合は、電話や招待状の返信でその由を伝え、後日改めて欠席のお詫びとともにお祝い金を手渡します。また、現金書留で郵送する方法もあります。金額は出席のお祝い金の額から披露宴の食事代を引いた程度が目安です。招待されていないけれどお祝いをしたい場合は金額を招待された場合より控えめにして贈りますが、5千円〜1万円程度が一般的に多いようです。
披露宴に出席しない場合のお祝いについて
披露宴に出席しない場合には、祝電を打つとよいでしょう。お祝い電報は豪華なもの、押し花の入った物など種類も多いので、よりふさわしいものを選べます。祝電は電話115番で申し込むことができます。あらかじめ配達日時と電報の文章、合計文字のめやす用紙の形態を決めておくことが大事です。形態、文字数によって値段も異なります。また、インターネットからも祝電を申し込むことができます。
婚礼の祝い返しについて
通常、結婚のお祝い金品に対するお返しは、披露宴へのご招待客には会場にて「寿」と上書きの上、引き出物としてお持ち帰りいただきますが、披露宴にご招待しなかった方々へは挙式後1ヶ月以内の落ち着いた時期に、「寿」又は「結婚内祝」・「内祝」などと上書きし、両家の姓を連名(現在では新郎・新婦の名前のみを記入するのが一般的)で書いて贈ります。
お返しの品は、下に厚く上に薄くが基本とされ、戴いた金品相当額に対して目下の人へは全額分を目上の人には半額程度を贈るのが一般的とされています。披露宴の引き出物は出席者一同に同額のものが贈られますが、お祝い金品を過分に戴いた方に対して後日追加のお返しをする場合もあります。
なお、婚礼に際しての、仲人を始め一連のお世話役への御礼に対するお返しは必要ありません。
ご贈答のマナー
贈答様式 | 贈り元 | 献辞(表書き) | 慶弔用品 |
---|---|---|---|
祝い品を贈る | 身内 身内以外 |
御結婚御祝 ご結婚お祝 寿 御歓び |
【のし紙】結切り祝 |
祝い金を贈る | 身内 身内以外 |
【金封】金銀結切り/金銀あわび結び | |
祝い返し (披露宴の招待者) |
新婦・新郎側別に渡す | 寿 | 【のし紙】結切り祝 |
祝い返し (宴に招待しない人) |
新婦・新郎側別に渡す | 寿 内祝 |
使用例(のし紙/金封/のし袋の様式)
のし紙/金封/のし袋の様式 | 使い方 | ![]() ![]() |
---|---|
水引は金銀(7本か10本)にて、結びは結切りか鮑結びを用いるのが基本です。印刷のし紙の場合は、水引は赤金または赤銀の(7本か10本)にて、結びは結切りを用います。 |
祝儀
(結婚・祝い から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/07 05:40 UTC 版)
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祝儀(しゅうぎ、御祝儀・ご祝儀)は、時節や時期や機会や出会いなど、人生や日常においての節目に金品を贈る行為。
概要
具体的な祝儀・不祝儀の機会や意味
- 慶事(喜ばしい時)などの祝意やその互助活動の手間に対する謝意を表すために贈る金品のこと。結婚式では3万円以上が目安とされている。[要出典]
- 弔事などのお見舞いやその互助活動の手間に対する謝意は不祝儀(ぶしゅうぎ)という。
- 興行や遊興を提供する者に対し送られる謝意としての金品で、チップの様な物とする向きもある。日本では法律上は不労所得[要出典]だが、欧米では所得であることが多い。また、意味合いにおいても日本独特のハレとケに由来するとも言われる。具体的には力士に対し健闘を称えたり芸妓の技芸や旅館の仲居の接客に対し、非日常(ハレ)を演出してくれる事に対する感謝でもある。
- 景気付けの一環として商取引やその生業に従事する人々の感謝や発奮を促す行為として高値で取引したり、金品を贈る行為。具体的には好事家や趣味人が、難度が高い特殊な物品の作製を依頼した時などに、携わる技術者(職人)に景気付けに渡す事もある。
