携帯電話、IMT-2000、PHS
携帯電話は、昭和54(1979)年に自動車電話として、800MHz帯でアナログ方式でのサービスが開始されました。平成2(1990)年にはデジタル方式(PDC方式)が決められ、平成3(1991)年には800MHz帯に加え、新たに1.5GHz帯が割当てられました。800MHz帯は平成5(1993)年から、1.5GHz帯は平成6(1994)年4月からこの方式によるサービスが開始されています。既に使用を停止した前述のアナログ方式を第1世代移動通信システムとし、このデジタル方式を第2世代移動通信システムと呼んでいます。また同じくデジタル方式であるCDMA方式は、平成10(1998)年からサービスが開始されています。さらに平成13(2001)年からは、第3世代移動通信システムであるIMT-2000のサービスが開始されています。
IMT-2000 (International Mobile Telecommunications-2000)IMT-2000は第3世代のシステムとして、昭和61(1986)年に、国際電気通信連合 (International Telecommunication Union : ITU)で検討が開始され、平成12(2000)年5月に5つの方式が正式勧告されました。
IMT-2000は、動画像伝送や高速インターネットアクセスの実現を目指して開発がなされており、室内等での準静止時には2Mbit/s、自動車等での高速移動時でも毎秒144kbit/sまでの伝送速度を提供可能なシステムです。IMT-2000が目指すサービスの主な特徴は以下のとおりです。
- グローバルサービスの実現(様々な利用形態、地域を超え利用可能)
- マルチメディア通信サービスの提供
- インターネットとの高い親和性
- 固定網と同等な高品質なサービスの提供
- 高い周波数利用効率の実現(既存システムと同等以上の周波数利用効率)
現在我が国で最も普及しているPDCシステムの携帯電話は、日本以外では使用されておらず、端末を海外で使用することはできません。IMT-2000では、世界中に端末を持ちこんで、そのまま利用できるグローバルローミングの実現を目指して開発がなされています。グローバルローミングを可能とするためには、無線周波数と通信方式を世界的に共通化する必要があり、無線周波数については、平成4(1992)年に開催されたITUの無線通信主管庁会議(WRC-92)において、2GHz帯の周波数を2000年から使用することが、世界的に合意されました。その後、平成12(2000)年に開催されたITUの世界無線通信会議(WRC-2000)において、800MHz帯、1.7GHz帯、2.5GHz帯がIMT-2000用の周波数として追加分配されています。また、通信方式については、5つの方式が勧告され、日本ではNTTドコモグループ、ボーダフォングループ(旧J-フォングループ)がW-CDMA方式を、KDDIグループがCDMA-2000方式を採用しています。サービスは平成13(2001)年10月から開始されています。(NTTドコモグループは平成13(2001)年10月サービス開始、ボーダフォングループは平成14(2002)年12月にサービス開始、KDDIグループは平成14(2002)年4月から800MHz帯でのIMT-2000サービスを開始、平成15(2003)年10月より2GHz帯でCDMA2001x EV-DO方式を開始しています。)
携帯電話は、デジタル化によるシステム収容効率の大幅な向上や端末の小型化、パケット方式によるインターネットアクセスなど、サービスの充実により、平成16年4月末で約8200万加入まで普及しており、このうち第3世代携帯電話が約1770万加入(全体の22%)となっています。
今後、IMT-2000のサービスにより、移動体通信はさらに発展すると考えられ、第2世代から第3世代への移行が急速に進むものと考えられます。
携帯電話サービスの地域間格差是正事業等の推進総務省では、携帯電話サービスの地域間格差の是正について、過疎地域等を対象に、平成3(1991)年度から移動通信用鉄塔施設整備事業を実施し、平成11(1999)年度末において全国の市町村役場周辺において通話が可能となっています。平成13(2001)年度からは、一層の地域間格差の是正を図るため、公共事業関係費から支出し、国庫補助率を1/3から1/250音順に引き上げるとともに、鉄塔の基地局から交換局までの回線(無線設備等)を補助対象に追加しています。
