著作物とは? わかりやすく解説

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ちょさく‐ぶつ【著作物】

読み方:ちょさくぶつ

著作者著作したもの。特に、文芸・学術・美術・音楽などに関する思想感情創作的に表現したもの。


著作物


著作物

著作者の権利」によって「保護」される対象が著作物です。著作物は、著作権法では、「思想又は感情創作的に表現したものであつて、文芸学術美術又は音楽範囲属するもの」
定義されています(第2条第1項第1号)。

具体的にどのようなものが著作物であるのかは、第10条例示されています。

しかし、これらはあくまでも例示であって、著作物はこれだけ限りません。先に述べた定義にあてはまるもの、すなわち、以下の条件をすべて満たすものは、表に掲げられていないものであっても、著作物に該当することになります定義の解釈次のとおりです。

(a)思想又は感情」を
(b)創作的」に
(c)表現したもの」であって
(d)文芸学術美術又は音楽範囲」に属するもの

(a)条件によって、「東京タワーの高さ:333メートル」といった「単なるデータ」(書いた人の思想感情無関係)が著作物から除かれます。

(b)条件によって他人作品の「模倣」や、「明治維新1868年だった」といった「単なる事実」(創作されていないもの)が除かれます。

(c)条件によって、「アイディア」が著作物から除かれます(アイディア解説した文章」は著作物になり得る)。

(d)条件によって、「工業製品」などが、著作物から除かれます。

(注)特許権」は「アイディア」を保護し、「著作権」は「表現」保護してます。このため例えば、ある「」の製法について特許権付与されている場合、1) その製法に従って、そのを「製造・販売」すること(アイディア利用)は、特許権侵害となり、2) その製法書いた論文コピー」すること(表現利用)は、「著作権」の侵害なります

著作物

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/12 02:13 UTC 版)

