専修学校 統計

専修学校

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/03 10:23 UTC 版)

統計

専修学校進学率

最近では、少子化による大学入試の易化、大学での職業教育の充実により、専修学校の専門課程は志願者集めに苦戦しているといわれている[22][23]

実際には、高校卒業者の専修学校進学率は平成に入ってからも15~20%のあいだを推移しており、2016年度も16.2%であった。都道府県別にみると、新潟県が最も高く26.5%であった[24]。新潟県には県内で27校の専修学校(NSGカレッジリーグ)を運営しているNSGグループをはじめ、専修学校が多数立地している。

他方で、最も専修学校進学率が低いのは東京都広島県の11.8%で、その分大学進学率が高くなっている[要出典]

就職率

2022年の就職率は、専門課程[注釈 19]卒が94.7%、短期大学卒が97.8%、大学卒が95.8%であった[25][注釈 20]

設置基準

専修学校は修業年限は1年以上、昼間課程の年間授業時間は800時間以上、夜間課程の年間授業時間は450時間以上、生徒は常時40人以上でなければならない。専修学校と各種学校は類似しているが、各種学校の方が基準は緩い[注釈 21]

  • 高等課程のうち、大学入学資格が付与される課程は修業年限は3年以上、修了に必要な総授業時数は2,590単位時間以上[注釈 22]、修了に必要な普通科目の総授業時数が420単位時間以上[注釈 23]でなければならない。
  • 専門課程のうち、大学に編入学することができる課程は修業年限は2年以上、課程の修了に必要な総時間数は1,700時間以上でなければならず、さらに、試験などで成績評価をおこない、その評価にもとづく課程の修了認定をおこなっている課程は専門士の称号を付与できる[26]

専修学校の設置基準は学校教育法のほかにも文部科学省令である「専修学校設置基準[9]」などに詳しく定められている。

なお、上記で用いられている「時間」という用語は単位時間[注釈 24]を指す。このことは専修学校設置基準関連法令の趣旨および概要を通達した別文書「学校教育法の一部を改正する法律等の施行について[27]」に記されている。

教育組織

専修学校には高等課程、専門課程、一般課程ごとに、専修学校の目的に応じた分野の区分ごとに「教育上の基本となる組織」を置くものとされ[28]、「教育上の基本となる組織」に1または2以上の学科を置くものとされている[29][注釈 25]

複数の課程を置き、多数の分野をあつかう専修学校では「工業高等課程」、「商業実務高等課程」、「工業専門課程」、「商業実務専門課程」、「文化・教養一般課程」などの名称の「教育上の基本となる組織」が置かれ、その下に学科が置かれる。

施設および設備等

専修学校の施設および設備などについては、「専修学校設置基準」の「第5章 施設及び設備等」などに定めがある。

項目 内容
原則 校地および校舎位置および環境は、教育上および保健衛生上適切なものでなければならない(第44条)。
必ず)備えなければならないもの 校舎等を保有するに必要な面積の校地、校舎(第45条第1項)
目的に応じ、備えなければならないもの 運動場、その他必要な施設の用地(第45条第2項)
目的、生徒数または課程に応じ、備えなければならないもの 教室[注釈 26]教員室事務室、その他必要な附帯施設(第46条第1項)
必要な種類および数の機械器具標本図書、その他の設備(第49条)
なるべく備えなければならないもの 図書室保健室教員研究室等(第46条第2項)
目的に応じ確保しなければならないもの 実習場、その他の必要な施設(第46条第3項)
夜間において授業を行う専修学校が備えなければならないもの 適当な照明設備(第50条)