- 賭け事などで期待値を高め、遊興にメリハリを付け作業対効果を簡単に上げる為や、難しい手(役)を作った事に対する祝意である。一般的には麻雀などで良く知られる。
- 江戸時代においては、金品の代表的な物として「手拭」が贈られた。現在でも歳暮や中元では、手拭やタオルを配る習慣として残っている。
祭礼
祝儀や不祝儀が送られる事柄。
祝儀
個人へ贈る。
社会・景気付け
不祝儀
個人へ贈る。
祝儀袋・不祝儀袋
熨斗書き
祝儀
- お年玉
- 心付け
- 大入り
- 寸志
- お祝
不祝儀
- お見舞い
- 香典(御香典)
- 仏前(御仏前)
- 霊前(御霊前)
袋や飾り
水引
水引の意味と種類
- 祝儀 - 結びきり、蝶結びが慶事の意味により選択される。色は赤白が一般的である。
- 不祝儀 - 弔事であることがほとんどである為、結びきりである。色は黒白が一般的である。
※「あわじ結び」においては水引の色によって冠婚葬祭いずれにも使われる。
- 水引が赤白で熨付きは祝い一般用
- 水引が赤白で熨斗無しはお見舞いと寺院のお祝い用
- 水引が黒白(又は黄白)で熨斗無しは葬儀・仏事用
- 水引が金銀で熨付きは結婚祝い用
が現代での主流となっている。TV番組等で関東ローカルのマナーが紹介されることがあるが、地方によって実情は様々であり購入の際は注意が必要である。
袱紗
袱紗(ふくさ)とは慶弔事に贈る金銭を包む袋(祝儀袋・不祝儀袋)が型崩れなど起こさぬように、その上にもう一度覆う小さな風呂敷の事である。
表書き
贈り物には目録をつけるのがきまりで、その目録を略したもの。水引上部中央に品物名を書くのが本来の形だが、何のための贈り物かその意味を表す「御礼」「御祝」「御歳暮」といった書き方が一般的になり、またお金を贈る場合は何のためのお金かその意味を明確に、「御祝儀」「酒肴料」「御霊前」というように書く。
祝儀敷き・不祝儀敷き
祭礼時に幸、不幸の別でそれを執り行う部屋の畳の敷き込みを変えていた事を指す。
- 祝儀敷き
- 不祝儀敷き
ご祝儀相場
損得関係なく商取引において、景気付けの縁起担ぎとして、一年の始まりなどに高値で取引する事を指し、株式市場や各農林水産関係の市場や初売りまたは、祭りでの縁起物の売買などでも行われる事を指す。
古くは特別な日に模様される鉄火場(賭け事を行う場所)でも胴元が普段より支払い率を多く設定することも指す。
賭博での祝儀
ご祝儀(ごしゅうぎ)とは、麻雀などでよく採用されている一種のボーナスである。 特定の条件を満たして和了った場合、和了の内容に応じたボーナスが出る。
麻雀での用例
ご祝儀に採用されるルール上の具体例。
出アガリの場合は放銃者一人から、ツモアガリの場合は他家全員から祝儀を得る。
- 例として、「赤2枚、裏1枚」の手を出アガッた場合は3枚の祝儀を、ツモアガッた場合は9枚の祝儀を得る。
- 祝儀の価値は点棒にして2000点 - 10000点が一般的。点3のレートなら1枚50円、ピンのレートなら1枚300円から1000円のルールが普及している。
祝儀返し
祝儀返しは、祝儀の何割かを現金や金品で相手に返すこと。割合は祝儀の内容や頂いた相手、金額の多寡、地方の習慣により複雑。 関西地方の一部では、ある程度まとめて祝儀返しを行うことから「おため返し」と呼ばれる。祝儀返しをしない事を「片祝い」と呼び、縁起が悪いとされる地域もある[1]が、一方で華美な習慣を律した時代には、祝儀返しの廃止が奨励された地域もある[2]。
脚注
注釈
出典
- ^ “結婚祝いのお返し(結婚内祝い)の基本マナー総ざらい!”. みんなのウェディング (2021年9月7日). 2023年7月24日閲覧。
- ^ 結婚改善要項を作成、県が奨励『大阪朝日新聞』大正15年8月29日九州版(『大正ニュース事典第7巻 大正14年-大正15年』本編p158 大正ニュース事典編纂委員会 毎日コミュニケーションズ刊 1994年)
関連事項
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