竹井家
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竹井千代(たけい ちよ)→天海千代(あまみ ちよ)→竹井千代 演 - 杉咲花(幼少期:毎田暖乃、回想:小林咲花) 本作のヒロイン。 気が強くちゃっかりとしているが、弟思いのしっかりした性格。母の形見である月の様に綺麗なビー玉を宝物にし持ち歩いている。 明治39年11月19日生まれ。5歳の時に母を亡くしてからは、幼いながらも家事を一手に担う忙しさで、小学校すら行けなかった。9歳の頃、父・テルヲの再婚で家事から解放されるところが、何もしない継母のため再び不登校に。しかも自身ばかりか弟まで邪魔者扱いしだす継母の提案を呑み、口減らしに道頓堀の芝居茶屋「岡安」へ奉公に出る。 奉公当初は、負けん気の強さからつい口答えをするせいもあって、女将シズから不興を買い解雇されるもハナに救われる。 仕事に勤しむ合間に舞台を覗き見るなど、舞台劇に関心を寄せ始めたある時、入手した「人形の家」の脚本を読みたいため、一平から読み書きを教わる。 数え歳18歳を迎える頃には、明るく口達者な女性に成長。芝居が好きで仕事中に公演を覗き見るようになる。シズへの恩返しの思いから翌年の年季奉公明け後も岡安で働く決意をするも、テルヲが作った借金のカタに身売りされそうになり、岡安を辞めて逃亡する。 辿り着いた京都でカフェー「キネマ」の女給に就職。スカウト詐欺被害に遭ったことや女優を目指す同僚に影響され、自身も女優を志す。劇団「山村千鳥一座」に加入当初は座長の世話係だったが、舞台「正チャンの冒険」で急遽務めた主演は観客や新聞から好評を得る。一座解散後、千鳥の紹介で「鶴亀撮影所」の大部屋女優に転身。昭和3年8月に道頓堀本社へ配置転換となる。その後一平と結婚し、天海姓になる。 「鶴亀新喜劇」旗揚げの1年後、一平の不倫と灯子の妊娠が発覚した際には離婚を決意し、離婚後は姓を竹井に戻している。 栗子の京都の家で春子と3人で暮らすことになり、料亭で仲居をしている栗子の勧めで同じく仲居として働く。昭和26年に当郎がラジオドラマ『お父さんはお人好し』の相手役に指名したことで桜庭らに訪問され、作品出演を決める。 モデルは女優の浪花千栄子。 竹井テルヲ(たけい テルヲ) 演 - トータス松本 千代の父。南河内の小さな村で小規模の養鶏場を営む。陽気で朗らかな性格だが、仕事は娘の千代に任せきりで酒浸りの生活をしている。 千代が9歳の時、鶏を売りに行ったまま10日帰らぬどころか、再婚相手の栗子を連れて帰る。それも結婚したいがために「家事をしなくて良い」と約束するなど栗子に頭が上がらず、彼女の言うがまま千代を奉公に出す(後に、この時に千代が「うちは捨てられたんやない...うちがあんたらを捨てたんや!!」と涙ながらに言い放って去って行った直後、後悔のあまり慟哭した様子が描かれた)。 千代が奉公に出てからますます酒と博打にのめり込んだ結果、借金は膨れ上がり、借金取りに追われて一家で夜逃げ。8年後、千代の前に現れた時には、栗子にもヨシヲにも逃げられており、2000円の借金のカタに千代を売り飛ばそうとする。 京都に逃げた千代が女優になると再びあらわれ、博打で作った借金を返すため千代の通帳を持ち出そうとして、呆れ果てた千代に持ち金の全てを投げつけられて絶縁を言い渡される。 その後一平と結婚し3年が過ぎた千代の前に現れるが、岡安の面々にも千代にも冷淡にあしらわれる。この時は長年の自堕落な生活のツケで肝臓を患い明日をも知れぬ命だった。宗助を偶然助けて病院に連れて行った際に吐血し、病院に駆けつけたシズにそれを見られるが、「『もうすぐ死ぬから仕方なく許す』ではだめ。」という理由で千代には言わないように頼む。シズは口止めされていたものの、千代が後悔しないように、許すか許さないかはあくまで千代が決める事だと前置きしたうえで話す。それを知っても千代の冷淡さは変わらないが、「死ぬ前に少しでも父親の真似事をしたくなった」と語り、今度は本気で千代の為に動くが、千代の心が開く事はなかった。千代が留守の間に天海家を訪ね、一平に写真を撮ってもらう。一平に「笑ってください!」と強く言われて朗らかに笑っている写真を撮るが、その笑顔の写真は逆に千代の怒りを増幅させる。最終的には自分の借金を回収するために千代の元に取り立てに行こうとする借金取りと大乱闘を起こし警察に連行される。その際思わず出てきた千代が警察に自分の身内かと問われた際に敢えて赤の他人を装う。留置所に面会に来た千代は、「こんな事をしてもあんたを許さない」と言い捨てて立ち去ろうとするが、テルヲが「わしとサエの間に産まれてきてくれておおきに」と礼を述べ、千代が産まれて本当に嬉しかった事、千代を身売りに出した時の後悔の念を吐露した事で千代の怒りが爆発し、それまでの人生でテルヲにされた事を並べ立て、唯一の心の支えだったヨシヲとの再会の際も、自分を捨てて出て行ったと捉えられて恨まれていた事で、「あの子はあんただけやなくうちの事も恨んでた! あんたはうちからヨシヲまで奪ったんや!!」と泣きながら罵られる。それを聞いたテルヲも号泣しながら謝罪する。結局千代がテルヲを許す事はなかったが、「悔しいけど、どんなにしょうもない人でも、あんたはうちのお父ちゃんや...」