映像を表示する方式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/16 17:14 UTC 版)
ブラウン管 テレビ放送初期からの長年の実績があり、コストが安いことから家庭用・業務用ともに最も多く生産され、車載用5インチ型程度の小型から、一般用29インチ型程度まであるが、構造的に重量となって持ち運びにも負担がかかり、画面の大型化が困難(最大で36インチ程度)という弱点がある。 1990年代後半より画面を平面に近くしたタイプ(通称:フラットテレビ)が登場している。 日本では2001年より家電リサイクル法の対象となったこともあり、特に海外メーカー製および国内メーカーの海外工場製の低価格機種では廃棄コストの比率が相対的に高まって低価格のメリットが薄れ、薄型テレビの低価格化も進んでいることから、次第に縮小傾向にある。ただ、液晶が登場した当時の薄型テレビでは残像や視野角の狭さなどが目立ち、それに加えて近年[いつ?]に発売されたブラウン管テレビは周辺機器による様々な接続端子(S端子・D端子・AVマルチ端子)などで高画質にすることもできたことから、ブラウン管テレビに一定のメリットがあった。 「ブラウン管」という言葉が、「テレビ(受像機)」の代名詞として使われたことがあった。 なかには「BSデジタル搭載タイプ」や「デジタル3波チューナータイプ」も存在するが、ただし電波のデジタル移行とテレビの薄型化の時期が重なったこともあり流通量・生産数は少ない。 薄型テレビ 液晶テレビ 従来は携帯電話用の2インチ程度から、最大でも13インチ程度のものが多く、生産時の歩留まりが良くない事から大型化や低コスト化は困難といわれたが、生産技術の改良で2002年頃から30インチ前後の大型サイズの商品も登場し、また、2005年8月にはシャープが当時世界最大65インチ液晶テレビを発売するなど、プラズマテレビと比べて画面サイズの差がなくなった。消費電力が少ない(200ワット程度)利点があり、さらに大型化する研究が進められている。 ブラウン管アナログテレビに比べればボタンを押してからの反応は遅いとされる(早くて0.5秒ほどであり、遅くても1〜2秒)。 プラズマディスプレイ 2000年頃から急速に増えてきた。画面の大型化がしやすく(103インチ程度まで商品化されている)、かつ薄型にできるが、小型化が難しい(最小でも32V型程度)ためパーソナルTVには向きにくいとされる。以前は消費電力が多い、パネルの寿命が従来品より短く、画面の焼き付きが起こりやすいなどの欠点があり、従来の液晶ディスプレイの欠点を克服したテレビが売れ、徐々に市場シェアを失い、最後まで家庭用プラズマテレビを販売していたパナソニックも撤退した。 有機EL 「EL」は「Electroluminescence(エレクトロルミネッセンス)」の略。「EL」とは、電気的な刺激によって光が出る冷光現象の総称で、白熱電球のように、熱の副産物として得る光と区別される。 「EL」には、硫化亜鉛などの無機物を使う「無機ELディスプレイ」と、ジアミン類などの有機物を使う「有機ELディスプレイ」の2種類があるが、従来からある無機ELはカラー表示が難しいなどの問題があり、用途は限られていた。実用化された例としては、時計のバックライトや、医療機器の表示ディスプレイ、24時間使用し続けるコンビニエンスストアのレジのディスプレイ、スペースシャトルに搭載されたコンピュータなどがある。有機ELは無機ELに比べて「テレビに適したフルカラー表示が可能」「低い電圧で発光し、明るい」「薄く作れて、画面を巻き取るような用途にも利用できる」といった特長を備える。有機ELは電極の間に有機EL素材を挟むだけなので、液晶やプラズマに比べて構造が非常に単純である。そのため、液晶でもなく、プラズマでもない、新しい映像表示方式を採用した次世代のテレビとして注目されており、2007年10月1日、ソニーが世界初の有機ELテレビ「XEL-1」(パネルの最薄部は約3mmで世界最薄)を12月(実際は商品を入荷した一部の家電量販店が11月22日に前倒しで販売、一般向けの販売は12月1日)に発売した。 有機ELテレビは、次世代のテレビとして期待が大きい。2010年代では素材の寿命や価格が問題とされているが、技術改良が進み充分に大量生産されれば、液晶やプラズマよりも安く製品化でき、より高画質なテレビが普及する。また、ディスプレイの薄型化に伴い、将来的には丸めたり曲げたりもできるディスプレイや、SFの世界のようなテレビが開発されることも期待できる。 「EL」の原理は液晶ディスプレイのバックライトとしても利用できるため、携帯電話のモニタやクリエへの応用も実現している。 SEディスプレイ(SED) SEDは「Surface-conduction Electron-emitter Display」の略。東芝とキヤノンが共同で開発した、新しい薄型大画面ディスプレーの呼称。技術的には、「FED」(Field Emission Display、電界放出ディスプレー)の一種で、ブラウン管テレビと同様、映像を構成する発光体に電子を衝突させるという発光原理を用い、液晶テレビやプラズマテレビを上回る高画質、低消費電力を実現。「液晶テレビやプラズマテレビを遙かに上回る高画質」と前評判が高く、2005年10月4日〜10月8日に幕張メッセで開催された、アジア最大級のエレクトロニクス・情報技術展「CEATEC JAPAN 2005」での展示でも、一目でも早く見たいというAVファンが東芝とキヤノンのブースに終日列を作るなど、注目の的となった。 2004年10月に東芝とキヤノンが合弁で、「SED」パネルの開発・製造を行う「株式会社SED」を設立。2005年8月よりパネル量産を開始し、2007年から本格量産に移行する。計画であったが、特許問題をめぐる訴訟から量産開始が遅れ、東芝のSED撤退や、液晶テレビの低価格化・高性能化もあり、2010年5月に開発中止が発表された。株式会社SEDも同年9月末で会社清算となる。 プラズマアドレス液晶 開発中止。 プロジェクタ ブラウン管、液晶パネルなどの表示素子の映像をスクリーンに投影して見る方式。視聴者からみてスクリーンの裏側から投影する、リアプロジェクション方式のテレビやモニターが商品化されているが、筐体が大型になるので、日本の一般家庭への普及はあまり進んでいない。なお映画館の様に、視聴者側から投影する方式をフロントプロジェクション方式というが、こちらはモニターとして製品化されるのが一般的である。 リアプロジェクションテレビ LED 大画面モニターとして実用化されて屋外広告などで使用されているが、画素ピッチを小さくするのは難しく主に液晶テレビのバックライトとして用いられている。製品化が遅れていたが2012年1月にはSONYがCrystal LED Displayとして発表した。
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