コンピューター・オートメーション
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「ミキシング・コンソール」の記事における「コンピューター・オートメーション」の解説
内蔵あるいは外部のコンピューターにより、コンソールのフェーダーを始めとするパラメーターを時系列にそって連続的またはイベント毎(操作ポイント)に記録し再現する機能で、簡易的にはフェーダーのポジションを記録するだけだが、デジタル・コンソールやDAW、または最新アナログ・コンソールではEQやPAN POT、エフェクトのパラメーターにいたるまでコントロール可能になってきている。レコーダーと同期させるためにはSMPTE タイムコードを用いるのが一般的であるが、DAWなどの場合にはセッションのタイムベースを基準に取り扱っている。アナログ・コンソールでは制御素子としてVCA、DAコンバーター、制御モーターなどを用いる。VCA式フェーダーでのオートメーションは古くから普及していて、APIが最初に搭載した事でも有名だが、音声信号がVCAという回路を通過する事によって起きる音声信号の変化を嫌う向きもあり、VCAミキシングを好まないエンジニアも存在する。超小型制御モーターを使用したムービング式フェーダー・オートメーションの場合にはVCA回路などを使わず、フェーダーを直接超小型制御モーターによって動かしてミキシング・データーを記憶及び再現するため、VCAによって音質変化する事を好まないエンジニアにとってはムービング式が好まれている。ただしVCA式に比べ普段のメンテナンスやモーター精度の調整などに費やす部分の負担が大きく、沢山の制御パーツと複雑なハードウェアを要するためにコンソール自体も高額になっている。SMPTEを使用するアナログ・コンソールでのミキシング・オートメーションの場合には時代によってデーターを再現させるときの時系列を扱う時間軸分解能には違いがあって、1フレーム単位 (33.333ms) 精度かそれ以下の時間軸内で起きたイベント情報(フェーダー・レベル値の推移)しか再現できなかったりしたが、最近ではサブ・フレームとして1フレームを80 - 100分割して細分化した時間軸情報を用いてオートメーションを記録及び再生しているので、ほぼリアル・タイムでイベント情報の再現性がある。
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コンピューター・オートメーション
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/18 03:04 UTC 版)
「ソリッド・ステート・ロジック」の記事における「コンピューター・オートメーション」の解説
基本特性 SL 4000 シリーズから搭載されているコンピューター・オートメーションにはいくつかの機能が有り、ミキシング・データとしてのラージ・フェーダーの上げ/下げと、ラージ・フェーダー側のチャンネル・カット・スイッチのON/OFF動作の記録/再生、ドロップ・イン(パンチ・イン)をコンソールの各チャンネル・モジュールに搭載されているスイッチから行った場合のドロップ・イン・タイミングの記録/再生、シンクロナイザー機能のコントロールなど、いくつかのパートに分けて考えられる。 ミキシング用フェーダー・オートメーションの取り扱いデータは、SMPTEタイムコードを使ってオン・ラインで動作する事においては一般的な他メーカーの機種と変わりはないが、Neve製コンソール等に導入されているFlying FadersやGML Automation Systemのようにイベント発生時(フェーダーの上げ下げやカット・スイッチのON/OFF)毎にその時点の数値情報みを点情報として記録するスタイルではなく、搭載コンピューターの "Name Title" コマンドやいくつかの方法で曲の頭または記録開始地点を指示し、そのタイムコード上のアドレスをデータの開始時点として記録し始め、データ書き込み終了時の "end" キーを押すまでの間にかけて、フェーダーやスイッチからのデータの書き込みが有ろうが無かろうが、入力されているタイムコード・アドレスに沿って各々のチャンネル・モジュールに対するミキシング・データを線情報として全て記録するスタイルであり、様々なコマンドによってオフライン編集も可能になっているなど、開発当初からスタジオでのミキシング・セッションにフォーカスを絞った設計が行われている。 オペレーション コンピューター・オペレーションは、手前側にアルファベットがQWERTY配列で並べられたキーボードと、その上部にはSSL オートメーション専用のコマンド・キーが並べられた専用コマンド・キーボード・セクションの2つがコンソール・センター・セクションの下部左側に配置され、専用コマンド・キーを使用する事によって用途に沿ったコマンド入力がとても使いやすいシステムとなっていた。