B-52戦略爆撃機
米国空軍が導入している戦略爆撃機。全幅およそ56メートルと大型の機体で、最高時速は毎時1000キロメートル、連続航行距離は15000キロメートルを超える。
B-52戦略爆撃機は1960年代に実戦に投入された。ベトナム戦争などで絨毯爆撃を行ったことが知られている他、湾岸戦争やイラク戦争など、数々の戦争で戦略爆撃を行っている。旧式・前世代の装備と言うこともできるが、B-52戦略爆撃機は機体の改良が繰り返されつつ50年以上にわたって運用されてきており、2013年現在もなお現役である。
2013年11月23日、中国が尖閣諸島を含む東シナ海の海域を防空識別圏として設定したと公表した。これは当該空域が中国の領空侵犯に備えた哨戒の対象区域と設定されたことを意味する。米国は同月25日に、該当空域においてB-52戦略爆撃機2機による演習を実施している。
【B-52】(びーごじゅうに)
Boeing B-52 "Stratofortress(ストラトフォートレス)"
1950年代にボーイング社が開発し、アメリカ空軍で運用された8発ジェット戦略爆撃機。
初飛行は1952年の原型機であるXB-52。
本機は当初、メガトン級水爆を搭載する戦略爆撃機として開発され、F型までは水爆4発を搭載していた。
G型以降は核兵器以外にも爆弾倉、機外に計約30トンの爆弾、巡航ミサイル(初期はAGM-28「ハウンド・ドッグ」を搭載、後にAGM-69 SRAMやAGM-86 ALCM。いずれも核弾頭装備)などを搭載可能で、ベトナム戦争においては編隊飛行による戦略爆撃でその能力を発揮している。
このことから、当時のベトナム人は「死の鳥」と呼んで恐れた。
本機はSAMの射程外である高々度からの爆撃を主眼において開発されたが、後にSAMが技術進歩により高々度目標を攻撃可能になったため、G型からは地形追随飛行が可能となっている。
しかしその後B-1、B-2が配備されると彼らにその役目を譲り、本機はもっぱら巡航ミサイル母機、安全な地域での爆撃機としての役割を果たしている。
だが、アフガニスタンやイラクではJDAMを搭載しての近接航空支援を行うという事例もある。
初期型のB-52Aを筆頭に、B~Hまでの派生型があったが、このうちG型までは既に退役しており、現在就役しているのは、最終量産型のH型のみである。
初飛行から半世紀以上が経過しているが、後継機として開発されたB-1、B-2がとにかく高価であったため(B-52と比べてB-1Bは約7倍、B-2は約70倍)、延命・近代化改修により、2040年頃までは現役にとどまる予定となっている。
スペックデータ
乗員 | 6名(機長、副操縦士、レーダーナビゲーター、航法士、電子戦士官(EWO)) |
全長 | 49.05m |
全高 | 12.40m |
全幅 | 56.39m |
主翼面積 | 371.6㎡ |
空虚重量 | 83,915kg |
最大離陸重量 | 229,088kg |
最大兵装搭載量 | 27,216kg |
機体内燃料搭載量 | 174,130リットル |
エンジン | P&W TF33-P-3ターボジェット(推力75.6kN)×8基 |
速度 (最大/巡航) | 517kt/442kt |
実用上昇限度 | 16,675m |
航続距離 | 10,860nm(無給油) |
戦闘行動半径 | 4,170nm(無給油) |
海面上昇率 | 915m/min |
固定武装 | M61A1 20mmバルカン砲×1門(現在は撤去) |
兵装 | 対地/対艦ミサイル: AGM-69「SRAM」,AGM-84「ハープーン」,AGM-86「ALCM」,AGM-129「ACM」 ,AGM-142「ハブナップ」,AGM-154「JSOW」 爆弾類: 通常爆弾,GBU-31「JDAM」,CBU-103/-104/-105「WCMD」,B61戦術核爆弾などを 搭載可能。 |
派生型
- XB-52(1機):
1952年10月2日に初飛行した最初の原型機の呼称。
地上試験中に損傷し、修理のためYB-52に遅れることとなった。
- YB-52(1機):
1952年4月15日に初飛行した2番目の原型機。
操縦席はバブルキャノピーで、タンデム配置である。
- B-52A(3機):
最初の量産型とされるが、爆撃航法装備等を持たない実質的な追加試作機。
各種フライトテストに使用された。
- B-52B(50機):
エンジンとアビオニクスがアップグレードされた実戦配備型。
