反対運動と事業再評価
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/23 01:18 UTC 版)
用地の90%は買収済みで、水源地域対策特別措置法の補助対象となったことから、一般補償基準の妥結内容に基づき水没する生保集落・車作集落の移転先造成や、大阪府道46号茨木亀岡線の付け替え工事が行われている。だが、オオタカやオオサンショウウオなど貴重な生物が数多く生息している風光明媚な上流の自然が破壊される、ダムサイトに馬場断層があるために直下型地震で被害を受ける懸念がある、節水の普及によって水需要が横ばいであるために大阪府が財政難の今新しいダム建設は無謀であり建設中止にすべき、といった理由から「安威川ダムは、いりまへん府民の会」など、下流域の一部市民による反対意見も多い。 これに対して大阪府は、ダムはまず治水目的である、建設を中止すればこれまでの投資がかえって無駄になる、と建設を進める考えである。2005年8月には府営水道の将来需要見直しのなかで安威川ダムに触れ、水需要の横ばいに合わせてダムの利水規模を当初計画の日量7万トンから1万トン程度にまで縮小し、建設規模もダムの高さを6.0m抑えて事業費を大幅節減することを発表している。これにより、当初の総貯水容量22,900,000トンは18,000,000トンに、湛水面積も56haから34haに縮小されることとなった。 2005年12月には、大阪府の公共事業見直しを検討する大阪府建設事業評価委員会が、「安威川ダム建設事業は経費圧縮の努力や流域自治体5市の建設促進要望が強い」ことなどを理由として、事業の継続は妥当との結論を発表した。 先述のように事業は長期化しており、完成予定も2021年(令和3年)2月26日へ完成年度は大幅に遅滞した。 なお、安威川ダムから西に山一つ越えた神崎川の右支川・猪名川の小右支川である余野川には、国土交通省近畿地方整備局によって重力式コンクリートダムの余野川ダム(高さ74.0m)が建設予定であるが、2005年の淀川水系流域委員会の答申を受けて国土交通省が建設中止の意向を示している。 2020年には周辺住民たちから府に公金の支出差し止めを求めた訴訟を起こされたが、彼らの請求は退けられている。
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