海辺のカフカ
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『海辺のカフカ』(うみべのカフカ)は、村上春樹の10作目の長編小説。 ギリシア悲劇と日本の古典文学を下敷きにした長編小説であり、フランツ・カフカの思想的影響のもと[注 1]ギリシア悲劇のエディプス王の物語と、『源氏物語』や『雨月物語』などの日本の古典小説が物語の各所で用いられている。15歳の少年「僕」が、不思議な世界を自ら行き来しながら、心の成長を遂げていく物語である。また本作は『ねじまき鳥クロニクル』からの暴力、戦争といったテーマが引き継がれており、生々しい残虐なシーンも同様に登場する。
注釈
- ^ 村上は、たとえばこれを「まわりにある抑圧的な現実を冷静に観察し、そこから自分にとっての有効な現実を真摯に、物静かに追求していく」こととしている[1]。
- ^ 殺され方が、川口大三郎君事件をモデルにしているという説が、松井今朝子『師父の遺言』、瀬戸宏「川口君事件の記憶-松井今朝子『師父の遺言』と村上春樹『海辺のカフカ』」で述べられている。
- ^ 集団昏睡事件に関して、オーストラリア映画『ピクニックatハンギング・ロック』を何度も思い出すという読者からの手紙に対し、村上はこう答えている。「"Picnic at Hanging Rock"は僕の大好きな映画のひとつです。この小説を書いているときにももちろんあの映画のことを思い出しました。(中略)僕らはたぶん巨大な虚無の暗黒と近接して生きているのではないかという気がしてきます。そういう潜在的な不安感も、もちろん『海辺のカフカ』のアンダートーンになっています」[18]
- ^ トロのこの言葉について村上は次のように述べている。「『圧倒的な偏見をもって断固抹殺する』というトロくんの台詞は、『地獄の黙示録』の中の台詞を引用しました。『地獄の黙示録』のあのシーンは僕がいちばん好きなシーンです。まだ無名だったハリソン・フォードが出ているシーン。思い出しただけでわくわくしちゃいます」[20]
- ^ 森を歩きながらカフカはこう述べる。「いつのまにかジョン・コルトレーンはソプラノ・サックスのソロを吹きやめている。そして今ではマッコイ・タイナーのピアノ・ソロが、耳の奥で鳴り響いている。左手が刻む単調なリズムのパターンと、右手が積みかさねるぶ厚いダークなコード。」[43]
- ^ ヘブライ語版は訂正前の単行本を底本としたため「テルアビブ」のまま訳された。この間違いにつきイスラエルの読者から抗議の手紙が来たという[44]。
出典
- ^ 『「これだけは、村上さんに言っておこう」と世間の人々が村上春樹にとりあえずぶっつける330の質問に果たして村上さんはちゃんと答えられるのか?』朝日新聞社、2006年3月、200頁。
- ^ “The 10 Best Books of 2005”. New York Times (2005年12月11日). 2008年12月17日閲覧。
- ^ Dirda, Michael (2007年5月20日). “A surreal novel of suspense from one of Japan's most exciting writers”. Washington Post. 2008年12月17日閲覧。
- ^ 『少年カフカ』新潮社、2003年6月、125-126頁、ほか。
- ^ 新潮文庫版上巻、pp.335 - 336
- ^ 新潮文庫版下巻、p.36
- ^ 新潮文庫版上巻、pp.228, 378 - 379
- ^ 新潮文庫版上巻、p.224
- ^ 新潮文庫版下巻、p.332
- ^ 新潮文庫版下巻、pp.89, 141
- ^ 新潮文庫版上巻、pp.333 - 335
- ^ 新潮文庫版上巻、p.336
- ^ 新潮文庫版上巻、pp.40 - 44
- ^ 新潮文庫版下巻、pp.225 - 226
- ^ 新潮文庫版上巻、pp.449 - 451
- ^ 新潮文庫版上巻、p.410
- ^ 本書、上巻、新潮文庫、411頁。
- ^ 『少年カフカ』前掲書、73頁。
- ^ 新潮文庫版上巻、p.155
- ^ 『少年カフカ』前掲書、255頁。
- ^ 本書、上巻、新潮文庫、88頁。
- ^ 本書、上巻、新潮文庫、113頁。
- ^ 本書、上巻、新潮文庫、119頁。
- ^ 本書、上巻、新潮文庫、123頁。
- ^ 本書、上巻、新潮文庫、187頁。
- ^ a b 本書、上巻、新潮文庫、220-222頁。
- ^ 本書、上巻、新潮文庫、235頁。
- ^ 本書、上巻、新潮文庫、277頁。
- ^ 本書、上巻、新潮文庫、283頁。
- ^ 本書、上巻、新潮文庫、291頁。
- ^ 本書、上巻、新潮文庫、384頁。
- ^ 『騎士団長殺し 第2部 遷ろうメタファー編』 新潮社、2017年2月24日、269頁。
- ^ 『1Q84』BOOK 3、新潮社、126頁。
- ^ 本書、下巻、新潮文庫、127-128頁。
- ^ 『1Q84』BOOK 2、新潮社、33頁。
- ^ 本書、下巻、新潮文庫、146頁。
- ^ 本書、上巻、新潮文庫、474-476頁。
- ^ 『村上春樹、河合隼雄に会いにいく』新潮文庫、143頁。
- ^ a b 本書、下巻、新潮文庫、215頁。
- ^ 本書、下巻、新潮文庫、423-424頁。
- ^ 本書、下巻、新潮文庫、264頁。
- ^ 本書、下巻、新潮文庫、278-279頁。
- ^ 本書、下巻、新潮文庫、343頁。
- ^ 「村上朝日堂ホームページ」 読者&村上春樹フォーラム48・2006年4月28日〜30日。
- ^ KAFKA ON THE SHORE SEPTEMBER 18 - NOVEMBER 16, 2008 - STEPPENWOLF THEATRE COMPANY
- ^ STEPPENWOLF - STEPPENWOLF THEATRE COMPANY
- ^ CHRISTOPHER LARKIN
- ^ “村上春樹×蜷川幸雄の舞台『海辺のカフカ』が再演、新キャストに宮沢りえ、藤木直人”. CINRA (2014年2月5日). 2022年10月4日閲覧。
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