緋色の艦隊
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/19 04:33 UTC 版)
群像の父・千早翔像を首魁とする、超戦艦ムサシを中心とする霧の艦艇で構成された“霧”の欧州方面艦隊。本来はビスマルク率いる欧州方面艦隊とは別の艦隊であったが、合流してその勢力の一員となっている。英語表記はTHE SCARLET FLEET。“霧”の東洋方面艦隊や東洋艦隊とは独立した意思の元に行動しているらしく、“緋色の艦隊”としてイギリス政府と独自に安全保障条約を締結する。最初の目的は欧州統一である。プリンス・オブ・ウェールズの言によると、“緋色の艦隊”とは本来はアドミラリティ・コード直衛艦隊のこと。 千早 翔像(ちはや しょうぞう) 声 - 中田譲治 元大佐。群像の父親で、人類を裏切って霧の艦隊に参加したと言われている。2039年にイ401を拿捕したのは彼であり、その後実戦投入のための2045年の初の有人航海でクルー全員と共に消息を絶った。その後、2054年に霧の超戦艦ムサシと行動を共にしているのを目撃され、裏切りが疑われるようになった。現在は霧の艦隊の中で、提督として部下たちと共にムサシの制御系を掌握してメンタルモデルを解放することに従事している。ゾルダン曰く「欧州大戦の中を生き抜く術を与えてくれた」人であり、「わが父たる人」とのこと。コンゴウの旗艦装備の持ち出しという前例の無い事態には、ゾルダンにその観測を任じる。 なお群像は自身の経験から、彼が本物の翔像であるのかどうか疑念を抱いている。アニメ版 アニメ本編には登場せず、劇場アニメ『DC』『Cadenza』にて登場する。原作同様に霧の艦隊への作戦行動中に消息を絶って以降は霧の艦隊に寝返ったとされており、本作ではムサシが総旗艦代理として霧の艦隊の中枢を掌握しているので、彼自身も「霧の艦隊・提督」として霧の艦隊そのものをムサシと共に指揮下に置いて活動している。全世界への電波ジャックで姿を現し、霧の艦隊・提督としてムサシと共に全人類への降伏勧告を告げる。『Cadenza』ではムサシによってその過去が語られており、かつて現れた霧の艦隊に対して潜水艦の艦長としての戦術を生かして2隻を同士討ちさせ撃沈した。それに対して興味を覚えたヤマトとムサシがメンタルモデルを作り、接触。ヤマト、ムサシと語り合い「家族」という観念を教えた。これがメンタルモデル誕生のきっかけとなり、彼は2人から「お父様」と慕われていた。しかし、最終的には霧との和解を快く思わない人類側の軍人の裏切りで殺されてしまう。このように実は本物の翔像は既に死亡しており、それ以降の本編に登場してムサシと行動を共にしている翔像は、ナノマテリアルを使ってムサシが作った意思も自我もないダミー人形のような存在だったことが明かされる(ムサシ自身は「お人形遊び」と自嘲している)。このダミーは最終決戦の最中に超戦艦級同士の戦いによる凄まじいエネルギーの奔流でナノマテリアルに還り、消滅した。 ムサシ 声 - 釘宮理恵 旧帝国海軍大和型戦艦二番艦・武藏の形状を模した“霧”の艦艇。翔像やその部下と行動を共にしている。メンタルモデルは白い衣服を身にまとったブロンドの髪の少女の姿で、目を閉じていることが多い。翔像のことを「お父様」と呼ぶ。ヤマト、ナガトと同じくデルタコアのユニオンコアだが、なぜかメンタルモデルは1体しか有していない。メンタルモデルを持つ“霧”の艦としてはヤマト、イオナに並ぶ最古参。当時、その場には傷ついた翔像がいた。コンゴウによると過去に人体の修復を行っていることが判明している。アニメ版 アニメ本編には登場せず、劇場版『DC』より登場。原作版とは異なり、黒い衣服と銀髪となっている。ムサシ直属の艦隊以外は同じ霧の艦隊であってもヤマトと同様にその居場所すら知られてなかったが、イ402のコアの解析により北極海にいることが判明。突如、総旗艦代理の名の下に全世界に電波ジャックを仕掛け、全人類の前に姿を現す。『Cadenza』ではウラジオストクでイオナの前に現れ、ヤマトとイオナとの関係を語り、イオナの機関エンジン以外のすべての“霧”に由来する機能を停止させる。かつてメンタルモデル誕生のきっかけであった翔像を父として慕っていた。変化を好んでいたヤマトとは対照的に変化には否定的であった。だが、彼が人類側の軍人に殺害されたことによって、激昂し感情を制御できないまま人間を憎悪。人間を好んでいたヤマトを沈め霧の艦隊を掌握していた。