スペースシャトル
分類:スペースシャトル
名称:スペースシャトル
号数:STS-1(1981年4月12日)~STS-114(2005年7月)
オービター名称:コロンビア(1981年4月12日~2003年2月1日)/チャレンジャー(1983年4月4日〜1986年1月28日)/ディスカバリー(1984年8月30日~)/アトランティス(1985年10月3日~)/エンデバー(1992年5月7日~)
打ち上げ国名・機関:アメリカ/アメリカ航空宇宙局(NASA)
運用開始年月日:1981年 4月12日~
スペースシャトルは従来のロケットとはちがい、地上と宇宙の間を往復して運航できるのが特徴のアメリカで開発された有人宇宙船です。オービター(軌道船)と液体燃料タンク、2基の固体ブースターで構成されています。オービターは、通常の航空機に似た有翼のロケットです。初飛行は、1981年4月12日に行なわれました。このときのオービターは、コロンビアと呼ばれるものでした。続いて、チャレンジャー、ディスカバリー、アトランティスと計4機のオービターが執に打ち上げられ、有人宇宙輸送システムが完成します。1990年4月には、ディスカバリー(STS-31)が、直径2.4mの反射鏡を持つ巨大なハッブル宇宙望遠鏡(HST)を軌道上に運んでいます。1992年5月にはエンデバーが初飛行、宇宙ステーション建設のための技術試験を行ないました。1995年6月にはアトランティス(STS-71)がロシアの宇宙ステーション、ミールとドッキングし、その状態のまま4日と21時間飛行しました。この準備のためにロシアの衛星ソユーズTM-21で宇宙に向かい、ミールに乗り組んでいたアメリカのサガード飛行士は、STS-71で帰還しています。アポロ-ソユーズ試験計画以来20年ぶりの米ロ共同飛行でした。1997年2月にはディスカバリー(STS-82)が、それまで地球周回軌道をまわって多くの天体の画像を観測してきたハッブル宇宙望遠鏡の性能を大幅に改良するため、観測装置を交換することに成功しました。1998年からは国際宇宙ステーション(ISS)の建設にスペースシャトルが活躍しています。しかし、1986年1月28日に25回目の飛行でチャレンジャー(STS-51L)が爆発して乗員7名が死亡、2003年2月1日には28回目の飛行でコロンビア(STS-107)が大気圏再突入時に空中分解して乗員7名が死亡するという惨事にも見舞われました。それでもスペースシャトルによる宇宙開発への前進は続けられ、2005年7月にディスカバリー(STS-114)が打ち上げられます。
また、スペースシャトルには、すでに4人の日本人飛行士が7回乗り組んでいます。1992年9月に毛利衛さん(宇宙航空研究開発機構(JAXA))がエンデバー(STS-47)、1994年7月には向井千秋さんがコロンビア(STS-65)、1996年1月には若田光一さんがエンデバー(STS-72)に搭乗し、1997年11月には土井隆雄さんがコロンビア(STS-87)に乗り、日本人として初めて船外活動を行ないました。1998年10月には、ディスカバリー(STS-95)で向井さんが2回目の飛行をしました。2000年2月には毛利衛さんが2度目の搭乗となるエンデバー(STS-99)に、2000年10月には若田光一さんがアトランティス(STS-92)に乗りました。2005年7月打上げのディスカバリー(STS-114)には野口聡一さんが宇宙飛行士として初めて参加します。ほかにも古川聡さん、星出彰彦さん、山崎直子さんたちがスペースシャトルで宇宙へ飛び立つための準備と訓練を行なっています。
1.スペースシャトルってどういうものなの?