また、近年における携帯電話の急速な普及に伴い、高速道路等トンネル及び地下街等において、電波が遮へいされることにより通話が途切れる等の状態を解消することについての要請が高まっていることから、平成5(1993)年度から10(1998)年度まで移動通信用鉄塔施設整備事業により実施していた高速道路等トンネル及び地下街等閉塞地域における整備について、平成11(1999)年度から新たに電波遮へい対策事業として実施するとともに、補助率を従来の1/4から1/250音順に引き上げました。
2.PHS
概要PHS(Personal Handy-phone System)は、平成7年(1995年)のサービス開始以来、音質に優れ、また簡便かつ低廉な移動通信手段として都市部を中心に普及し、携帯電話とともに、国民生活に密着した情報通信手段として定着しています。平成10年(1998年)7月には、電気通信技術審議会答申「PHSの高度利用の促進に資する技術の導入方策」が示され、移動中や屋内における通話品質の改善等、PHSの利便性の向上が図られるとともに、インターネットアクセスを中心としたデータ通信トラヒックが増加している状況にあります。
また、PHSの64kbpsの通信速度を生かしたデータ通信専用のカード型端末の普及も進んでいます。
平成16年4月末現在での加入数は、約511万となっています。
新サービスの導入PHSに導入された新サービスには次のようなものが挙げられます。
・位置情報サービス
PHSの基地局がカバーするエリアが数百メートルと狭い(携帯電話の場合、1.5~数km)ため、端末が存在するエリアを表示するサービスが可能です。GPSと組合せ、複数の基地局からの方向を得ることで端末の位置を確認する方式もあります。
・音楽、映像配信
64kbpsの速度で通信できることを生かしたサービスとして、音楽データのダウンロードサービスが平成12年から実施されています。また、デジタルカメラを接続し、撮影した画像をメールに添付して送信できる端末も登場しています。
・インターネット接続サービス
データ通信に優れ、料金が低廉なPHSならではの特長を活かし、iモードと同様に、PHS端末単独でインターネットのウェブサイトを閲覧可能な端末によるサービスが平成12年より開始されました。また、平成13年6月からは、パケット方式による定額制サービスが導入されるなど、新たなサービスが開始されています。
PHSの高度化に向けてPHSについては、モバイルインターネットアクセスの手段として今後とも利用の拡大が見込まれるほか、データ通信を中心に引き続き通信トラヒックが増加していくものと考えられ、多様化・高度化するユーザニーズに的確に対応していくため、サービスの一層の高度化に向けた新たな技術の導入等についての検討が必要となっています。また、PHSは第3世代移動通信システム(IMT-2000)と周波数が隣接しているため、PHSの高度化に当たっては、干渉軽減方策の検討を行うことも求められています。
このような背景を踏まえ、平成12年7月24日、電気通信技術審議会(現情報通信審議会)に「IMT-2000との共存下におけるPHSの高度化に必要となる無線設備の技術的条件」について諮問し、平成13年6月25日に答申が示され、平成14年に制度化されました。
これにより、高度化方策の組合せによっては、最大1Mbps程度の高速データ伝送速度が可能となり、またIMT-2000との共存については、高度化PHSへの干渉除去フィルタの導入等により可能となります。
PHSの海外展開PHSは、中国で約4500万加入に達するなど、アジアや南米、中近東、アフリカなど、海外においても広く導入されています。PHSには、家庭やオフィスでのコードレス電話としての使い方と、屋外での携帯電話としての使い方の他に、PHSの技術を利用した一般の加入電話網としてのアプリケーションがあります(加入者系無線アクセスシステム)。
加入者系無線アクセスシステムは、各家庭に有線を引き込む場合に比べ低コストで短期間に加入電話網を構築可能であるため、発展途上国等加入電話網の構築が急務となっている国々においては、その有用性が期待されています。
こうしたPHSの海外展開をさらに支援するための機関として、平成8年よりPHS-MoU(MoU:Memorandum of Understanding)が設立され、国内外の電気通信事業者、メーカ、総務省を含め、計35のメンバー(2001年7月現在)から構成されています。
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