2代目 F31型系(1986年 - 1992年)
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「日産・レパード」の記事における「2代目 F31型系(1986年 - 1992年)」の解説
ブルーバードにV型6気筒エンジン搭載車の「マキシマ」が登場したことや、競合車種のトヨタ・ソアラを強く意識した結果、チェリー店向けの姉妹車・レパードTR-Xが廃止され、F31型は日産店とチェリー店が共にレパードに車名を統一して2ドアクーペのみのラインナップとなった。また、同時期のスカイライン(R31型)と基本設計を共用し、開発コストを抑えた。 キャッチコピーは前期型が「private coupe(プライベート・クーペ)」「私は今、限りなく自由だ、限りなく豊かだ」。後期型は「若いと言うだけでは、手に負えない、クルマがある」「BIG 2DOOR」。グランドセレクションが「表現力」。 開発主管は、ローレル(C32型)とスカイライン(R31・R32型)の開発主管を務めた旧・プリンス自動車出身の伊藤修令が担当した。また、当時の組織変更(主管は複数車種を掛け持ちせず1車種1主管制へ変更)の影響で発表の2ヶ月ほど前に山羽和夫に変更。そのため、記者発表や雑誌には開発主管の山羽が開発担当責任者として対応している。その後、マイナーチェンジに向けての開発も山羽のもとで進められた。 エンジンは3リッター4カムのVG30DEを頂点に全てV6ユニットを搭載。前期型がVG30DE型(V6-3.0L DOHC、185ps)、VG20ET型(V6-2.0L SOHC ジェットターボ 空冷インタークーラー付き、155ps)、VG20E型(V6-2.0L SOHC、115ps)の3機種。マイナーチェンジ後の後期型はVG30DE型は200psとなったほか、VG20ET型に替わりVG20DET型(V6-2.0L DOHCセラミックターボ 水冷インタークーラー付き、210ps)、また3.0Lエンジン搭載車にもターボモデルが加わり、シーマ(FPY31型系)に搭載されたVG30DET型(V6-3.0L DOHCセラミックターボ、255ps)が新たに搭載された。前期型VG20E型搭載車のみMT車が設定された。サスペンション形状はフロントがストラット、リヤがセミトレーリングアームであった。アルティマには、超音波で路面状況を把握し減衰力を変化させるスーパーソニックサスペンションを搭載している。 なお、後期型に搭載されたVG30DET(V6-3.0L DOHCセラミックターボ、255ps)は、初搭載の車種がFPY31型シーマであったため、世間一般にはシーマ用のエンジンと解説されるが、元々は当時、マイナーチェンジに合わせて開発を進めていた開発主管の山羽をはじめとするレパード開発チームがライバルのソアラ(230ps)に対抗する為に開発していたハイパワーエンジンである。FPY31型シーマは当初、3Lノンターボで開発が進められていたが、発売後に想定されるライバル車種をトヨタ・クラウンだけではなく当時人気絶頂のトヨタ・ソアラも視野に入れる事となり、開発途中でターボエンジンの搭載が決定された。この時点で、FPY31型シーマの開発が終盤に向けて進行していたものの、シーマ用に新たなエンジンを開発するだけの余裕がなかったことから、レパードの開発チームが準備していたVG30DETを新型車種のFPY31型シーマに譲った形となった。なお、F31型レパードの販売開始は1986年2月だが、レパードへのVG30DET搭載は1988年8月のマイナーチェンジからなのに対して、シーマは1988年1月から販売された時点でVG30DETを搭載したモデルも一緒に販売された。このため、発表順からVG30DETはシーマ用ユニットと当時から言われる要因となった。エンジンの存在はシーマのブランドイメージを大きく高め大ヒットに結びついたが、一方のレパードは発表順では2番手となり、ブランドイメージを高める効果は限定的なものとなった。 エクステリアは先代のイタリア的近未来スタイルに対し、ソアラ(初代)やBMWをイメージしたクラシカルなデザインへと変わり、細部の仕上げにも相応の注意が払われている。特にリアピラーからホイルハウスにかけて数字の6を描くようなバランスの取れたデザイン“エアフロー・フォルム”が特徴。コンセプトは“アダルトインテリジェンス”。派手さは無いが知的で大人のためのプライベートクーペを表現。外板の塗装も高品質仕上げが施されていた。 インテリアは、世間では“絶壁”と評されてきたがデザインコンセプトは航空機のコックピット感覚をもとに高級車としての風格を考慮し、エレクトロニクスメーター類、オーディオなどを融合しデザインされた。