6代目 910型系(1979年 - 1983年)
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「日産・ブルーバード」の記事における「6代目 910型系(1979年 - 1983年)」の解説
ブルーバード史上、最後のFR車となる。1970年代、開発・販売面での迷走を続けたブルーバードであったが、このモデルは派生型のロングホイールベース型や直列6気筒モデルを廃止するという思い切った見直しが図られ、バランスの取れた4気筒中型セダンとして設計された。発表は当時の新車としては異例となる東京モーターショーの会場で行われた。 510型を髣髴とさせる直線基調の機能的且つ、クリーンでボクシーなスタイルなども手伝って、小型車(1.6L - 2.0Lクラス)で27か月連続新車登録台数第1位を記録するなど、910型は510型以来の大ヒットとなった。発売の4ヶ月後には、ターボエンジン搭載モデルを追加。最高出力135ps/6000rpm、最大トルク20.0kgm/3600rpmを発揮し、テストコースで0→400mが16秒台、0→100km/hが10秒台を記録している。 広告のイメージキャラクターには沢田研二を起用し「ザ・スーパースター」「ブルーバード、お前の時代だ」のキャッチコピーが使われた。このCMで910型大ヒットの立役者となった沢田は引き続き次作U11前期型(ブルーバード・マキシマも含む)生産終了までイメージキャラクターを務める事となり(後述)、本人が歌うCMソングやナレーションも話題となった。 輸出仕様も国内仕様に準じた形で4気筒エンジンが用意されたものの、6気筒エンジンが必須の北米向けのみは、ホイールベースを100mm延長し、L24E型2.4L直列6気筒エンジンを搭載したセダンとワゴン(GL910 / WGL910型系)がラインナップされ、「ダットサン・810マキシマ」の愛称で発売された。国内向けガソリンエンジンは全車直列4気筒のZ型に統一され、また、この910型からディーゼルエンジン(LD20型)が登場し、後にディーゼルターボ(LD20T型)エンジンも追加される。営業車には、LPGエンジンのZ18P型が搭載された。SSSシリーズには開発当初、スカイラインRS用の4バルブDOHCのFJ20Eエンジンの搭載も企画されたが、当時日産はターボブームまっただなかということもあり、販売サイドの意向で見送られたという逸話もある。 足回りは、フロントサスペンションが日本製FR車初のゼロスクラブと、ハイキャスターにセッティングされた、マクファーソンストラットコイル、リアは、SSS系にはセミトレーリングアームコイル、エレガント系、タクシー、後期型ワゴンは4リンクコイル、バン、前期型ワゴン、1987年10月以降のLPGエンジンのタクシーは半楕円リーフリジッド(ディーゼルエンジンのタクシーは1987年10月以降も4リンク式)となった。バンの最廉価グレード、および営業車を除く全車にフロントベンチレーテッドディスクブレーキを標準装備。キャブレター仕様を除くSSS系、後期型 2.0L のエレガント系にはウレタン製衝撃吸収大型バンパーが装備された。 当モデルの2ドアハードトップをオープンカーに改造したものが、発売当時開場したばかりの横浜スタジアムでリリーフカーとして使用されていた。 販売終了前月までの新車登録台数の累計は68万3885台 1979年11月 - 発売。 12月 - バンとワゴン(名称はADワゴン 1800GS / GL)を追加発売。 1980年3月 - 1800EGIターボ(Z18ET型 135馬力)のターボSSS / ターボSSS-S / ターボSSS-X / ターボSSS-XG追加。 4月- セダン2000ディーゼル(LD20型 65馬力)GL / GFを追加。サンルーフ、オートエアコン装着車を設定。 10月 - 1800 SSSターボとセダン1600GL / GFにAT車追加。これを機に2000SSS-ESは廃止。 1981年1月 - 2000キャブレター仕様(Z20S型・110馬力)の2000 GL / GF / SSS-Lを追加。 2月 - 特別仕様車セダン1600スポーティーGL発売。 5月 - セダンターボSSSベースの特別仕様車『スーパー1』発売。 8月 - 特別仕様車1600スポーティーGL-II・V20ターボスペシャル発売。 9月 - 特別仕様車スポーツスター1600スペシャル発売。 10月 - 特別仕様車1600スポーティーGL発売。 1982年1月 - マイナーチェンジ。内外装変更。同クラス初のピラーレスの4ドアハードトップモデルを追加。2ドアハードトップは1800ターボSSS / ターボSSS-Sの2グレードに整理。 5月 - 特別仕様車1600スポーティーGL発売。 6月 - 4ドアハードトップ1800ターボSSS/1800SSS-Eベースの特別仕様車『リミテッド4』発売。 