反対運動と訴訟
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『第一種低層住宅専用地域』に指定された周辺の深沢・八雲地区は、2階建てを中心とした低層住宅街が広がっているにもかかわらず、その地にあってこの高層棟の建設が可能だったのは、当地域が『第一種中高層住宅専用地域』に指定されていた都立大学の跡地であったことに由来する。 従来第一種低層住宅地として整備されてきた地域に、大学用に設定された中高層指定を利用する形で巨大なマンションが建築されることに周辺住民からは強い反発が起きた。2003年5月、周辺住民59人は、施工会社の長谷工コーポレーションなど企業10社を相手に、高さ20メートル(6階相当、当初は12m)を超える部分の建築差し止めや撤去を求めて、東京地裁に仮処分申請した。だが、地裁は12月2日までに却下する決定を下した。 この後、周辺住民76人は長谷工に対して、住民や行政の要望をほとんど受け入れずに着工に踏み切った上、工事中も条例規制値を超える騒音や振動に対して十分な対処を行わず一部の周辺住戸に被害が出たことから、建物の12階以上の撤去(提訴当時は設計変更であったが、完成したため撤去に変更)と工事および日照権侵害による損害賠償を求め民事訴訟を起こした。 2005年11月28日、東京地裁は原告76人のうち21人について工事による騒音被害が受忍限度を超えていたこと、同じく3人について工事の振動による住宅被害があったことを認めて660万円の損害賠償を命じる判決を下したが、日照権侵害は「受忍限度内」、12階以上の撤去については「関係法令の要件を満たしていること」「景観利益は確立していたといえず、高さ制限が住民大多数の意思とは認めがたいこと」を理由としていずれも退けた。原告側は控訴したが、2006年8月24日に東京高裁はこれを棄却。原告側は最高裁判所に上告したと関連書籍にあるが、その後の状況は報道等がなくはっきりしていない。 なお、世田谷区在住の周辺住民はこれとは別に、本来長谷工が区に支払うべき「環境整備協力金」約3億円が不明朗な経緯によって不当に免除されたとして平成17年に世田谷区に住民監査請求を行ったが「環境整備協力金」は事業者と区との合意による寄付であり減額は問題はないとして却下されたため、世田谷区長を相手取った行政訴訟を提訴した。この訴訟の結果については報じられていない。
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