真なる神
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パンドラ(Pandora) 声 - 巽悠衣子 ギリシア神話に登場する不死者エピメテウスの妻で、あらゆる災厄と一掴みの希望を与える魔女にして『全てをあたえる女』。そして、定命の人間でありながら神を殺す偉業を成就させた者に《神殺し》の称号を与える「カンピオーネの元締めにして支援者」あるいは「全ての神殺しの義母」である。 主神ゼウスの命令により鍛冶神ヘパイストスの手で創造され、美の女神アフロディーテからは女としての魅力、女神アテナからは機織りの技、太陽神アポロンからは美しい歌声、海神ポセイドンからは変身の力、旅と盗人の神ヘルメスからは狡猾さと好奇心、といったさまざまな資質を贈り物として授けられたが、ゼウスとヘルメスから贈られた『パンドラの箱』を出来心から開けてしまい、なかからは憎悪、妬み、悲しみ、強欲、死、病など、ありとあらゆる災厄が出てきて、地上に散っていき、唯一、『希望』だけが手元に残ったという。ギリシア神話の中ではあらゆる“女の魅力”を贈られた女、愚かにも“開けてはいけない箱”を開けて災厄を地上にまきちらした悪女とされるが、その本質はオリュンポスの神々が信仰される以前から存在していた「神と人間たちにあらゆる恩寵を授ける大地の女神」、つまり原初のアテナと同じ『かつてはより強大な権威と叡智をそなえた大地母神』であり、神の創り給いし人間の女と伝えられているのは、後世のアカイア人たちが“なかったこと”にしようと物語を書きかえたためである。 数千年から数万年前、『全てをあたえる女』としての権能を利用して、かつて夫が発見した神具《強奪の円環》を改造し、神殺しの成就者に死せる神の権能を授ける神具《簒奪の円環》を作り上げた。神と人のいる所に顕現し、神を殺した者に神を生贄にすることで初めて成立する儀式を行い、円環で新たな権能を与えると同時に命の息吹を吹き込んで野生を最大限に高めることでカンピオーネへと転生させ、カンピオーネが神を殺したことによる更なる権能簒奪も同様の儀式によって行われている。 基本は推定14歳ほどの幼く見えるものの蠱惑的な少女の容姿をしているが、大地の女神として20歳前後の豊満さと賢さを十全に備えた美女の姿に変化することもできる。性格と口調はかなり軽いがこれはあくまで我が子に対する態度であり、ただの人間には歯牙にもかけない冷厳な側面も持っている。まつろわぬ神ではないきちんとした女神なので普段は「不死の領域」に居り、帰りが面倒なので神殺しが新たに生まれた時などを除いてあまり現世に出てくることはないが、しばしば生と不死の境界で死にかけたカンピオーネと会話している模様。ただし、神殺しになるような者が魂の浄化が進んで悟りを開けるレベルに至っていることはまずないため、彼女と会話した記憶を現世で思い出すことはできない。 人の世では愚かな女の筆頭に挙げられるが、本人は愚者の怒りと蛮行こそが世界を変えると信じており、神殺したちをめいっぱい支援するのは、世間があざける愚者たちが何ができるか見せてやらないと気が済まないからで、血縁はなくとも旦那の系譜に連なる養子として依怙ひいきして見守っている。カンピオーネたちが引き起こすハチャメチャな蛮行も、神を殺すという偉業を成し遂げた者の特権として容認している。自分たちの子供を殺す『最後の王』ラーマには強い敵対心を持っており、神としてのしがらみから自ら進んで彼の名を明かすことはできないが、生と不死の境界ではカンピオーネ達にいつも発破を掛けている。 魔王内戦の直前には、アストラル界の妖精王たちを訪問して回っているスミスの前に蝶に宿った状態で現れて、権能によって自分との会話を唯一記憶していられるスミスに発破を掛けた。