コイン怪獣 カネゴン
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「ウルトラQの登場怪獣」の記事における「コイン怪獣 カネゴン」の解説
第15話「カネゴンの繭」に登場。 金に汚い性格である拝金主義の金の亡者であるガキ大将・加根田金男が、偶然拾った30円くらいの硬貨の音がする不思議な繭に引き込まれ、数時間かけて変異した怪獣。カネゴンとは本来、金男が繭を拾った日の晩に両親が金男に説教した際、「人の落とした金銭を横領したりすると変身してしまう守銭奴の権化」として語る空想上の存在である。両親はこのままではカネゴンになると忠告するも、金男は「そいつは頼りになりそうな動物」と一笑に伏していたが、この直後、金男は本当にカネゴンに変異し始めてしまう。恐怖と興奮の頂点の中で一晩かけて変異し、翌朝、夜明けと共に誕生したカネゴンは驚いた両親を背に家を飛び出し、友人たちを巻き込んで騒動を引き起こす。 金入れのような頭部は一見カエルやアンコウのようで、口はジッパーの歯が付いたがま口で大きな舌があり、その下にはそばかす状の黒い粒々模様がある。頭にあるとげは相手に馬鹿にされないように強く見せるもので、目はお金の方を向いて細長く2本飛び出しており、垂れてぎらついた眼球からは感情が高ぶると涙がこぼれ落ち、怒ると煙を噴出する。10キロメートル先まで見え、額の大きい金はさらによく見える。左胸にはレジスターが付いており、その中身はコイン選別腸でコインの本物と偽物を見分けることができ、腸の鑑定液で分別後、本物のコインから金属エネルギーを吸い取る。それと同時に鑑定神経の作用でレジスターを動かし、食べた本物のコインの量によりレジスターの数値が上がり、カネゴンの活動エネルギーに変換される。偽物のコインは選り分けられたのち、選別腸のそばにある分解臓ではねられながら分解される。食べた本物のコインは腹部のコイン袋に貯蔵され、10円硬貨ならば1千万枚貯めることができる。足の甲には2つのボンボンがあり、地面を踏むたびに光りだす。全身は銅貨のように赤光りした鎧をまとったような姿形(火星人と形容される)で、太く短い尻尾の先端は尖っている。性格は少年の時とうって変わって気が弱く、変異前はガキ大将として子供たちのリーダーに君臨していたが、変異後は子供たちのグループ内で一番の下っ端になってしまう。 主食は硬貨とお札。1日に必要な額は3,520円。左胸のレジスターのカウンターに体内の金額が表示され、それがゼロになると死亡するので、金を食べ続けるが、カネゴンに与えて金がなくなった友人たち(彼らもかなり金に意地汚い)に売られそうになって逃げ出し、ついに銀行の金を食らうに至る。騒動の末、祈祷師から子供たちの天敵である造成地工事の責任者(ヒゲオヤジ)を逆立ちさせれば元の人間に戻れるというかなり無茶な予言を受けて実行したところ、カネゴンは尻から火を噴くロケットと化して飛び去って行き、上空からパラシュートと共に元の姿に戻った金男が降りて来る。しかし、喜び勇んで帰宅した金男は、両親の異変に驚愕する。カネゴンが数時間前に銀行で喰い残した小銭をネコババしていた金男の両親は、2人ともカネゴンと化していたのである。照れ笑い合う2匹のカネゴンを見た金男は、ただ呆れ果てるばかりであった。 スーツアクター:中村晴吉 演(加根田金男):辻沢敏、声:麻生みつ子辻沢は当初「カネゴンの繭」と同時撮影の予定であった「キリがない」の準主役として出演する予定であった。撮影は夏休みの間に行われた。辻沢はすでに変声期を迎えて子供らしくない声であったため、女性声優での吹替となった。 デザインは成田亨、造形者は高山良策。デザインイメージは「欲望の権化」。頭部はがま口から発想を得ており、胴体は妊婦がモデルとしており、全身の肌と上から見た頭部は巻貝のような意匠で整えられており、成田は頭部とのバランスを考慮して腹と尾を突き出したことを述べている。ラテックス成形で全身原型の型起こしによるもの。コインを掴むため、カネゴンの指はスーツアクターの指がそのまま使われている。 脚本を担当した山田正弘は、当時小学5年生であった息子が算数は苦手であったが金銭の計算はできたことに着想を得て、本話を執筆した。また監督の中川晴之助は、当時の風潮であった拝金主義に対する風刺であるとしている。 助監督をつとめた満田かずほによると、等身大のカネゴンが都会の人混みの中を歩くシーン(完全ゲリラ撮影だった)が面白いということで、同年(1966年)怪獣を入れたホームドラマ『快獣ブースカ』が誕生したという。ブースカとカネゴンのアクターは同一である。またエンディングのシーンでカネゴンが2体(金男の両親の化身)登場するが、これはオプチカルによる合成で、満田は「(着ぐるみを)2体作った方が良かったのでは」と語っている。[要出典] 繭はもともと金男が持っていたカネゴンへの変身能力を引き出すための鍵だと言われている。当時の少年誌『ぼくら』昭和41年5月号の絵物語では繭は宇宙人が金男を諌めるために送ったとされている。さらに4月号の特集では繭は金にがめつい人間にしか反応しないと説明されている。 工事現場監督の乗ったブルドーザーが動き出して転倒した際に、着ぐるみの頭部が外れるハプニングが起きている。[独自研究?] 『TBSコミックス』昭和42年11月号(創刊号)に掲載された鬼童譲二著の漫画版では、基本的ストーリーは同じだが、ページの制約上(全16ページ)本作品の特徴であるシュールな演出はかなり控えられている。漫画版のカネゴンは頭部のトゲは控えめで代わりに目を強調した感じで、尻尾は長く、身体全体が丸みを帯びたデザインになっている。カネゴンから人間に戻るシーンは空中でボムッとカネゴンが爆発した後からパラシュートを着けた金男が現れる演出である。 「ガラモンの逆襲」のセットで撮影された特写会のスチール写真(東京タワーをはさみ、ペギラ、パゴス、カネゴン、ゴーガが集合)が存在している。 カラーライズ版『総天然色ウルトラQ』では、放送当時のイベント写真や劇中の「銅貨のように赤光りして」というセリフをもとに、体色は赤い銅色で仕上げられた。 佐原健二らのレギュラー出演が一人も登場しない唯一のエピソードである。オープニングテーマ曲と石坂浩二のナレーションが使われないのは、同じ中川晴之助監督の『育てよ!カメ』に続き、放映順でともに2回目。 『ウルトラQ』は劇場映画用と同じ35mmフィルムで撮影していたが、中川晴之助は16mmの調子でカメラを回し続け、他の監督から「フィルム喰いのハルゴン」とあだ名を付けられた。
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