カレー戦争編
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/31 20:34 UTC 版)
東京はひばりヶ丘駅前に「大徳デパート」と「白銀屋」の二大デパートが開店し、白銀屋は人気のカレーチェーン店「インド屋」を店内に出店。一方、大衆料理の研究に余念の無い味平は大徳デパート内に「アジヘイ」を出店する。店の商品や規模は互角であるため、大衆料理の王様であるカレーの美味い店があるデパートに客足が向かう。こうして、今までのような単純な勝負ではない、デパートの売り上げをも巻き込んだカレー戦争が始まった。当時は昭和50年、それから51年の正月をはさみ長きに渡る。 鼻田香作(はなだ こうさく) 本編の中核をなすキャラクター。世界中のありとあらゆるカレー料理の修業を積んだというフリーランスのカレー専門家、通称「カレー将軍」。幼い頃からカレー作りを始め、少年期からカレー料理店で働き、30年かけ6000種類のスパイスを嗅ぎ分ける嗅覚を得る。あまりにも嗅覚が鋭いため、保護のためか常にマスクらしきものを鼻部に装着している。しかしマスクをつけた状態でも屋外で服についたスパイスの臭いがわかるほど、鼻は鋭い(ただし「味平カレー」の隠し味の醤油の香りはスパイスではないため見破れなかった)。 その造詣の深さ、能力の高さは、三ツ星レストランのシェフでさえも、ことカレーにおいては鼻田には及ばないと言わしめたほどである。 カレーによる世界征服を企み、マイク赤木と「インド屋」を開店。カレー戦争で結託することになる。自分の作ったカレーには非常に誇りとプライドを持っており、味平のミルクカレーを初見で簡単に再現するがそれを取り込むような事はせず、子供向けメニューとして独自にスパゲッティとカレーを組み合わせた「スパカレー」を作り出し対抗、マイク赤木が彼の了解を得ず勝手に「アジヘイ」潰し対策で仕掛けたカレーの値下げ競争に対しても、一流の料理人がやる事ではないと反発した。ただし、客が味よりも値段の安さに釣られてやってきたというマイクの主張には反論できず、値下げを続けるなら自分の弟子達とともにインド屋から引き上げると恫喝する事で強引に止めさせた。 様々なカレーを編み出し常に味平の一歩先を行っていたが、「味平カレー」の出来栄えの良さ、レシピの不明さに恐怖。同時に何としても勝ちたいと心を燃やし、ライバル視を強める。 一人スパイス貯蔵庫に篭り、寝食もろくに取らずに組み合わせを続け、ついに自身究極と断言する「ブラックカレー」を作り上げる。味平が完成させた「味平カレー」は凄まじい人気を呼ぶが、ブラックカレーの得体の知れない吸引力はその味平カレーをも凌駕する凄まじい数のリピーターを生み出し、味平ですら自ら負けを認めたほどだった。 しかし、実は「ブラックカレー」は麻薬同然のスパイスが多量に含まれている、およそ「料理のおいしさ」とはかけ離れた代物であった。自身も長年のスパイス研究による蓄積と、短期間で無理をして「ブラックカレー」を作り上げたことが祟り、副作用で精神に変調をきたし、客の前でテーブルの上に靴のまま乗って立ち「カレーの神様である自分の前にひれ伏せ!」などと誇大妄想じみた発言をする麻薬中毒的廃人に成り下がってしまう。最後はあまりの態度に救急車を呼ばれ、無理矢理乗せられて退場。「ブラックカレー」も警察により成分分析された挙句販売中止となり、全ては水泡に帰してしまった。 見下すような発言は目立ったものの料理人としての腕は確かなものであり、味平は彼の迎えた最後に対して複雑な想いを抱き、「料理の道の恐ろしさ」を改めて感じた。 神山佐吉(かみやま さきち) 横浜港に停車しているトラック内で野宿した際に知り合った港湾労働者。味平が佐吉に譲った仕事で大けがをしてしまい、責任を感じた味平は労務者たちの人気メニューであるカレーに目をつけ、カレーの屋台を港に出し、佐吉の借金の肩代わりやアパートの家賃を捻出。佐吉も味平に恩を感じ、味平カレー作りに参加することになった。肉体労働者ゆえ濃い味付けが好みで、かつてカレー屋で「こんな辛くないカレーが食えるか!」と言ったそうだが、味平のいた「キッチン・ブルドッグ」で同様の話があり風貌も似ている事から、あのクレーム客は佐吉だったと言う声も上がっている。 香川梨花(かがわ りか) 横浜で活動する暴走族「ブラックシャーク」の女団長であり、大徳デパートひばりヶ丘支店長の一人娘。荒んだ生活を送っていたが、市中のカレー屋台で出会った味平の生き方に感化され更生、味平カレー作りに参加して味平を手伝う。勝気でもめ事も起こしやすいがさっぱりとしていて根は優しい。包丁使いはなかなかだが、味付けはやや苦手な様子。 味平に好意を持つようになったが、料理のことで頭が一杯の味平を振り向かせることは最後までできなかった。 柳大吉(やなぎ だいきち) 横浜市中でタクシードライバーや出稼ぎ労働者に大人気のラーメン屋台「大柳軒」の若き店主。味平より前にラーメン屋台で万人の味を実践していた事から、味平にカレー戦争への協力を依頼される。客の年齢・出身地などから味の好みを判断し、味を調節して提供する「味割り」を得意とする。「自分はラーメン以外の料理はまったく作れない」と謙遜するが、その実料理に関した知識は非常に豊富。味平カレー完成の功労者。 カレー作りを手伝ううちに梨花に好意を持つが、その思いは実らないばかりか、梨花の方は時折出てくる大吉の講釈を苦々しく思う有様であった。カレー戦争勝利後、彼女の想いを踏みにじるような味平の態度(味平に悪気はなかった)と、どれだけ想っても届かないジレンマから一人号泣。カレー編では莫逆の友と言えた関係もこの件から冷え、後に札幌で味平と再会したときも、以前のような笑顔はなかった。札幌における大吉は後述する。 マイク赤木(マイク あかぎ) 「インド屋」チェーンの経営者。アフロヘアやヒゲのせいもあって老けて見えるが、年齢は20代前半。無一文から出発し、密航で渡米。その勤勉さから、わずか6年で全米で商売を成功した立志伝中の男。「スキヤキ商法」で知られている。鼻田香作の「インドカレー」で日本征服を目論み、白銀屋のテナントとして「インド屋」をオープンさせ壮絶な戦いを展開するが、最後は前述の鼻田の「不祥事」もあり、インド屋は撤退する事になってしまった。モデルはロッキー青木[要出典]。 大徳社長(だいとく しゃちょう) 上野に本店を構える百貨店「大徳」の社長。関西出身であり、関西弁を喋る恰幅のよい紳士。味平カレーを最初に認めた人物。経営哲学やセンスは際立っており、反抗する重役連中を黙らせるために、損をする事を承知の上で味平の店を撤去させるなどの手を打ちながらも、味平へのサポートや助言を与える。
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