霧の生徒会が封鎖するダイオミード諸島を抜けた401に北極海で展開していた軽巡洋艦群と共に攻撃をするも、ヤマトとしての機能を起動させた401との神話さながらの最終決戦をくり広げながらヤマトの想いを引き継いだイオナと自らの感情の行方を言葉で交わしていく。沈められると同時にイオナと、彼女の中に潜んでいたヤマトに諭され天へと還り消滅した。 ゾルダン・スターク イ401と同じく人間が指揮する霧の艦船であるU-2501の艦長。ユンカーの末裔であるドイツ人。翔像の命を受け、イ401を衆人環視の元で撃沈することによって、人類が霧に対して無力であることを証明するために派遣された。「兵器である“霧”の艦にメンタルモデルは本来必要ない」「操艦者が居るなら演算リソースの無駄である」と考えており、停泊中、U-2501が無断でメンタルモデルを形成しているのを発見した時には冷徹にそれを叱責して納めさせた。彼とロムアルドとフランセットは地獄とも称された欧州大戦の渦中を共に潜り抜けてきた仲であり、彼らの結束は強固。U-2501とも欧州大戦の渦中で出会っていたことが判っている。翔像を「父」、ムサシを「母(ムッター)」として慕っている。 ロムアルド U-2501の砲雷長を務める少年。両目を覆う形のヘッドセットを付けている。甘い物が好きらしく、常にお菓子を食べている。元は漁師の息子で欧州大戦では少年兵として戦争に出ていて、ゾルダンに拾われた過去を持つ。 フランセット U-2501のソナー・センサーを担当する女性。視覚に障害があり、管制には点字ディスプレイのような機器を通じて情報を得る。元はパン屋の娘で欧州大戦の最中にゾルダンに拾われた過去を持つ。 U-2501 旧ドイツ海軍潜水艦UボートXXI型の形状を模した“霧”の艦艇。メンタルモデルは長い髪をしたまだ幼い雰囲気を残した少女の姿をとるが、ゾルダンにより形成を禁じられているため基本的には出現させていない。特殊潜航艇ゼーフントの形状を模した大多数の無人潜航艇、ミルヒクーの形状を模したゼーフント用の無人補給艦、もう一隻の無人の同型艦U-2502を遠隔操縦して攻撃する群浪戦法を使う。切り札として、本来はヤマト級しか持っていないはずの、敵の放った超重砲のエネルギーを打ち消し、別次元の時空にエネルギーを転移させる次元空間曲率変位(ミラーリング)システムを搭載している。 霧の艦艇の中では新しい艦で、翔像がヨーロッパに向かってから新造された艦艇である。他の霧の艦艇からはそのことで注目されている。そのコアは駆逐艦Z1レーベレヒト・マースのものを使っており、メンタルモデルの形成どころかXXI型の制御すらできないはずの能力にも関わらずミラーリング・システムまで使用するなど、駆逐艦クラスのコアには到底不可能なことを成し遂げているため他の霧から疑念を持たれている。ゾルダンとは欧州大戦のころにメンタルモデルの姿で出会っていたことが判っているが、本来形成不可能なはずのメンタルモデルをどのように形成し、なぜ人に紛れていたのかの理由はまだ不明で自身の艦内では海域強襲制圧艦クラスのメンタルモデルが艦内で何かしても対応できると豪語する。 ちなみにアオシマからAFV CLUB 製1/350「Uボート Type XXI」の金型流用での プラモデルキット販売が行われており。唯一の原作出典商品である。 ビスマルク 旧ドイツ海軍ビスマルク級戦艦一番艦・ビスマルクの形状を模した霧の艦艇。本来の欧州方面艦隊の旗艦で霧での分類は大戦艦級。メンタルモデルは軍服調の衣装を着て、眼鏡を掛けた双子らしき2名の少女の姿をとる。アドミラリティ・コードらしき存在によるハルナへの介入以前にアドミラリティ・コードの最後を目撃していた。年表によると「ビスマルク姉妹」なる人物がアドミラリティ・コード消失の唯一の目撃者とされているが、大戦艦ビスマルクとビスマルク姉妹の間の関連性は不明。そんな彼女が緋色の艦隊に協力している真意を翔像とムサシは聞かされておらず、疑念に思っている。 霧の艦艇にはそれぞれ智の紋章があり右舷と左舷に刻まれているのは鏡で反転したように映るものだが、ビスマルクだけは他の霧の艦艇とは一線を画し太陽と月の形状をしたものが右舷と左舷に別々に刻まれているという不可解な形状をしている。この智の紋章はイオナの精神世界の中で現れた『自己診断プログラムみたいなもの』と名乗った存在と同じ形状をしている。ビスマルクとイオナの関連性は現状においては詳細は不明。
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