Eシリーズではアルファベット入力が出来るキーボードの各キーが通常のキーボードの1/4程の大きさにまで絞られた小型版が用意されていたが、Gシリーズ以降では通常のフルサイズ版キーボードがアルファベット入力用に用意され、専用コマンド入力用のキーボードには変更がなかった。そしてアルファベット用キーボードにはファンクション・キーが初めて搭載されて、各種オペレーション・コマンドをユーザーが自由に組み合わせて登録し、1キー操作で必要なコマンド・ラインを完結できたため、コマンド入力時においては非常に重宝するスタイルとなった。ただし、スタジオが変わってしまいコンソール自体が別の物になると当然のようにファンクション・キーに登録したコマンドは再入力し直さなければならなかった。 モニター・ディスプレイ SL 4000 シリーズでは一貫してコンピューター・オペレーション用のモニター・ディスプレイは小型でモノクロ仕様が使用されていて、コマンド専用キーボード上のコンソール・センター・セクションに内蔵されていた。シリーズ全般を通してディスプレイ本体はモノクロ画面だったが、緑色のカバーがフィルター的に取り付けられたため画面上の文字色はそれを透過する事によって緑色に見える仕様になっていた。 データ記録メディア ミキシング・データの記録媒体に関しては、SL 4000 Eシリーズまで8インチ型フロッピー・ディスク(以下 FDと表記)とフロッピー・ディスク・ドライブがデータ取り扱いメディアに用意され、コンソールとマルチ・ケーブルで接続されたタワー型のSSL専用コンピューターからのデータはFDに記録された。左側のドライブにはシステム・ディスクをロードさせ、右側のドライブに記録用のディスクを挿入して使用するシステムだった。1枚のFDが容量的にすぐに一杯になってしまったため、コマンドを使って別のディスクに残したい最新データのみをコピーするなど運用面ではコンソールの多チャンネル化に伴い取り扱えるデータ量に限界があったが、FD自体が薄いお陰でミキシング・データをセッションで使用したマルチトラック・テープの箱の中に一緒に入れて移動できるなど、メリットもあった。 SL 4000 Gシリーズが発表された時点でSSL専用コンピューターの仕様が若干変更されて、それまでのコンピューター・オペレーションで使えたコマンドより様々な追加が試みられ、Eシリーズまでは部分的にミキシング・データをアップデートしたいときには任意のミキシング・データを選択してから "Goto"' + "Mix" + "Execute" でマルチトラック・テープなどをスタートさせ、コンピューターが動作し始めてタイムコードを読み込んだのを確認してからロケーターで任意の場所までテープを走らせてから、アップデートしたいミキシング作業を行わなければミキシング・データが壊れてしまうなどの厄介な運用面があったが、Gシリーズでは "Goto" + "Join" + "Mix" + "at" + "指定する時間情報" またはテープを任意の場所で止めて時間情報の代わりに "Here" を使い、ある特定の場所だけのデータ・アップデートが容易になるなど、ミキシング上でのオペレーションの自由度が増すコマンド・ラインの変更が成された。そしてオフ・ラインでのミキシング・データ編集機能も色々と用意されたため、テープを走らせながらのオン・ラインによるミキシング作業以外の方法も追加刷新された。 ミキシング・データを記録するメディアは相変わらず8インチ型FDも使用されていたが、新たにデータ・カートリッジ形式のフロッピー・ディスクとハード・ディスクの中間的フォーマットになるデータ記録用メディアが用意され、システム・ディスクは8インチ型FDのままだったが、ミキシング・データの記録容量とデータ書き込みトラフィックの速度向上が計られ、作業効率は大幅に向上した。その後3.5インチ型の2HD FD用のフロッピー・ドライブも用意されるようになり、容量アップと共に可搬性も増した。最終的にはデータ・カートリッジ方式は使用するメディアの生産終了などに伴い利用される事はなくなり、3.5インチ型FDだけがデータ記録メディア形式として残る事になった。 ミキシング時のステータス ミキシング中にデータ書き込みのステータスがどのモードに入っているかの確認は、各チャンネル毎のラージ・フェーダー左側上部に搭載されている緑と赤のLEDの点滅および点灯とモニター・ディスプレイ内の右側上部ある表示で確認する事が出来るが、マスター・フェーダーに関してだけはフェーダーの部分にステータス表示用のLEDは搭載されずモニター画面内のみの表示となる。 ステータスの切り替えにはチャンネル・フェーダーの場合はステータス切り替え用のスイッチがステータス表示用LEDのすぐ上に設置されていて、スイッチを押す回数でステータスを順番に切り替え、目的とするステータスになるまでスイッチを押して切り替えて行く方式が採られている。