私立図書館とは? わかりやすく解説

私立図書館

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/09 08:29 UTC 版)

ワルシャワ にあるポーランド 哲学者 および 自由思想家 アンジェイ ノヴィフスキ の私立図書館の一部 中国語 で名前が付けられたセクション

私立図書館(しりつとしょかん、わたくしりつとしょかん)とは民間団体、あるいは個人が管理する、私立の図書館である。

日本の私立図書館

広義には、公立の図書館に対し、民間団体や個人が設立・運営する図書館を総称していう。私設文庫ともいい、また、個人が設立したものは個人文庫ともいう[1]

狭義には、図書館法上の規定である、「図書、記録その他必要な資料を収集し、整理し、保存して、一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーシヨン等に資することを目的とする施設」(第2条)のうち、「日本赤十字社又は一般社団法人若しくは一般財団法人の設置する図書館」(第2条第2項)をいう。1950年の図書館法制定当時は「民法第34条の法人」(公益法人)と規定されていたが、1952年日本赤十字社法施行にともない日本赤十字社が追加され[2]、さらに、公益法人制度改革にともない、2008年から現行の規定となった[3]。ただし、この規定に当てはまる私立図書館は少なく、文部科学省の『平成30年度社会教育調査』(2018年10月1日現在)では22館[4][注釈 1]日本図書館協会の『日本の図書館 統計と名簿 2019』(2019年4月1日現在)では19館[5][6]となっている。それ以外の民間団体(企業など)や個人が設立・運営する図書館は、図書館法上は「図書館同種施設」(第29条)に分類される。

私立図書館は公立図書館と異なり、利用者から入館や閲覧に際して料金を徴収することを妨げられていない(図書館法第28条)。また多くの私立図書館が設置者の意図に沿った資料収集、公開を行う専門図書館であることが多い。

かつては地元の篤志家によって成立された私立図書館が日本中に数多くあったが、運営資金の問題から継続性に乏しく、また公共性に鑑みて公立に衣替えしたところも多い。

主な私立図書館

図書館法上の私立図書館

2019年4月現在、日本図書館協会は、以下の19館を図書館法上の私立図書館としている[5][注釈 2]

  1. ふきのとう子ども図書館(公益財団法人ふきのとう文庫) - 北海道札幌市西区。児童書。[1]
  2. 公益財団法人金森和心会クローバー子供図書館 - 福島県郡山市針生ヶ丘病院の関連施設。児童書。
  3. 成田山仏教図書館(公益財団法人成田山文化財団) - 千葉県成田市成田山新勝寺の関連施設。仏教書。
  4. 一般財団法人米本図書館 - 千葉県香取郡多古町
  5. 一般財団法人石川武美記念図書館 - 東京都千代田区。女性雑誌が専門。
  6. 公益財団法人三康文化研究所附属三康図書館 - 東京都港区西武鉄道増上寺が共同で設立。旧大橋図書館蔵書、仏教・宗教書。
  7. 公益財団法人東京子ども図書館 - 東京都中野区。児童書が専門。
  8. 立正佼成会付属佼成図書文書館 - 東京都杉並区立正佼成会が運営。
  9. 一般財団法人眉丈文庫 - 富山県高岡市
  10. ライブラリー82(公益財団法人八十二文化財団) - 長野県長野市八十二銀行の関連施設。金融関連および長野県の郷土資料。
  11. 公益財団法人培本塾附属図書館 - 静岡県牧之原市[2]
  12. 神宮文庫 - 三重県伊勢市伊勢神宮が運営。
  13. 公益財団法人江北図書館 - 滋賀県長浜市
  14. 公益財団法人阪急文化財団池田文庫 - 大阪府池田市阪急電鉄の関連施設。宝塚歌劇、歌舞伎、阪急電鉄等の資料。
  15. 金光図書館 - 岡山県浅口市金光教が運営。
  16. 最上図書館 - 岡山県岡山市最上稲荷が運営。仏教書。
  17. 金刀比羅宮図書館 - 香川県仲多度郡琴平町金刀比羅宮が運営。
  18. 特定非営利活動法人高知こどもの図書館 - 高知県高知市。児童書。[3]
  19. 公益財団法人松本記念児童図書館 - 大分県別府市

