映画をめぐる冒険とは? わかりやすく解説

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映画をめぐる冒険

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/30 10:12 UTC 版)

映画をめぐる冒険』(えいがをめぐるぼうけん)は、村上春樹川本三郎共著の映画カタログないしはエッセイ集。


注釈

  1. ^ ジョン・ヒューストン監督の『黄金』について、村上はこう述べている。「僕は学生時代にこの『黄金』のシナリオを何度も何度も読みかえして作劇術の勉強をしたことがある」[1]
  2. ^ リオ・グランデの砦』は、村上が1983年に発表した短編小説「めくらやなぎと眠る女」において重要な役割を果たしている[2]。しかし同短編のショート・バージョンである「めくらやなぎと、眠る女」において、『リオ・グランデの砦』は『アパッチ砦』に変えられた[3]
  3. ^ 読者から「何度も観返している映画ベスト3は何か」と問われた村上は次のように答えている。「二つしかありません。どちらもすごく古い映画ですが、ジョン・フォードの『静かなる男』と、フレッド・ジンネマンの『真昼の決闘』です。四面楚歌みたいな状況に置かれたときに(何度かそういうことがありました)、よく観ました。(中略) アメリカのホワイトハウスの映画室で、もっとも数多く大統領に観られた映画は『真昼の決闘』だという話を聞いたことがあります。アメリカの歴代大統領たちも、時として励ましを必要としていたんでしょうね」[4]
  4. ^ 本書が出版された1985年に村上は『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』を上梓しているが、同長編小説には、主人公の「私」が自宅で『静かなる男』のビデオテープを観賞する場面がある[5]
  5. ^ 村上は「学生の頃、ポーランド映画に狂っていて、ずいぶんたくさんのポーランド映画を見」たという[6]
  6. ^ 村上の処女長編『風の歌を聴け』に次の記述がある。「ペキンパー以外の映画では、僕は『灰とダイヤモンド』が好きだし、彼女(注・妻)は『尼僧ヨアンナ』が好きだ。長く暮していると趣味でさえ似てくるのかもしれない。」[7]
  7. ^ 村上の『ガンヒルの決斗』評は以下のとおり。「カーク・ダグラスアンソニー・クインという重量級のぶつかりあいは、まさに男の世界である。子供のころこの映画を観て一週間くらい興奮が抜けなかった。」[8]
  8. ^ 期間限定サイト「村上さんのところ」で、村上はユル・ブリンナーに触れた質問者に対し次のように答えている。「僕がユル・ブリンナーについてよく覚えているのは、『荒野の七人』でホルスト・ブッフホルツに向かって『おれがぱちんと手を合わせるあいだに銃を抜いてみろ』と言うところです。あそこはかっこよかったな。よく真似をしたものです」[9]
  9. ^ 期間限定サイト「村上さんのところ」で、「ゴダールの作品から3つを選ぶとすれば一体何になるでしょうか?」という質問に対し、村上は次のように答えている。「僕の好きなゴダール作品は(あくまで個人的に好きだということです)『女と男のいる舗道』『恋人のいる時間』『アルファヴィル』です」[10]
  10. ^ 村上は近年も『駆逐艦ベッドフォード作戦』について語っている。「これは高校時代に観てすごく印象深くて、レーザーディスクを買っていまだに観ている。少なくとも四回は観たと思う。」[11]
  11. ^ 『生ける屍の夜』はジョージ・A・ロメオ監督のホラー映画。一般的には『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』のタイトルで知られている。
  12. ^ 期間限定サイト「村上さんのところ」で村上はこう書いている。「お笑いものでは、僕はなんといっても、ジョン・ランディスが監督したジョン・ベルーシ主演の『アニマル・ハウス』と『ブルース・ブラザーズ』が大好きです」[12]
  13. ^ 村上の『地獄の黙示録』評は以下のとおり。「この作品の優れた点は内容が皆無なところにあると僕は思う。要するにスタイルだけで作られているのである」。なお村上は『同時代としてのアメリカ』という連作評論で同映画を丹念に論じている。
  14. ^ 『ヤング・ゼネレーション』は1979年製作のアメリカ映画。執筆者は川本。なお同映画の『キネマ旬報』の特集(1980年3月15日号)に村上は批評文を寄せており、「客観的に見れば良くできた映画ではある。(中略)しかしその良くできている分だけ、この映画は僕を肌寒くさせる」と述べている[13]
  15. ^ 村上は80年代初頭に雑誌『太陽』に映画評を連載していた。その中で『グロリア』について次のように書いている。「この『グロリア』という映画のどこが優れているのか? (中略) 第二にやたら拳銃をぶっ放さないこと、そして撃つ時は躊躇なく、容赦なく、確実に虫ケラを踏みつぶすように無表情に撃ち殺すこと。『虫ケラを踏みつぶすように』というところが尊いのであって、このクールな雰囲気がたまらなくいい。もちろん筋なんてどうでもいい」[14]
  16. ^ 前述の『太陽』連載コラムで村上は『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』の評を書いている。「我々が『スター・ウォーズ』に感じるリアリティーはきわめて断片的なリアリティーである。それは歌舞伎町のゲーム・センターで時折感じるリアリティーであり、青山三丁目の交叉点で時折感じるリアリティーであり、文芸誌の新人賞の受賞パーティーで水割りを飲みながら(何故オン・ザ・ロックが出ないんだろう?)時折感じるリアリティーである」[15]

出典

  1. ^ 本書、25頁。
  2. ^ 螢・納屋を焼く・その他の短編』新潮文庫、163-165頁。
  3. ^ レキシントンの幽霊』文春文庫、205頁。
  4. ^ 何度も観ても飽きない映画ベスト3 (2015年4月28日) - 村上さんのところ/村上春樹 期間限定公式サイト
  5. ^ 『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』上巻、新潮文庫、旧版、133-134頁。
  6. ^ スメルジャコフ対織田信長家臣団』朝日新聞社、2001年4月、読者&村上春樹フォーラム272。
  7. ^ 風の歌を聴け』講談社文庫、旧版、148頁。
  8. ^ 本書、62頁。
  9. ^ ユル・ブリンナーに因縁を感じます (2015年3月3日) - 村上さんのところ/村上春樹 期間限定公式サイト
  10. ^ ゴダール作品を3つ選ぶなら (2015年1月28日) - 村上さんのところ/村上春樹 期間限定公式サイト
  11. ^ 吉本由美ほか著『するめ映画館』文藝春秋、2010年、227頁。
  12. ^ 笑えるお勧め映画は? (2015年2月20日) - 村上さんのところ/村上春樹 期間限定公式サイト
  13. ^ 『キネマ旬報』1980年3月15日号 「親子間のジェネレーション・ギャップは危険なテーマ - 『ヤング・ゼネレーション』特集3」。
  14. ^ 『太陽』1981年1月号、186頁。
  15. ^ 『太陽』1980年9月号、166頁。


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