『オデュッセイア』以外におけるオデュッセウス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/04 19:39 UTC 版)
「オデュッセウス」の記事における「『オデュッセイア』以外におけるオデュッセウス」の解説
『オデュッセイア』の続編として作られた『テーレゴネイアー』では、オデュッセイアの後日談が語られている。『テーレゴネイアー』のあらすじは以下のとおりである。オデュッセウスがアイアイエー島を訪れた際、2人の間にはテーレゴノスが生まれた。テーレゴノスは成長するとオデュッセウスに会いにイタケー島に赴いたが、父オデュッセウスを間違えて殺めた。殺した男が自分の父であったことを知ったテーレゴノスは大いに嘆き、父の遺体をペーネロペーに見せた後、彼女と異母兄テーレマコスを伴ってアイアイエー島に戻った。そこでキルケ―はテーレマコスと、テーレゴノスはペーネロペーと結婚した。 実際には『テーレゴネイア』は現在では散逸してしまっており、そのあらすじは主にプロクロスの文学便覧(The Chrestomathy)にて語られるのみである。また、同様の神話はアポロドーロスの『ギリシア神話(ビブリオテーケー』)やヒュギーヌスの『ギリシャ神話集』においても断片的に伝えられている。 またオデュッセウスは冥界にてテイレシアースから「海からは離れたところで安らかな死が訪れる」と予言を受けているため、テーレゴネイアの内容はそれとは矛盾している。テーレゴネイアにおいては「海からは離れたところで(ex halos)」を「海から」と解することでテーレゴノスから殺害される予言としているが、これはテーレゴネイアを頭に入れた上での解釈である。これらの理由により岩波文庫版『オデュッセイア』を翻訳した松平千秋は、テーレゴネイアにおける最期を「安らかな死」を迎えるテイレシアースの予言とは似ても似つかぬとして「言語道断、漫画的とでも評するほかない結着」と酷評している。
※この「『オデュッセイア』以外におけるオデュッセウス」の解説は、「オデュッセウス」の解説の一部です。
「『オデュッセイア』以外におけるオデュッセウス」を含む「オデュッセウス」の記事については、「オデュッセウス」の概要を参照ください。
- 『オデュッセイア』以外におけるオデュッセウスのページへのリンク