その他の私立図書館

活動停止

各国の私立図書館

主な私立図書館

  • ロンドン図書館英語版 - イギリス。

脚注

注釈

  1. ^ 都道府県別の内訳は、北海道1、福島1、群馬1、千葉2、東京4、神奈川1、富山1、石川1、長野1、静岡1、滋賀1、大阪1、兵庫1、奈良2、広島1、香川1、大分1。なお日本図書館協会の統計とは一致しない。
  2. ^ 宗教法人特定非営利活動法人が運営するものも含まれているが、原文通りである。
  3. ^ 設立者は土居一洋。全国の公立図書館への訪館を終えたため、活動終了。

出典

  1. ^ 日本図書館協会用語委員会 1996, p. 147.
  2. ^ 日本赤十字社法(昭和27年8月14日法律第305号)。1952年10月31日施行。
  3. ^ 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成18年6月2日法律第50号)。2008年12月1日施行。
  4. ^ 社会教育調査”. e-Stat (2020年3月23日). 2020年6月4日閲覧。
  5. ^ a b 日本図書館協会 2020, pp. 212–213.
  6. ^ 日本の図書館統計”. 日本図書館協会. 2020年6月4日閲覧。
  7. ^ 大沢悠 (2015年8月16日). “多気の少女まんが館、19日に開館 16日内覧会”. おでかけニュース. 中日新聞. 2016年10月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年10月23日閲覧。
  8. ^ 宮澤諒 (2015年8月17日). “三重県多気町に「少女まんが館TAKI 1735」 少女まんがを無料で公開”. ITmedia eBook USER. ITmedia. 2016年10月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年10月16日閲覧。
  9. ^ funabashiekimaelibraryの投稿(1601090946652284) - Facebook
  10. ^ 平河町ライブラリー閉館のおしらせ”. アカデミーヒルズ. 2017年6月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年6月4日閲覧。
  11. ^ 「農文協図書館」休館のお知らせ”. 農文協図書館 (2015年10月30日). 2020年6月4日閲覧。
  12. ^ "「文化」で3K脱却、三重県建設業協会 津市に図書館オープン"日本経済新聞1992年2月4日付朝刊、地方経済面中部7ページ
  13. ^ 206.公共図書館”. 平成19年刊三重県統計書. 2017年3月13日閲覧。

参考文献

  • 日本図書館協会用語委員会 編『図書館用語集 改訂版』日本図書館協会、1996年8月20日。ISBN 4-8204-9606-9 
  • 日本図書館協会 編『日本の図書館 統計と名簿 2019』日本図書館協会、2020年3月10日。ISBN 978-4-8204-1916-7 

関連人物

関連項目


私立図書館

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伊那市立図書館」の記事における「私立図書館」の解説

青年会学校教員など協力して1908年明治41年5月3日には会費制の図書館活動である高遠図書館創立された。この団体文芸新着図書を持つ「図書館月報」を発行し巡回文庫移動図書館)の規定設けて町民読書奨励。この巡回文庫20程度図書入れた箱を会員間で巡回させるものである。月1回例会、年3回大会開催し大会でレコード鑑賞講演研究発表弁論運動会などを行った1914年大正3年)には活動評価され長野県知事表彰受けている。同年から1915年大正4年)には寄付金募って書庫建設した書庫建設後には図書館建設模索したが、進徳図書館美術館構想具体化したために凍結された。 長野県内務部学務が行った「図書館文庫ニ関スル調査」によると、1916年時点上伊那郡には30図書館があり、その中で高遠図書館佳良図書館挙げられている。4,000冊以上の蔵書を持つ図書館長野県に6館だけであり、約25,600冊を持つ長野市信濃教育会信濃図書館(現・県立長野図書館)と約17,500冊を持つ松本市松本開智図書館(現・松本市図書館)を除けば、6,944冊の高遠図書館筆頭に4館すべてが上伊那郡にあった高遠町出身伊沢修二故郷図書館建設するべく、1912年大正元年)に進徳図書館美術館建設委員会設置1916年大正5年9月23日には建物開館が行われた。建設資金伊沢中村弥六などの高遠町出身者供出し、建物建設後高遠町寄付された。建物2階建であり、延床面積25坪だった。小学校の教員中心となって運営されている。建設過程においては伊沢中村の間に意見の対立があり、また経営は順調とはいえなかった。

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