なお、専修学校は、特別の事情があり、かつ、教育上および安全上支障がない場合は他の学校などの施設および設備を使用することができる(第51条)。

特徴

  • 技能や資格が知識と同時に得られるカリキュラムになっている専修学校が多い。
  • 大学等の一条校に比べ設置基準が緩いため、カリキュラムを実社会の動向に合わせて素早く変更できる(小規模校が多く、小回りが利きやすい)[30]
  • 企業が直接開校に関わった、その仕事に直結する専修学校が存在する[注釈 27]
  • 専門学校は就職率[注釈 28]が大学より高い。文部科学省の調べで2005年度の就職率は専門学校79.7%、短期大学67.7%、大学[注釈 20]63.7%と、大学より10ポイント高くなっている。これは、専門学校では企業が求める専門的な技能を卒業生が身につけていることが大きな理由であるとされる[31]。ただし、同年度の卒業者のうち就職希望者の割合は専修学校91.4%、短期大学75.2%、大学68.3%であり、就職希望者に対する就職者の割合としての就職内定率は、専修学校の91.8%に対して、短期大学90.8%、大学95.3%である[32]
  • 大手企業等の総合職採用の募集要項では、応募資格が大卒以上[注釈 29]とされ、専門学校生はエキスパート職の採用枠になるケースがある。

注釈

  1. ^ 文部科学省管轄
  2. ^ いわゆる「高等専修学校」
  3. ^ 特記を除き、本項において短期大学を含む
  4. ^ 大学が学術的・理論的な学問を学ぶとともに、幅広い教養を身に付けるジェネラリスト(また学者(研究者))を養成する教育機関に対し、専修学校は自立した社会人になるための基礎を身につけさせある特定の職業に必要とされる知識や技術を短期間で習得するスペシャリスト(その道のプロ)を養成する教育機関である。文部科学大臣国立)や地方公共団体教育委員会公立)、都道府県知事私立認可校の、特に専門課程または高等課程を卒業した者。
  5. ^ インターンシップなど
  6. ^ いわゆる大学併修制度
  7. ^ ただし名称を名乗ることは強制されない。例えば大原簿記学校のように専門課程を設置していながら「専門学校(専修学校)」を名乗らない学校も存在する。
  8. ^ ○○学院、○○大学校など
  9. ^ a b ○○大学(短大および大学院も含む)/○○大、○○高等専門学校/○○高専、○○高等学校/○○高校または○○高、など。
  10. ^ 通常の課程以外の課程によりこれに相当する学校教育を修了した者を含む。
  11. ^ a b 盲学校聾学校養護学校
  12. ^ こちらを参照
  13. ^ 法第90条第1項に規定する、高等学校を卒業した者と同等以上の学力があると認められる者。これにより、高等学校卒業程度認定試験合格者などに適用される。
  14. ^ 高度専門士の付与要件により認められた課程を除く[15]
  15. ^ 1998年の学校教育法改正により適用(第132条)。それまでは、高等学校卒業者等(「大学受験#受験資格」を参照)として1年次から入学し直す必要があった(在籍校と同じ学校法人設置のものであっても同様だった)(仮面浪人も参照)。なお、適用後も大学側の判断により編入学が認められない場合があり、その場合は1年次から入学し直す形になる。
  16. ^ 法第57条に規定する、中学校を卒業した者と同等以上の学力があると認められる者。これにより、中学校卒業程度認定試験合格者などに適用される。
  17. ^ 大学入学資格付与指定校。「大学受験#受験資格」を参照。
  18. ^ 専修学校河合塾専修学校代々木ゼミナール駿台予備学校など。
  19. ^ 専門学校
  20. ^ a b ここでいう「大学」には短期大学を除く。
  21. ^ たとえば年間授業時数は680時間以上参照