助手側も運転席と対等に包み込むようなデザインでグローブボックスを充実し、物をダッシュ上に乗せるのではなく収納するというパッセンジャーに対する配慮も考慮したインパネデザインであった。また高いダッシュボードはフロントガラスへの映り込みを抑えるソフトな材質を用いられている。 グレード名の由来としてVG30DE搭載車のアルティマは「究極」ULTIMATE(英語)からとった造語。最上級グレード。2リッターのVG20ET搭載車のXS-II、XSの意味は、「X」は未知にチャレンジするという意味、「S」はスポーツ、「II」は上級車の意味を指す。2リッターNAのVG20E搭載車のXJ-II、XJの意味は、「X」は上記に準じており「J」はジュエリー(宝石)のもつ高級感を指している。 既に知名度を確立していたソアラの陰に隠れてしまったことなどから販売当初は苦戦を強いられたが、日本テレビ系の刑事ドラマ『あぶない刑事』シリーズに劇中車として登場し、さらにハイパワーエンジンを搭載した後輪駆動車であることもあり、登場から30年以上が経過した現在でも、中古車市場で高値で取引されるなど、根強い人気を誇っており、同型を専門に扱うショップも存在する。 1986年2月 - F31型にモデルチェンジ。ラインナップはアルティマ(VG30DE)、XS-II・XS(VG20ET)、XJ-II・XJ(VG20E)。 7月 - 新塗色ホワイトツートーンおよびリアスポイラー装着車を設定。 1987年6月 - アルティマグランドセレクション・XS-IIグランドセレクション追加。ハイテクウールシート、AVシステム(アルティマグランドセレクションに標準装備、XS-IIグランドセレクションにオプション)を装備。 10月 - 東京モーターショーにて「アルティマX」を参考出品。これはアルティマをベースとしたオープンカーで、専門誌では状況次第で市販化されるとの憶測があったが発売に至らなかった。 1988年8月 - マイナーチェンジ。VG30DET型の追加、VG30DE型の出力向上、シングルカムターボのVG20ET型に替わりツインカムターボのVG20DET型に変更。VG20E以外のエンジンはプレミアムガソリン指定。ラインアップは、アルティマ V30 ツインカム ターボ(VG30DET)、アルティマ V30 ツインカム(VG30DE)、XS V20 ツインカム ターボ(VG20DET)、XJ V20E(VG20E)。メッキ部品を減らし、丸みのあるデザインとなった。アルミホイールのデザインも一見すると前期と同一だが、リム部をはじめとして全体的にやや彫りの深いデザインに変更されている。同時期の日産車に共通のダッシュボードも、大幅に形状が変更された。前期型の装備だった全面ブルー液晶の「グラフィカル・デジタルメーター」は廃止され、文字盤がホワイトのアナログメーターとなった。AVシステム、サンルーフ、本革シートがアルティマ V30 ツインカム ターボに標準装備、その他のグレードにオプション設定された。中折れ機構を持つ「パートナーコンフォタブルシート」は、全グレードに拡大採用された。また、アルティマ専用装備であった「スーパーソニックサスペンション」は、アルティマ V30 ツインカム ターボ、アルティマ V30 ツインカムだけでなく、XS V20 ツインカム ターボにまで拡大採用されATシフトロックを追加。 1989年 - アメリカ合衆国では、F31型をベースにしたインフィニティ・M30が発売され、これにはコンバーチブルの設定もあった。また、F31型をベースに、系列会社のオーテックジャパンがイタリアのカロッツェリアであるザガートと合作した「オーテック・ザガート・ステルビオ」も開発され、少数台数が発売された。同年9月に一部改良しATシフトロックをPレンジ保持機構付きに、ASCD安定性を向上、オーディオの音質調整の変更がされた。 1992年5月 - 生産終了。在庫対応分のみの販売となる。 8月 - 6月に登場した3代目とバトンタッチして販売終了。 後期型(1988年8月 - 1992年8月) XS V20ツインカムターボリア 前期型(1986年2月 - 1988年8月) アルティマバッジ インフィニティM30クーペ インフィニティM30コンバーチブル(前部) インフィニティM30コンバーチブル(後部) 前期型(1986年2月 - 1988年8月) アルティマ「あぶない刑事」仕様車 前期型(1986年2月 - 1988年8月) アルティマ「あぶない刑事」仕様車 リア 前期型(1986年2月 - 1988年8月) アルティマ「あぶない刑事」仕様車 運転席
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