焼きそば 食材

焼きそば

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/05/06 14:27 UTC 版)

食材

「焼きそば」用の麺はソバが原料の日本蕎麦ではなく、小麦粉が原料の中華麺である。焼きそば用に販売される中華麺は蒸した上、ほぐしやすいように処理がされているものが多い。近畿圏では油処理なしの茹で麺もよく用いられる。大手メーカーから家庭向けに販売されている商品は、個別包装された2 - 3食分の蒸し中華麺に粉末、あるいは液体の濃縮調味料を添付して1パックとされているのが標準的である。

味付けにはウスターソース醤油胡椒オイスターソース・味噌、隠し味でトマトケチャップなどが用いられる。焼きそば用に味や濃度が調整された「焼きそばソース」も各メーカーから市販されている。ウスターソースの代わりに、食塩が入った出汁などを使った味付けは「塩焼きそば」[7]、醤油ベースの味付けなら「醤油焼きそば」[8]味噌ベースの味付けなら「みそ焼きそば」と呼ぶこともある。

具材は、豚肉などの肉類、キャベツニンジンタマネギもやしピーマンなどの野菜類が多く使われるが、イカなどの魚介類、天かす目玉焼き錦糸卵タケノコ[9]などを使用する場合もある。盛り付けの際に青のり海苔削り節を振り掛けたり、刻んだ紅しょうがを添えたりする。マヨネーズ七味唐辛子・ゴマなどをかける場合もある。

類似の料理

炒麺、あんかけ焼きそば

上海焼きそば(上海炒麺)

中華料理の「炒麺」も、日本では一般に焼きそばと呼称される。日本の焼きそばによく似た「上海炒麺」がある。このほか、炒めた麺の上に、調理した海老人参椎茸などの具を水溶き片栗粉などでとろみをつけて合わせたを掛けたものは「五目あんかけ焼そば」あるいは単に「五目焼きそば」「あんかけ焼きそば」と呼ばれる。この餡は中華丼の具や八宝菜に類似する。 兵庫県神戸市周辺では、中華料理店の炒麺は「焼きそば」、お好み焼き屋などで供されるソース焼きそばは「そば焼き」と呼んで区別される。

炸麺、かた焼きそば、あげそば、皿うどん

五目かた焼きそば

また、「炸麺」と呼ばれる油で揚げてパリパリにした中華麺の上に餡を掛けたものは「かた焼きそば」(あるいは「あげそば」「バリそば」)と呼ぶ。かた焼きそばは、アメリカ式の広東料理が銀座アスターを通じて日本に入ってきたもの[10]ではないかといわれているが、開業当時のメニューが残っていないため、確かな証拠はない。また、かた焼きそばと似ているが発祥が異なる料理として、長崎市皿うどんがある。

その他

  • このほか、飲食店がメニューとして出したり、調味料会社などがレシピを提供したりしている多様な焼きそば風料理が存在する。中華麺を使わず、スパゲティの麺にケチャップ[11]蕎麦めんつゆ[12]などをベースとする調味料で味付けした料理を「焼きそば」と称することもある。
  • また、タイ料理パッタイを「タイ風焼きそば」と呼ぶ[13]など、外国の似た料理の説明に「焼きそば」という言葉が使われることもある。

インスタント食品

インスタント食品としての焼きそばは、油揚げされた麺を湯で戻し、付属のソースで味付けをする。なお、この油揚げされた麺というのは、固焼きそばのそれとは違い、インスタントラーメンに多い即席油揚げ麺の事であり、乾燥保存と麺の中に微細な空洞を作って戻しやすくすることを目的として揚げたものである。味付けはソース焼きそばがほとんどであるが、塩焼きそば、カレー焼きそば、オイスターソースを用いた上海焼きそばインドネシア風のミーゴレンなどのバリエーションも存在する。あんかけソースの付属した中華風焼きそば(揚げ麺や固焼きそば)に類するものも少数見られる。

インスタント焼きそばにはカップ麺カップ焼きそば)と袋麺があるが、付属の専用容器で調理を行うカップ式の物に比べ、袋麺は種類も流通量も非常に少ない。これは前者がお湯で戻した麺にソースを混ぜるだけ[注釈 1]で常に安定した味が得られるのに対し、後者は鍋を使って調理する必要があり、湯量や火力の調整が難しく失敗も多かったためで、カップ焼きそばが登場した1970年代後半を境に完全に主流が切り替わった。このため袋麺は1960年代から仕様が変わっていないものがほとんどで、カップ式の大半が液体ソースであるのに対し、袋麺には昔ながらの粉末タイプのものが多い。

冷凍食品も販売されており、「五目あんかけ焼きそば」や「ご当地焼きそば」も存在する。


注釈

  1. ^ したがって、厳密には「焼き」そばではない。

出典

  1. ^ 澁川 2017, p. 259.
  2. ^ a b c 澁川 2017, p. 268.
  3. ^ 澁川 2017, pp. 266–267.
  4. ^ 合資会社荒川製麺. “やきそばの歴史”. 2014年5月9日閲覧。
  5. ^ 澁川 2017, pp. 267–268.
  6. ^ 発売53年目にして誕生! 世界初のインスタント焼そば「日清焼そば」のブランドキャラクター「ロボットコンロ チリチリ」日清食品・お知らせ(2016年6月27日)2018年2月4日閲覧
  7. ^ 塩焼きそば創味食品ホームページ(2018年2月4日閲覧)
  8. ^ 佐藤さゆり・高橋健太・松井一恵「密かなるとっておきランチ」『散歩の達人』第22巻第8号、交通新聞社、2017年8月、44頁、大宅壮一文庫所蔵:100033835 
  9. ^ シャッキリ焼きそば”. オタフクソース. 2018年2月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年2月4日閲覧。
  10. ^ 「かた焼きそば」を偏愛するミュージシャンに聞いた、食べるべき名店と意外すぎる由来
  11. ^ 目玉焼きのっけ!ナポリタン焼そば”. キッコーマン. 2018年2月4日閲覧。
  12. ^ 塩崎省吾. “和蕎麦のパリッと焼きそば”. キッコーマン. 2020年4月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年2月4日閲覧。
  13. ^ タイ風焼そば -パッタイ-”. ケンミン食品. 2020年4月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年12月15日閲覧。
  14. ^ カリーナ”. 新潟・食品名産図鑑 (2015年). 2017年7月28日閲覧。
  15. ^ ござれやきそば”. 新潟・食品名産図鑑 (2015年). 2017年7月28日閲覧。
  16. ^ ご当地グルメ「信州つけ焼そば」誕生 長野で特産キノコふんだんに使い産経新聞2017年12月5日(2018年3月12日閲覧)
  17. ^ ほりほりの姫路ガイド
  18. ^ マスコミの方へ”. 八角グループ. 2015年9月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年9月26日閲覧。
  19. ^ 備中高梁インディアントマト焼そば備中高梁食援隊(2020年12月28日閲覧)
  20. ^ スザノから全伯に広がる=ヤキソバ発祥の地の誇り=製麺所と文協がタイアップ”. ニッケイ新聞 (2017年6月13日). 2018年8月31日閲覧。
  21. ^ オタフクソース. “お料理レシピ 広島お好み焼き”. 2022年12月26日閲覧。





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