  22. ^ 1単位時間は50分
  23. ^ うち105単位時間まで教養科目で代替可能
  24. ^ 50分を原則とし、教育上支障のない場合には45分でも差し支えない
  25. ^ 短期大学高等専門学校に置かれる学科とは性質が異なる
  26. ^ 講義室、演習室、実習室等
  27. ^ JTBトラベル&ホテルカレッジ(JTBグループ・学校法人国際文化アカデミー)、ホンダテクニカルカレッジ関東(ホンダグループ・学校法人ホンダ学園)、日立工業専修学校日立グループ株式会社日立製作所)など
  28. ^ 3月卒業者のうち、就職者の占める割合
  29. ^ 技術系では高専卒以上とされる場合多々。
  30. ^ 例: 高津理容美容専門学校、広島酔心調理製菓専門学校等
  31. ^ 自立した社会人になるための基礎を身につけさせるため。
  32. ^ 大学の講義形態の授業はこれよりも学生が大勢いることが多い。大学の一般教育科目のような、2クラスまたは2学年以上が集まる講義形態の授業はほとんどない。
  33. ^ 日商簿記検定1~2級や国家資格など
  34. ^ 女子のみが多い
  35. ^ 8月に入ってからの専門課程もある
  36. ^ まれに、8月25日頃まで、あるいは9月初頭までとする専門課程もある
  37. ^ ハッピーマンデーの関係で成人の日までとする専門課程もある
  38. ^ 国公私立を問わず
  39. ^ 私立の場合。公立の場合は教育委員会
  40. ^ 公立学校においては同法第3条第1項より、「特別の財政援助及びその対象となる事業」は、「公立学校施設災害復旧費国庫負担法の適用を受ける公立学校」(同法第2条第1項にて一条校が対象)に限られている。
  41. ^ 私立学校においては同法第17条第1項より、「私立学校施設災害復旧事業に対する補助」は一条校に限られている。
  42. ^ 職業能力開発促進法で規定される職業訓練とは異なる(学校教育#学校教育と職業訓練を参照)。
  43. ^ 学部・大学院
  44. ^ 入学資格は高校修了者等、修業年限は2〜4年、設置者は国、地方公共団体及び学校法人とすることなど。
  45. ^ 私立学校法第64条第4項に基づく「専修学校又は各種学校の設置のみを目的とする法人」をいう。
  46. ^ 現在学校教育法においては、私立の一条校の中では「幼稚園」のみが「当分の間、学校法人によって設置されることを要しない」こととされている。
  47. ^ 同法第12条により「学校設置会社」(株式会社)、同じく第13条により「学校設置非営利法人」(特定非営利活動法人(NPO法人))による設置が可能となる。株式会社立学校および株式会社立大学も参照。
  48. ^ 一条校のうち、学校図書館および図書室の設置義務がないのは「幼稚園」および「特別支援学校の幼稚部」である。
  49. ^ 特別支援学校の小学部・中学部・高等部には「特別支援学校設置基準」がなく「図書室」の設置義務が明文化されていないが、学校図書館法にもとづき、「学校図書館」(図書館資料を収集し、整理し、および保存し、これを児童または生徒および教員の利用に供することによって、学校の教育課程の展開に寄与するとともに、児童または生徒の健全な教養を育成することを目的とする設備)を設けなければならない。
  50. ^ ちなみに現行の専修学校設置基準では、第46条第2項にて「なるべく図書室、保健室、教員研究室等を備えるものとする」と規定されている。
  51. ^ 現在の一条校には、職員の種類、および職員ごとの職務が定められている。一方で専修学校においては、「教育上必要な教員組織その他を備えなければならない」(専修学校設置基準第2条第2項)の一文にとどまっている。
  52. ^ 科目等履修生は除く
  53. ^ 設置基準