と、親子としての関係だけは回復させる事に成功する。最後に千代の芝居を見に行く事を約束して別れるが、その夜に二人の千代(幼少期と現在)の笑顔の幻を見ながら息を引き取る。 しかし死去後も、75話ラストで千代が一平に接吻し、しばらくいちゃついた際に大騒ぎ、77話で千代に「お父ちゃんも(千代の事を)心配しとったんやで」と語りかけたが、千代に「どこがや!」と写真立てごと強く伏せられ、「ふげっ!」と悶絶する、後に満州に渡った寛治の話題になって、みつえが博打と女で金が無くなって仕送りできないのではと冗談を言った際には千代に「テルヲのアホと一緒にせんといて!」と突然引き合いに出されて「な、なんやいきなり!」とツッコむなど、要所要所で遺影から声が出てくる。 竹井サエ(たけい さえ) 演 - 三戸なつめ 千代の実母。16歳くらいまでガラス工場を営む峰岸社長宅で奉公していた。働き者で、幼い頃の千代を「かぐや姫」に例えるほどに可愛がっており、千代にとって唯一の心の支えであったが、千代が5歳の時に病死し、ビー玉を千代への形見として残した。 竹井ヨシヲ(たけい ヨシヲ) 演 - 倉悠貴(幼少期:荒田陽向、少年期:栗田倫太郎) 千代の弟。生前の実母の記憶がなかったため、自分に冷たい態度をとる栗子であっても実母のように慕う。千代と同じく奉公に出されそうになるも竹井家に残るが、その後8年の間に家を飛び出し、消息不明となる。昭和4年に千代のもとを訪れ、神戸で不動産関係の会社に勤めていると話すが、実際は違い千代のことも「自分を見捨てた」と恨んでいた。「親父」と呼ぶ人物から劇場に放火するよう指示され、マッチに火を付けるが千之助により放火には至らなかった。その後千代との掛け合いで思わず笑うなど、千代に対する感情は軟化したものの、結局千代の引き止めに応じる事は出来ず、ヨシヲにとっての「親父」は、千代にとっての「岡安」のような存在である事を告げて、千代からビー玉を渡され道頓堀を去る。 昭和20年の時点では満州の飲食店で働いており、博打に負けて絡まれそうになった寛治を助けたことで彼と知り合う。その後、日本が降伏することを寛治に知らせ、千代から渡されたビー玉を託し、逃げるよう勧める。自身はその後、逃げ遅れた女性をかばって銃で撃たれ死亡した事がかつての店の常連から寛治に伝えられる。 竹井栗子(たけい くりこ)→上田栗子(うえだ くりこ) 演 - 宮澤エマ テルヲの再婚相手で、千代とヨシヲの継母。元は料理屋の仲居。妊娠中だが村の男たちも見惚れるほどの美人で、三味線が得意。だが家事を全くしない上に、千代とヨシヲに対し愛情が無く連れない態度を取り続けるため、千代を立腹させ対立することになる。千代とヨシヲを奉公に出すことを画策するが、ヨシヲだけでも残して欲しいと懇願する(この時はさすがにバツの悪そうな様子を見せている)千代のみを追い出す。千代が家を出てから8年の間に、生まれてきた娘を連れ離縁した旨、テルヲに語られる。その後、天海一平と離縁して道頓堀を飛び出し、行く宛もなく雨に濡れている千代の元に現れて、自身が暮らしている京都の自宅に連れて帰る。そこでかつて千代に酷い仕打ちをした事を謝罪すると共に両親を亡くした孫の春子(千代の姪)の面倒を見てあげて欲しいと懇願する。借金取りに脅かされる日々が続くテルヲの元を飛び出してから、女手一つで娘・さくらを育てるが、さくらの成長を見守るにつけ、追い出してしまった千代に対する罪悪感に苛まれるようになったという。栗子も幼少期から学校に通わせてもらえず、読み書きを知らない事を春子から聞いた千代は、竹井家にやってきた栗子が三味線以外ほとんど荷物がなかった事を思い出し、栗子も自分と同じ境遇だったのかもしれないと思い至り、同居する。千代がラジオドラマ『お父さんはお人好し』の出演を決心し、その初収録の日の朝に花籠を渡し、それまでの数十年の間、折に触れ匿名で千代に贈られてきた花籠の贈り主が自分であった事を明かす。実は千代の女優デビュー後は彼女の舞台をこっそり見に行く事で元気を貰っていたため、本心では千代が女優として再起する事を望んでいたが、辛い思いをして引退した千代の心情を思い、復帰する気になれないならそれも仕方がないと考えていたが、復帰を決意した事はやはり嬉しく、晴れの日に花籠を渡して祝福する。千代は感涙に咽び、ここで二人は真に和解する。『お父さんはお人好し』拡大放送の日からしばらくして亡くなった。 水野さくら(みずの さくら) 春子の実母。栗子とテルヲの娘。千代とヨシヲの異母妹。千代が竹井家を出てから誕生したため、千代との面識はない。 成人後は看護婦として働いていたが、夫(春子の父親)と共に戦争で故人となる。 水野春子(みずの はるこ)→竹井春子(たけい はるこ) 演 - 毎田暖乃(二役) 千代の姪。栗子とテルヲの間に生まれた娘・さくらの子で、栗子とテルヲの孫。春子の両親(さくらとその夫)は戦争で亡くなっており、祖母の栗子と2人で暮らしていた。千代の女優復帰を後押しする。栗子の死後、千代と養子縁組する。将来の夢は看護婦。
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