アイアイエー島とは? わかりやすく解説

アイアイエー島

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/29 05:37 UTC 版)

アイアイエー島古希: Αιαίη / Αιαία古代ギリシア語ラテン翻字: Aiaíē / Aiaíaラテン語: Aeaea)は、ギリシア神話に登場する地名で、魔女キルケーが住むと言われる島である。長母音を省略してアイアイエ島とも表記される。

位置

チルチェーオ岬の位置(上の方のアンツィオテッラチーナの間にある)
ロシニ島の位置

ホメーロスの『オデュッセイア』の地理学はいくぶん辻褄が合わず、文字通りに受け取るには神話的すぎるのだが、後の古代ローマの著述家たちは、アイアイエー島は、イタリア西海岸、ローマから南に約100kmの位置にある、チルチェーオ岬のチルチェーオ山(Mount Circeo, ラテン語:Mons Circeius)であるという見解を持った。実際には小さな半島であるが、周りを囲む沼地や海のため、島のように見えたのかも知れない。あるいは、ハリカルナッソスのディオニュシオスの著書によれば、その本が書かれた時代(紀元前1世紀)には既にそこは半島だったが、ひょっとしたらホメーロスの時代には、浜辺か砂の半島のある島だったのが、一般の地質学的変化によって徐々に本土とくっついたのかも知れない。

地元の人々は岬にある洞窟の1つを「Grotta della Maga Circe(キルケーの洞窟)」と呼んでいる。

アイアイエー島を去る前に、オデュッセウスはキルケーから地下世界に行く方法を教わった。「船がオーケアノスの海を越えたら、早すぎる実を落とした高いポプラと柳の林のある、ペルセポネーの国の肥沃な海岸に着くでしょう。そこに船を着け、ハーデースの闇の住処へとまっすぐに進むのです」[1]

アイアイエー島の場所については、他にもさまざまな説がある。

たとえばロバート・グレーヴスはその著書『ギリシア神話』の中で、アイアイエー島は北アドリア海に浮かぶ、ポー川河口に近い、ロシニ島だと言っている。

ティム・セヴェリンは『The Ulyssess Voyage』の中で、イオニア海のパクシ島(Paxi)がアイアイアエー島だとしている。

イマン・ウィルケンスは『Where Troy Once Stood』の中で、ライン川マース川スヘルデ川が作る三角州にあるサーウンダイヴァラント(Schouwen-Duiveland)がアイアイエー島だと主張している。

異名としてのアイアイエー

アイアイエーという名前は、ギリシア神話の中でさまざまなキャラクターの異名として使われている[2]

脚注

  1. ^ 『オデュッセイア』x.505.
  2. ^ Schmitz, Leonhard (1867), "Aeaea (1), (2) and (3) Archived 2007年9月6日, at the Wayback Machine.", in Smith, William, Dictionary of Greek and Roman Biography and Mythology, vol. 1, Boston, pp. 23
  3. ^ ロドスのアポローニオス、iii. 1135
  4. ^ ホメーロス『オデュッセイア』、ix. 32
  5. ^ ロドスのアポロニウス、iv. 559
  6. ^ ウェルギリウスアエネーイス』、iii. 386
  7. ^ Acaeus, Propert. ii. 23. § 42
  8. ^ Pomp. Mela, ii. 7
  9. ^ Propert. iii. 10." 81

アイアイエー島

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/16 00:42 UTC 版)

エウリュロコス」の記事における「アイアイエー島」の解説

オデュッセウストロイアーからの帰路航海で、魔女キルケーの住むアイアイエー島にたどり着いたとき、生き残った部下2つの隊に分け一方の隊を自分指揮し、もう一方エウリュロコス指揮させて、島内探索したエウリュロコスの隊にはオデュッセウスお気に入り部下ポリーテースもいた。エウリュロコスたちは島内探索するうちにキルケーの館を発見した。そこでポリーテースたちがキルケー話しかけると、キルケーは彼らを快く館に招き入れるふりをして、毒入り葡萄酒飲ませ魔法で豚に変えて、さらに家畜小屋押し込んた。エウリュロコス1人だけ館の外に留まっていたが、仲間たち起きた悲劇見て慌てて逃げ帰って報告した。このときエウリュロコスの心は悲しみ満たされ、気ばかり焦ってなかなか話すことができなかった。ようやく話すことができたのは、仲間たち姿を消し一向に館から出てこないということだであった。話を聞いたオデュッセウスエウリュロコスキルケーの館まで案内命じたが、エウリュロコスオデュッセウスすがりついて一刻も早くこの島から去るべきだと懇願した仕方なくオデュッセウス1人キルケーの館に向かいヘルメース神から薬草モーリュ授かりキルケー魔法打ち消して部下救い出したその後キルケー客人となったオデュッセウス仲間呼び戻ってきて、「仲間たちならキルケーの館で飲み食いしておるぞ」と言うと他の者たち納得したが、エウリュロコスだけは「なぜわざわざ災難遭い行こうとするのだ、我々はキルケー動物変えられて、あの大きな館の番をすることになるにちがいない。キュクロープス殺された者たちも、もとはと言えばオデュッセウス所業原因なのだぞ」と言って船から動こうとしなかった。オデュッセウスはその言葉聞く怒って、剣でエウリュロコス首を切りたい思い駆られたが、部下たちになだめられ思いとどまったエウリュロコスというとオデュッセウス怒り恐れたため、結局はともにキルケーの館へと向かった

※この「アイアイエー島」の解説は、「エウリュロコス」の解説の一部です。
「アイアイエー島」を含む「エウリュロコス」の記事については、「エウリュロコス」の概要を参照ください。

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