出典

  1. ^ a b c d e Japan ISCED mapping” (2008年). 2015年10月31日閲覧。
  2. ^ a b c d 文部科学省 2014, p. 7.
  3. ^ 専門学校(専修学校専門課程)”. 2018年9月23日閲覧。
  4. ^ a b c “[https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2017/03/31/1332361_4.pdf 専修学校まるごとデータベース 数字で見る専修学校]”. 2018年9月23日閲覧。
  5. ^ a b 高等専修学校(専修学校高等課程)”. 2018年9月23日閲覧。
  6. ^ 文部科学省 2014, p. 8.
  7. ^ 実践的な職業教育、専門的な技術教育を行う
  8. ^ a b c d 学校教育法昭和22年法律第26号)の第124条
  9. ^ a b 昭和51年文部省令第2号
  10. ^ 学校教育法 第135条第2項
  11. ^ 学校教育法 第135条第1項
  12. ^ 専門課程の2年制学科以上が対象。
  13. ^ 学校教育法 第126条第2項
  14. ^ 専修学校の専門課程の修了者に対する専門士及び高度専門士の称号の付与に関する規程第2条
  15. ^ 専修学校の専門課程の修了者に対する専門士及び高度専門士の称号の付与に関する規程第2条第4号
  16. ^ 施行規則第155条第2項第3号
  17. ^ 施行規則第177条第3号
  18. ^ 施行規則第155条第2項第3号かっこ書き
  19. ^ 専修学校の専門課程の修了者に対する専門士及び高度専門士の称号の付与に関する規程第3条
  20. ^ 施行規則第155条第5号
  21. ^ 学校教育法 第126条第1項
  22. ^ “大学全入時代 生き残りへ危機感募らせる専門学校”. 産経新聞. (2007年10月27日). オリジナルの2009年3月8日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20090308054525/http://sankei.jp.msn.com/life/education/071027/edc0710271108003-n1.htm 2009年1月29日閲覧。 
  23. ^ 原田朱美 (2009年1月5日). “専門学校化する大学”. 新・学歴社会 (朝日新聞). http://www.asahi.com/edu/news/TKY200901050171.html 2009年1月29日閲覧。 
  24. ^ 「平成29年度学校基本調査」 - 文部科学省、平成29年12月22日発表。
  25. ^ 令和3年度大学・短期大学・高等専門学校及び専修学校卒業者の就職状況調査(4月1日現在)について
  26. ^ 平成6年文部省告示第84号第1条及び第2条
  27. ^ 昭和五十一年一月二十三日文管振第八十五号
  28. ^ 専修学校設置基準第2条第1項
  29. ^ 専修学校設置基準3条
  30. ^ 中村忠一『大学崩壊と学力低下で専門学校の時代が来た』(初版)エール出版社〈YELL books〉(原著2002年3月15日)、pp. 17-19,85,116-117,120頁。ISBN 4753921352 
  31. ^ 中村忠一監修・松本肇著 『大学より専門学校がトク09年度版』 エール出版、2008年、17-25頁
  32. ^ 文部科学省・厚生労働省調査「平成17年度大学等卒業者の就職状況調査」
  33. ^ 専修学校設置基準第6条
  34. ^ 大学設置基準第35条
  35. ^ 専修学校設置基準第45条第2項
  36. ^ 大学設置基準第36条その2、高等専門学校設置基準第23条
  37. ^ 専修学校設置基準第22条、第23条
  38. ^ 実務経験者や現職
  39. ^ a b 恩田敏夫 (2009年8月3日). “新たな「職業教育特化型」学校は必要か。「職業大学」として再編を”. HUMAN CAPITAL LABORATORY. ディスコ. 2010年10月21日閲覧。
  40. ^ “専門学校に大学並み位置付けも 文科省会議が報告書案”. 共同通信. (2008年10月21日). https://web.archive.org/web/20081025071821/http://www.47news.jp/CN/200810/CN2008102001000755.html 2008年10月21日閲覧。 
  41. ^ 平成21年3月23日
  42. ^ キャリア教育・職業教育のあり方について(寺田盛紀(名古屋大学))
  43. ^ 「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」(答申)(中央教育審議会、平成23年1月31日)
  44. ^ 学校教育法(改正後)第83条の2第1項
  45. ^ 学校教育法(改正後)第104条第1項
  46. ^ 学校教育法(改正後)第104条第2項
  47. ^ 学校教育法(改正後)第108条第4項
  48. ^ 学校教育法(改正後)第104条第5項
  49. ^ 学校教育法(改正後)第104条第6項
  50. ^ 学校教育法第2条
  51. ^ 平成19年度 全国専修学校各種学校総連合会 ブロック会議 1条校化推進運動(第1次報告) 資料1 - 文部科学省
  52. ^ 学校教育法第12条、学校保健法第19条
  53. ^ 学校図書館法第2条・第3条、小学校設置基準第9条第1項第2号、中学校設置基準第9条第1項第2号、高等学校設置基準第15条第2項、学校教育法施行規則第106条(中学校・高等学校設置基準の規定を中等教育学校に準用)、大学設置基準第36条第1項第3号、短期大学設置基準第28条第1項第3号、および高等専門学校設置基準第23条第1項第3号。
  54. ^ a b 安田水浩 2007, p. 44.
  55. ^ 安田水浩 2007, p. 41.
  56. ^ 安田水浩 2007, p. 43.
  57. ^ 安田水浩 2007, pp. 43–44.
  58. ^ 専修学校の振興に関する検討会議(第5回) 配付資料2 - 文部科学省、2008年2月18日(2017年11月2日閲覧)






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