そして、魔王内戦を勝ち抜き「運命神の領域」に至った護堂と相まみえ、《運命の担い手》に勝利した暁には特別に好きな権能を奪うというごほうびを与えることを約束し、運命神に勝利した直後に再び直接出向いて《反運命の戦士》を授けた。 また『神域のカンピオーネス』でも登場し、異世界のアテナがユニバース492の地球を自身に由来する神具《終末の器》(=パンドラの箱)を使って崩壊させた時は、アテナが自分の同類ということもあって最初は干渉するつもりはなかったが、蓮とアイーシャが戦いに巻き込まれたことを知って助力を決意。梨於奈が器の底から奪った『希望』に触れた2人を《生と不死の境界》へ呼んで《パンドラの空箱》の使い方を教授し、神殺しを忌み嫌う『運命』と『歴史』が今回に限り渋々加勢をすることを伝えて戦場へ送り出す。 顕聖二郎真君(けんせいじろうしんくん) 中華圏の武神。治水事業で功績を挙げた秦代・隋代の武将を前身としながら様々な伝承を取り込んで形成された道教の神であり、怪物退治を行う破邪顕正の神格。「天帝の甥でありながら下界を彷徨い戦う」というエピソードを持つ典型的な貴種流離譚の主人公であり、かつて地上にいた頃に天界から命令を受け、鬧天宮で悪事を働いた孫悟空を退治した。三尖刀や弾弓で武装し、変化の術と心眼を駆使した武功を見せるほか、額の第3の目を輝かせて敵の呪力を奪うことができる。自らの力の宿った「顕聖之符」が弼馬温の力の核となっている。 『最後の王』と同じ《高貴なる流浪の英雄》の相を持つことから、護堂が『最後の王』を倒せる器か測ろうとするスサノオ(御老公)に彼の相手を依頼される。斉天大聖を倒した護堂に興味を抱いたこともあってスサノオの頼みを引き受け、「顕聖之符」を核として地上へ顕現し、護堂を「討つべき魔王」として戦いを挑む。不死の領域から地上に分身を飛ばして操っており、「まつろわぬ神」ではなく「真なる神」として地上に現れた初めての神でもあった。真なる『完璧な善の存在』として普通の人間を一切傷つけることなく護堂と戦うが、人間への配慮と分身を遠隔操作していることによる動きの悪さを突かれ、自分自身を『白馬』の標的として召喚するという立ち回りを面白く感じ、わざと攻撃を受ける形で決着。その後幽世で「いつか縁があればじっくり戦いたい」とスサノオにこぼし、不死の領域へ帰っていった。 プロメテウス ギリシア神話に登場するティタン神族の末裔で、エピメテウスの兄でありパンドラの義兄。ギリシア神話版の洪水伝説を生きのびるデュカリオンの父親でもある。 “先に考える者”の名を持つ先見の明に満ちた賢人で、未来予知などの知識と叡智にまつわる権能を持つ不死者。神を欺くトリックスターであり、生け贄の取り分を決めるとき、人間に肉を与えるためにゼウスを騙して骨の皿を選ばせた逸話を持つ。人を導く偸盗の英雄でもあり、天界から盗んだ《火》を人間に与えたが、人間に肩入れしすぎた罰でコーカサス山につながれて2羽の鷲に腸をついばまれるという責め苦を受けることになった。銀縁の丸メガネをかけた洒脱な逞しい男の姿をしている。 神話通り“人間びいき”の神であり、狂える軍神の剣を手にしたとある人間の姿を見て自らが発見した神具《強奪の円環》の情報を弟に教えるなど、神殺しの誕生にも関わっている。最終決戦直前にプリンセス・アリスに助言することで間接的に護堂を自身の禁足地へと招き、神殺しの誕生秘話をパンドラと共に伝えた。 エピメテウス ギリシア神話の巨人。プロメテウスの弟でパンドラの夫。“あとで考える者”の名を持ち、考えるより先に勘と本能にまかせて体を動かす性格。行動してから後悔するために「愚者」とも呼ばれ、これがエピメテウスの落とし子であるカンピオーネたちの異名の1つ『愚者の申し子』の由来である。 兄から《剣の神々》の属性を再現する神具《強奪の円環》の存在を聞かされ、7つの神域と9つの冥府をめぐる旅の末に神具を発見し妻へと手渡した。
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