10月 - 一部改良。自然吸気の1.6L / 1.8LガソリンエンジンをCA16、CA18 / CA18E型に変更。ターボ車は4速AT化。 1983年2月 - 特別仕様車50シリーズ発売。 3月 - スーパーエクストラシリーズ発売。 5月 - 特別仕様車50スペシャルII発売。 7月 - ドアミラー採用。 10月 - 営業車モデル(タクシー、教習車)を除き販売終了。 モータースポーツ 1981年10月 - オーストラリアで開催された耐久レース「バサースト1000」に参戦。結果はオーバーヒートによりリタイア。 1982年5月 - 当時のグループ5規定に合わせたレーシングカー「ブルーバード・ターボ」が登場。2ドアハードトップ(KY910型)をベースに車体の一部をパイプフレームとするノバ・エンジニアリング製のシャシに、大型のフロントスポイラー、およびリアウイングを備えるムーンクラフト製のカウルを装着。ドライバーは、柳田春人。エンジンは直列4気筒DOHCのLZ20B型にエアリサーチ製T05Bターボチャージャー、およびルーカス製メカニカルインジェクションシステムを組合わせたLZ20B/T型(2082cc 570ps/7,600rpm、55kgm/6,400rpm)を搭載する。この車両は当初シルビアの兄弟車ガゼールのカウルを装着していた。この個体は近年レストアを受け、現在は座間事業所内にある日産座間記念車庫に保管されている。 モンスター田嶋が全日本ダートトライアルにFJ20Eを搭載した車両で参戦していた。 主な戦歴 1982年5月 - 「富士GCシリーズ第2戦 富士グラン250キロレース」3位入賞 1982年5月 - 「RRC筑波チャンピオンレース」SSクラス 2位入賞 1982年10月 - 「バサースト1000」クラス優勝(総合8位)ドライバーは長谷見昌弘/星野一義。 1982年12月 - 「RRC筑波チャンピオンレース最終戦」SSクラス 2位入賞 1983年12月 - 「RRC筑波チャンピオンレース最終戦」SSクラス 優勝 1983年 - 「富士スーパーシルエットチャンピオンシリーズ」 チャンピオン獲得 営業車モデル STD(1987年マイナーチェンジ後) 営業車モデル(タクシー用)は、FF(前輪駆動)のU11型にフルモデルチェンジされた後も、FR(後輪駆動)の910型が継続生産されていた。その理由に、 FFでは、FRより最小回転半径が大きく、(タクシー業界で重視される)小回り性能で不利である。 技術的にはFFで問題なかったが、マニュアルトランスミッション車のクラッチ板交換の際に「エンジンを下ろさなければ整備できない」とハイヤー・タクシー業界で難色を示された。 熟成されつくしたFRは、車両や部品の耐久性の面で当時は発展途上にあったFFよりも信頼性が高かった。 FFはFRに比べステアリングホイールへの反力や操舵力自体がやや大きいこと、登り勾配やフル積載では発進時のクラッチ操作がシビアとなることなどから、乗務員の負担が若干大きい。 以上の理由で、FF(前輪駆動)のU11型の営業車モデル(タクシー用)の設定を断念せざるを得なかった事情があった。 1984年1月 - 一部改良。デラックス仕様を廃止、LPG車に5速フロアMT追加。1983年の日産創立50周年を機に一新された「NISSAN」ロゴと、U11型系と同じ「BLUEBIRD」ロゴに変更、エンブレムの位置も左側から右側に移動されている。 1985年3月 - 一部改良。LPGエンジン車はリアサスペンションの耐久性向上とLPGボンベ容量が71Lから99Lに増大のためにリーフリジッド(E-PC910型)へ変更 1986年1月 - 一部改良。3速コラムMTを廃止し、4速コラムMT新設。 8月 - 一部改良。駐車灯廃止およびリヤ中央席にシートベルト追加。 12月 - 一部改良。左右非対称のアンシンメトリーミラーと積雪地対策のショートエプロンをオプション設定。 1987年10月 - マイナーチェンジ。生産工場が追浜工場から日産車体平塚工場へ移管され、ステアリングホイールの形状変更、メーターパネルをタコグラフ取り付け対応に、SSS系と同一デザインのフロントグリル(通称・ハニカムグリル)と後期型SSS系と同一のリアコンビネーションランプに変更。ディーゼルエンジンはLD20・II型に換装。 1989年3月 - 一部改良。AT車にシフトロック追加。 7月 - 一部改良。LPG車にLPガス緊急遮断装置採用。 1990年4月 - 一部改良。コラムMT車にパワーステアリング及び全車にサンクスパワーウィンドウ(運転席及びリヤ左側がパワーウィンドウ)をそれぞれオプション設定。 1991年10月 - ディーゼル車生産終了。 1993年7月 - クルーの販売開始に伴い、営業車モデル(タクシー用)の販売を終了。
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