うち27機は偵察ポッドの追加によりRB-52Bとして完成し、後に7機のB-52Bはサンフラワー(Sunflower)計画の下、B-52C仕様に改造された。
- B-52C(35機):
1956年3月に初飛行した、性能向上・搭載電子機器改良型。
翼下増槽により最大離陸重量と航続距離が増大した。
- B-52D(170機):
1956年5月に初飛行した長距離爆撃特化型。
一部は通常爆弾が大量に搭載できるように改造され、ベトナム戦争に投入された。
退役後は、キャッスル航空博物館をはじめ、多くの機体が展示保存されている。
- B-52E(100機):
1957年10月に初飛行した、低空侵攻用にアビオニクスと爆撃管制システムを改良したバージョン。
- B-52F(89機):
1958年5月に初飛行した、エンジンをJ57-P-43Wに換装した型。
- B-52G(193機):
低空長距離侵攻能力を強化した型。
燃料搭載量の増加のための軽量化により機体構造を変更し、居住性を強化。
また、垂直尾翼上端をカットしたほか、後部機銃席がリモコン銃座に変更されている。
START Iの締結により、ほとんどの機体が廃棄された。
- B-52H(102機):
1960年7月に初飛行した現行型。
エンジンをP&W TF33ターボファンに変更し、後部機銃を12.7mm機銃4門からM61A1 20mmバルカン砲1門に変更している。
一部の機体は高高度無人偵察機「D-21」の飛行試験に使用された。
- EB-52SOJ:
海軍及び海兵隊との統合部隊で運用していたEA-6Bの後継として開発された電子戦機型。開発中止。
- JB-52E(1機):
B-52E(機体番号57-0119)の8基あるエンジンのうち、2基のみTF39 1基に換装した機体。
- NB-52A(1機):
B-52Aの最終号機(機体番号52-0003)を、高高度極超音速実験機「X-15」の試験支援機に改造した機体。
X-15は専用のパイロンの他、エンジン2基を降ろして空けたエンジンパイロンに搭載された。
時期によって塗装が異なる。
- NB-52B(1機):
B型(機体番号52-0008)を、X-15の試験支援機に改造した機体。
その後、ペガサスロケットの打ち上げや、「X-38」乗員帰還機(CRV)の投下実験、ハイパーX計画ための「X-43」無人試験機の発進実験など、NASAの多数の技術試験プロジェクトに参加し、2004年に退役した。
- NB-52E(1機):
E型(機体番号56-0632)を改造した機体。機首部にピトー管とカナード翼を追加された。
カナード翼とLoad Alleviation and Mode Stabilization system (LAMS)(CCV技術)の試験に用いた。
- NB-52H:
H型を基にしたNASAの試験支援機。2002年から運用。
Photo:MASDF
B-52
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/26 01:56 UTC 版)
B-52
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/11 09:35 UTC 版)
「カーペット・ボム」を要請すると飛来する戦略爆撃機。搭乗不可。
※この「B-52」の解説は、「マーセナリーズ」の解説の一部です。
「B-52」を含む「マーセナリーズ」の記事については、「マーセナリーズ」の概要を参照ください。
B-52
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/14 02:34 UTC 版)
※この「B-52」の解説は、「AN/APG-83」の解説の一部です。
「B-52」を含む「AN/APG-83」の記事については、「AN/APG-83」の概要を参照ください。
B-52
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 08:43 UTC 版)
「ベイリーズ・オリジナル・アイリッシュ・クリーム」の記事における「B-52」の解説
カルーア、ベイリーズ、グランマニエそれぞれ20mlをシェークし、カクテル・グラスに注ぐ。
※この「B-52」の解説は、「ベイリーズ・オリジナル・アイリッシュ・クリーム」の解説の一部です。
「B-52」を含む「ベイリーズ・オリジナル・アイリッシュ・クリーム」の記事については、「ベイリーズ・オリジナル・アイリッシュ・クリーム」の概要を参照ください。
固有名詞の分類
- B-52のページへのリンク