マスター・フェーダーに関してはステータス切り替えがフェーダー部分にはなく、コンピューター・コマンド用キーボードの操作によって順次切り替える方法になっている。 基本となるステータスには以下のような物がある。Absolute(=ABS、アブソリュート)【 LEDは赤の点灯、緑の消灯 】 常にフェーダーおよびカット・スイッチからの情報が新規または書き換えで絶対値としてその時点の位置情報等が書き込まれ続けるモードになり、新規ミックス開始時には以前のデータがないため自動的にこのモードに入る。 Trim(=TR、トリム)【 LEDは赤の消灯、緑の点灯 】 保存されたデータに対してデータの微調整定な書き足しを行う際に使用するモードで、上記Absoluteで書き込み終えた後ミックスを立ち上げた際には基本的にこのモードに入る仕様でもあった。フェーダーの場合は以前のデータを再生しながら、そのデータに対しての上げ下げを行うモードとなるため、フェーダーがある位置での絶対値で書き込むわけではなく、フェーダーはミックス再生前にどこにあっても問題ない。カット・スイッチの場合はON状態に対してOFF情報を書き足したり、OFF情報からONにする(カットを開く)書き込みなど、オン・ラインでリアルタイムに編集するような状態でのアップデート作業になる。カット・スイッチ自体がハードウェア・スイッチなので、カットをONにしたままミキシングを続けると前回のミックスでカットをOFFにしてあってもデータは新たにONとして上書き記録してしまう。 Play Cuts Only(プレイ・カッツ・オンリィ)【 LEDは赤の点灯、緑の点滅 】 カット・スイッチのみ再生するミキシング・データからの再現になり、フェーダーの方は常に新規データとして書き込まれるAbsoluteと同じ書き続ける(データを再現しない)モードとなる。ミックス開始時にチャンネル・カットだけを先に書き込んでおいて、フェーダーによるバランスおよびEQやダイナミクス系などを使ってのサウンド作りを続ける際に使うモードでもある。 Play Faders Only(プレイ・フェーダーズ・オンリィ)【 LEDは赤の点滅、緑の点灯 】 フェーダーの上げ下げ情報のみ再生するミキシング・データからの再現になり、カット・スイッチはAbsoluteと同じ状態を維持する。カット・スイッチのデータ書き込み中心のアップデート作業時に使えるモード。 Immediate Pickup(=IP、イミディエイト・ピックアップ) アルティメーション・ミキシング・システム使用でモーター・モード(ムービング・フェーダー状態)時においては再現モードがトリム・モードの場合などで、フェーダーをタッチして書き込みする体勢になった時点で、あらかじめ設定してある任意のステータスへ自動的に切り替わり、フェーダーから手を離すと自動的に元のモードにデータ・ジョインして書き込み終了させ、データが入力されたときだけそのまま書き込みが可能になりアップデートする為のモード。VCAシステムの場合にはデータ書き始めの時点はデータ値に対して変更が加えられた時点からとなり、アップデートを終了させるにはフェーダー左側上部にあるステータス切り替えスイッチを押してこの書き込みモードから脱出する形になる。書き込み方としては多少特殊な方法になる。 他にも様々なモードやオフ・ライン編集などの組み合わせ方での様々なミキシング・データ書き込み方法が存在する。 SL 9000 シリーズ以降 SL 9000シリーズではコンピューター自体の性能が数世代アップデートされ、記録出来るミキシング・データの領域もラージ・フェーダーとそのフェーダーのカット・スイッチ以外にスモール・フェーダー、スモール側のカット・スイッチ、パンポット、など豊富になってきたため、ミキシング時のオートメーション機能と自由度が数倍向上する結果となった。 それまでのコンピューター・オペレーションにはマウスなどのポインティング・デバイスは一切使われない仕様で、全てがコマンド入力によるオペレーションだったが、この世代より小型のペン・タブレットがコンソールのマスター・セクションにあるグループ・フェーダー並びに搭載され、カーソルで画面上に見えるデータへのアクセスおよび編集が可能になった。そして、ミキシング・データのオフ・ライン編集機能も著しく追加向上された。 専用モニター・ディスプレイも一般的なコンピューター用モニター・ディスプレイとほぼ同型の物がコンソール・センター・セクションに埋め込まれる形となり、表示可能な情報量は格段に増えた。XL 9000 Kからは埋め込まれたモニター・ディスプレイ自体の角度を変える事が出来るようになったため、視認性は更に向上した。
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