スペースシャトルは、オービター(軌道船)と、それを打ち上げるための液体燃料タンク、固体ブースター2基から構成されています。オービターは三角翼の航空機のような形をしています。その前部は乗員室で、気密室となっていて、宇宙服なしで生活できる環境です。中央部は船倉、後部は機器収納室という構造です。機器収納室には、打ち上げ時に使う主エンジンと、軌道上で稼働する小型エンジンが積まれています。オービターは、従来の打ち上げロケット、人工衛星、帰還用の大気圏再突入カプセルの3つの要素を持っています。そして帰還後はふたたび整備されて再利用されます。オービターは中型旅客機ほどの大きさで、高さは17m、長さ37m、翼長24m、重さ85tです。機器収納室のみの直径は4.6m、長さ18mです。2基の固体ブースターは燃料タンクをはさむように取り付けられています。その機材は回収後、数回再利用されます。外部の液体燃料タンクはスペースシャトルのシステム中最大のもので、この部分は安価なこともあって毎回使い捨ててしまいます。内部は2つのタンクに分かれており、前部が液体酸素用、後部が液体水素用です。スペースシャトル全体の高さは23m、長さは56m、総重量は約2000tです。そして、そのすべてが固体ブースターとオービターの主エンジンとの合計3,000tの推力で上昇します。
2.計画はどういう目的のために行なわれ、どのようなことに成功したの?
スペースシャトルが生まれた背景には、NASAの有人宇宙飛行へのこだわり、低コスト化と資源リサイクルなどの方針がありました。その中で、各種の無人衛星、惑星探査機の軌道上への運搬や、故障した衛星の回収、修理、無重量空間を利用した各種実験をすることがスペースシャトルの目的でした。結果として、開発費との兼ね合いから、主要な部分を再利用する形の、現在に至るスペースシャトルの基本的なシステムが作られました。しかし、1986年1月、チャレンジャー(STS-51L)が打ち上げ直後に爆発、乗員7名が死亡しました。これを契機にアメリカの宇宙開発全体が見直され、ふたたび無人宇宙船の活用、使い捨てロケットの使用などの方法が併用されるようになります。スペースシャトル自体も徹底的に検証され、細かい部分で多くの改良が加えられました。1988年9月に飛行を再開、1990年4月には、ディスカバリー(STS-31)によって重量11tのハッブル宇宙望遠鏡(HST)が軌道上に運ばれています。1995年6月には、アトランティス(STS-71)がロシアの宇宙ステーション、ミールとドッキングして4日21時間の飛行をしました。そして1997年2月、ディスカバリー(STS-82)が、ハッブル宇宙望遠鏡の性能を上げるため、その観測装置を交換しています。1998年12月4日からはエンデバー(STS-88)を皮切りに、国際宇宙ステーションの建設に利用されています。
3.スペースシャトルの飛行はどのような順序で行なわれたの?
打ち上げ時には、2基の固体ブースターと燃料タンクの液体水素を、オービターの主エンジンで燃やしながら上昇します。約2分後に、役目を終えた固体ブースターが切り離され、パラシュートで海面に降下します。打ち上げ約8分後に、250~400kmの高度で燃料タンクが切り離されます。オービターは、軌道修正用の小型エンジンで地球周回軌道にのります。軌道上で、あらかじめ予定された目的の作業=オペレーション(衛星の軌道上への運搬、各種実験など)を行ないます。オービターが大気圏に再突入して帰還するときは、下部を前に向け(仰角は30~40度)大気との摩擦(エアブレーキ)を大きくして減速します。そして、グライダーと同じように滑空して着陸します。
※参考文献:小平桂一ほか監修「平凡社版天文の事典」平凡社、バズ・オルドリン+マルカム・マコネル/鈴木健次ほか訳「地球から来た男」角川選書、的川泰宣「飛びだせ宇宙へ」岩波ジュニア新書、「日本と世界の宇宙ロケットと衛星カタログ」成美堂出版、宇宙開発事業団・編「新版宇宙飛行士になるための本」同文書陰ケネス・W・ガトランドほか/佐貫亦男・日本語版監修「世界の宇宙開発」旺文社、河島信樹・監修/三品隆司ほか編「改訂版[図解]SPACE ATLAS」PHP研究所
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