反対運動とその評価とは? わかりやすく解説

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反対運動とその評価

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/09 02:13 UTC 版)

ダム建設の是非」の記事における「反対運動とその評価」の解説

ダム建設対す反対運動古くから存在していたが、以前河川開発への重要性最優先であったため、仮に住民側から強硬な反対があったとしても最終的に不利な補償内容であったとしても妥協せざるを得ず公共事業実施において住民意思などは省みられなかった。一例として1953年昭和28年)に完成した岩手県石淵ダム胆沢川)があり、事業者である内務省高圧的強権的水没住民への態度二束三文補償金支払い、そして完成式典住民を招かなかった報恩意識欠如という住民軽視補償交渉が行われた。この件については1963年昭和38年)に科学技術庁資源局発行した『石淵貯水池水没補償に関する実態調査報告』においても批判されているが、『日本多目的ダム 1963年版』の石淵ダムの項目では「関係者一同少なからず苦心した」の文言片付けられている。こうした事業者姿勢日本国憲法発布以降における国民の権利意識の向上もあり、次第ダム建設対す反対運動活発化していく。 世間ダム反対運動クローズアップされたのは、1954年昭和29年)の「田子倉ダム補償事件」からである。これは当時電源開発只見特定地域総合開発計画一環として計画していた田子倉ダム対し水没住民激し反対運動を展開。これを解決すべく大竹作摩福島県知事斡旋によって当時としては極めて異例な高額補償金支払い応じると会社側が発表した事件である。最終的に河川行政所管する建設省現・国交通省)・電力行政所管する通商産業省(現・経済産業省)等が反発し結局は当時相場応じた補償金支払い妥結したが、この事件契機各地ダム反対運動この影響を受け、補償金吊上げ狙って反対運動激化させるという現象起こったその後事業者開発優先姿勢崩さず、「円満解決」と表現しながらも土地収用法による強制収用等の半ば横暴な手法が行われていたケースもあった。 これに風穴を開けたのが、筑後川水系松原ダム下筌ダム建設事業起こった蜂の巣城紛争である。公共事業基本的人権整合性を問うた室原知幸活動水源地域対策特別措置法はじめとして従来、目が向けられなかった水没地域福利厚生地域振興推進する契機となり「住民同意がない限りダム建設着工されない」という不文律形成した漁業権観点からは強制収用から共生への方向転換がなされ、ノリ養殖に絡む筑後大堰福岡県・佐賀県有明海漁業協同組合連合攻防は、ノリ養殖保護のために筑後川本流ダム連携放流による品質維持という漁連と国の協力態勢構築繋がった宮城県気仙沼市計画されていた新月ダム大川)は、カキ養殖生業とする漁業関係者反対によってダム計画自体中止される至った。さらに北海道二風谷ダム沙流川)では、ダム建設反対する萱野茂らがアイヌ民族先住性二風谷ダム建設差し止め訴訟訴え札幌地方裁判所判決ダム建設差し止め棄却されたが、アイヌ民族先住性認められた。ダム建設反対運動契機となって北海道旧土人保護法廃止アイヌ文化振興法制定されアイヌにとっては「先住認定」が国によってなされるという歴史的転機もたらされた。 近年では公共事業見直し風潮の中、長野県田中康夫知事当時)による「脱ダム宣言」をはじめ、川辺川ダム反対運動等、ダム建設反対活動勢い衰えていない。特に徳島県那賀郡木頭村(現・那賀町)に建設省四国地方建設局計画していた「細川ダム」(那賀川)は、当時木頭村長・藤田恵を中心に全体ダム建設反対運動を展開。20年上かけて国・県と対峙した結果1996年平成7年)に事業計画事実上中止追い込んだ正式な事業中止2000年)。これを契機日本各地ダム事業相次いで中止となるなど、影響力大きかった中止されダムの詳細については中止したダム事業参照)。こうしたダム反対運動日本の河川行政不備指摘したのは事実であり、そうした流れ漫然とした公共事業継続による歳出超過削減するという観点第1次小泉内閣の『骨太の方針』における公共事業総点検へと繋がり100箇所上のダム事業凍結中止へと結実した。 また「尾瀬原ダム計画反対運動」が契機となった日本自然保護運動日本自然保護協会結成環境影響評価法制定結実し環境保護観点において大規模公共事業自然保護整合性を図る重要な法律となって、“公共事業環境破壊”の構図修正する転機となったこうした観点から大規模公共事業中止相次いでなされ「宍道湖中海干拓事業」の中止や「千歳川放水路建設事業」の中止等に結実したダム建設も同様で現在は事業者水源地域・受益者を含む下流関係者三者による、治水・利水産業環境補償等の総合的な合意得られることが建設への必須事項となった住民意向軽視し開発最優先だった高度経済成長期までと比べれば、「住民参加型」という意味では相当改善された。反面、このことがダム建設長期化招いたのも事実であり、事業長期化による負担増に耐えられなくなった地方自治体計画遅々として進まないダム事業への参加離脱する動き首都圏京阪神において拡大した長期化しているダムの詳細については日本長期化ダム事業参照)。これにより戸倉ダム片品川)等のダム建設中止追い込まれているが、過剰な事業費支出による財政圧迫下流住民負担増を考慮した場合漫然とした歳出抑制を行う観点改善した事象といえる。 これに加えてダムを含む大規模公共事業に絡む行政側と業者間の不透明な関係ダム事業対す批判強めた福島県木戸ダム木戸川)における建設業者から県知事関係者への不当なリベートその後贈収賄事件発展し2006年平成18年)には当時佐藤栄佐久知事逮捕されている。また、いわゆる談合ダム事業の中で行われたことも、ダム水門落札に絡む水門業者談合事件2006年)など繰り返し発覚している。ただしこれらはダムだけに限ったことではなく日本悪しき商慣習根ざした構造的な問題との指摘があり、「談合決別宣言」を行った裏で談合繰り返した名古屋市営地下鉄工事談合事件など公共事業全般に及ぶ病理でもある。

※この「反対運動とその評価」の解説は、「ダム建設の是非」の解説の一部です。
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