著作物(ちょさくぶつ)とは、著作権の対象となる知的財産である。


  1. ^ 「著作権特殊講義 日本音楽著作権協会(JASRAC)寄附講座 2003年度」成蹊大学法学部、2004年、17頁
  2. ^ a b c d e 藤野仁三、鈴木公明『グローバル経営を推進する知財戦略の教科書』2013年、265頁
  3. ^ 「著作権特殊講義 日本音楽著作権協会(JASRAC)寄附講座 2003年度」成蹊大学法学部、2004年、143-144頁
  4. ^ 「著作権特殊講義 日本音楽著作権協会(JASRAC)寄附講座 2003年度」成蹊大学法学部、2004年、144-145頁
  5. ^ 茶園成樹『著作権法 第3版』有斐閣 2021年 ISBN 978-4-641-24351-4 pp.2
  6. ^ 「著作権特殊講義 日本音楽著作権協会(JASRAC)寄附講座 2003年度」成蹊大学法学部、2004年、104頁
  7. ^ コンピュータネットワーク上の国際的な著作権侵害ー東北大学
  8. ^ 「著作権特殊講義 日本音楽著作権協会(JASRAC)寄附講座 2003年度」成蹊大学法学部、2004年、45頁
  9. ^ "この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。" 著作権法.
  10. ^ a b c d 著作権テキスト 初めて学ぶ人のために 文化庁長官官房著作権課 2010年度[リンク切れ](代替 平成28年度版PDF(※脚注リンク切れの平成22年度版ではないので注意))
  11. ^ a b c "江差追分事件がいっているように,「表現それ自体でないもの」は,著作権法における保護の対象にはなりません。" p.140より引用。髙部. (2013). 著作権法の守備範囲. パテント 2013 Vol. 66 No. 13.
  12. ^ [1]著作権なるほど質問箱 自動車メーカーが売り出しているファミリーカーのデザインは著作物ですか。
  13. ^ 著作権法の基本的な枠組みについて(オープンデータ関連) 文化庁 2013年1月24日
  14. ^ [2]著作権なるほど質問箱 小説や音楽などの題名は著作権で保護されますか。
  15. ^ [3]著作権なるほど質問箱 図書館で、書籍の題名、著作者名、出版者名、発行年等の書誌情報をデータベース化し、パソコンコーナーで検索できるようにしようと考えていますが、問題がありますか。
  16. ^ [4]著作権なるほど質問箱 流行語大賞を獲得した言葉や造語は著作物ですか。
  17. ^ [5]著作権なるほど質問箱 独創的な商品名は著作物ですか。
  18. ^ 大阪控判昭和11・5・19法律新聞4006号2頁(訴廷日誌事件)
  19. ^ 東京地裁昭和40・8・31判例時報424号40-41頁(船荷証券ひな型事件)
  20. ^ 著作権法要義 水野錬太郎 1899年
  21. ^ ○玩具「ファービー」人形のデザインは美術の著作物に該当しないと判断された事例 平成14年7月9日判決宣告 仙台高等裁判所 平成13年 (う) 第177号日本の裁判所
  22. ^ K,「ポパイ」著作権侵害第3事件:東京地昭和59年(ワ)10103号平成2年2月19日判(一部認容)(1)、東京高平成2年(ネ)734号平成4年5月14日判(棄却)(2)、最高平成4年(オ)1443号平成9年7月17日判(上告認容)(3)
  23. ^ a b 半田 & 松田 2015, p. 635.
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  25. ^ 中山 2014, p. 139.
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  29. ^ 中山 2014, p. 135.
  30. ^ 中山 2014, p. 45.
  31. ^ 半田 & 松田 2015, p. 644.
  32. ^ a b 半田 & 松田 2015, p. 649.
  33. ^ a b 三山 2016, p. 123.
  34. ^ 判決文”. 裁判所. 2022年7月31日閲覧。
  35. ^ a b 中山 2014, p. 133.
  36. ^ "釣りゲームにおいてありふれた表現方法にすぎないものということができる。" 知財高裁. (2012). 平成24(ネ)10027(釣りゲーム事件).
  37. ^ "「ありふれたもの」(誰が表現しても同じようなものになるもの)も創作性があるとはいえません。" 文化庁. (2023). 著作権テキスト -令和5年度版-.
  38. ^ "言語の著作物の翻案 ... とは,既存の著作物に依拠し,かつ,その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ,具体的表現に修正,増減,変更等を加えて,新たに思想又は感情を創作的に表現することにより,これに接する者が既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することのできる別の著作物を創作する行為をいう。" 最高裁判所判決(平成11(受)922)
  39. ^ "既存の著作物に依拠して創作された著作物が ... アイデア ... 部分において,既存の著作物と同一性を有するにすぎない場合には,翻案には当たらないと解するのが相当である。" 最高裁判所判決(平成11(受)922)
  40. ^ "著作物が ... 表現それ自体でない部分又は表現上の創作性がない部分において" 最高裁判所. (2001). 江差追分事件 判決文.
  41. ^ a b "著作物が,思想,感情若しくはアイデア,事実若しくは事件など表現それ自体でない部分又は表現上の創作性がない部分において" 最高裁判所. (2001). 江差追分事件 判決文.
  42. ^ "ゲームのルールにほかならず ... アイデアの範疇に属するものである。" 知的財産高等裁判所. (2012). 平成24年 (ネ) 10027号(釣りゲーム事件).
  43. ^ "当該登場人物が描かれた各回の漫画それぞれが著作物に当たり、具体的な漫画を離れ、右登場人物のいわゆるキャラクターをもって著作物ということはできない。けだし、キャラクターといわれるものは、漫画の具体的表現から昇華した登場人物の人格ともいうべき抽象的概念であって、具体的表現そのものではなく" p.4より引用。最高裁判所. (1997). 平成4(オ)1443(ポパイネクタイ事件)判決文.
  44. ^ 抽象的なキャラクター概念との類似性でなく、具体的な各作品表現との類似性に基づき判定される。 "複製というためには、第三者の作品が漫画の特定の画面に描かれた登場人物の絵と細部まで一致することを要するものではなく、その特徴から当該登場人物を描いたものであることを知り得るものであれば足りるというべきである。" p.5より引用。最高裁判所. (1997). 平成4(オ)1443(ポパイネクタイ事件)判決文.
  45. ^ "第五十一条 ... 2 著作権は ... 著作者の死後 ... 七十年を経過するまでの間、存続する。" 著作権法(令和五年法律第三十三号による改正).
  46. ^ "第三十条 著作権の目的となつている著作物 ... は、個人的に ... 使用すること ... を目的とするときは ... その使用する者が複製することができる。" 著作権法(令和五年法律第三十三号による改正).
  47. ^ Loi no 111, Chapitre Ier : Nature du droit d'auteur (第1章 第1節: 著作権の性質、第111条)
  48. ^ 井奈波朋子 2006, pp. 4–6.
  49. ^ Loi no 112, Chapitre II : Oeuvres protégées (第1章 第2節: 著作物の保護対象、第112条)
  50. ^ Copyright litigation in France: overview” [フランスにおける著作権訴訟の概要] (英語). Thomson Reuters Practical Law. 2019年8月3日閲覧。 “Law stated as at 01-Oct-2018 (2018年10月1日時点のフランス著作権法に基づく解説)”


「著作物」の続きの解説一覧

著作物

出典:『Wiktionary』 (2021/08/16 05:02 UTC 版)

名詞

著作 ちょさくぶつ

  1. 著作された書物
  2. 法律文章絵画音楽映画写真舞踊などといった、文字映像身振りなどの方法によって作者思想感情創作的に表現された制作物

派生語・複合語

参考

日本国著作権法における定義

思想又は感情創作的に表現したものであつて、文芸学術美術又は音楽範囲属するもの」著作権法2条1項1号

翻訳

語義2


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