5代目 (1983年 - 1999年) E12/13/15/17A型
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「三菱・ギャラン」の記事における「5代目 (1983年 - 1999年) E12/13/15/17A型」の解説
1987年登場。「E30系」はΣのサブネームが取れ、2代目以来久々に単なる「ギャラン」の車名に (3代目(セダン系のギャランとしては通算5代目)Σを1990年まで併売)。スリーダイヤのエンブレムが復活した (トランクリッドにはMMCのエンブレムも残っている) 。G (グレ)、V (ヴィエント)、M (ミュウ)、4WD-V、と命名された4つのシリーズで構成されている。オーガニックフォルムと呼ばれるS字状のサイドビューと、三菱伝統の逆スラントノーズを久々に復活させたのが特徴である。 トップグレードであるVR-4は、三菱の看板車種として開発され、当時のハイテク装備 (4VALVE、4WD、4WS、4IS、4ABS) を「ACTIVE FOUR」と呼称して装備し、当時直列4気筒史上最強のネット値205 PSを発生させる4G63ターボエンジン (インタークーラー付) を搭載したスポーツセダン。初期205 ps→中期220 ps→後期240 psとマイナーチェンジ毎にパワーアップが図られた。マイナーチェンジ時に追加されたAT車は、小径T/Cをはじめとした異なるチューニングとなっており、最高出力は210 psに抑えられている。その4G63ターボエンジンと4WDシステムはランサーエボリューションに受け継がれ、年々進化していった。ランエボだけでなく現代の国産ハイパワー4WD車の元祖である。程度の良い個体は中古車市場ではランサーエボリューションI - IIIよりも高価になる場合もある。動力性能だけみればかなりのものだが、その反面、スポーツ走行からフルブレーキをすると一瞬でフェードしてしまうような危険な特性を持つクルマであった[要出典]。 VR-4は世界ラリー選手権 (WRC) のトップカテゴリーがグループAへ移行した時期と重なったことにより、競技ベース車としても用いられ、WRCでは篠塚建次郎による日本人初優勝を含む6度の優勝を獲得した。 VR-4以外のラインアップには、2.0 L DOHC16バルブ (4G63・140 PS)・1.8 L SOHC(4G37・ECI仕様94 PS/エレクトロ キャブレタ仕様85 PS)・1.8 Lディーゼルターボ (4D65T)・1.6 L SOHC (4G32・79 PS) などがある。カープラザ店で販売される姉妹車のエテルナは5ドアハッチバックセダンとなった。ちなみに、日本で売られていた5ドアセダンのエテルナは、輸出市場ではギャランとして販売されていた。ただ当時の日本では人気薄な5ドアセダンであることによって販売不振になり、わずか1年半でコンベンショナルな4ドアノッチバックセダンの「エテルナSAVA」が追加されることになった。 マイナーチェンジ時に追加された「AMG (現:メルセデスAMG)」には、4G63NAエンジンをベースに、高速型中空カムシャフト、冷鍛製チタン合金リテーナ、ステム細軸化、ポート径拡大、ピストン変更、触媒排気抵抗低減、プレミアムガソリン仕様化などのチューニングを施し、さらに排気系の改良などが施された。このAMG専用エンジンは、NAという事もあってスペック上はVR-4に搭載されたT/C インタークーラ付仕様に及ばないものの、そのフィーリングは高く評価されている。また、このエンジンの各種パーツは、フォーミュラ・ミラージュにおいても使用された。また「VX」、「VX-S」には電子制御アクティブサスペンション「ECS」を採用していた (ECSはMX、AMG、Viento等にもメーカーオプションとして装着可能)。 開発途中まで、先代ギャランΣの延長線上にあるエクステリアデザインであったが、社内プレゼンテーションで「新鮮さに欠ける」との意見があがり、それまでインテリアを担当していた当時31歳の若手デザイナーが急遽2か月で仕上げ提案したモデルが採用された。非常にマッシブなスタイルであり、40歳代 - 50歳代からは拒否反応が強く、半面それ以下の世代からは強い支持があったための採用と言われている。スタイリッシュな4ドアハードトップ全盛の中での居住空間を重視した高い全高、巨大なメーターをはじめとして内外装ともに個性的なスタイリングであるとともに、現在では常識となったダイヤル式空調スイッチ、グリップ (把手) 式ドアアウターハンドル、親指以外の4本の指をスムーズに入れられる大型インサイドドアハンドルや赤外線式キーレスエントリーなど、他の日本車に先駆けて採用となったものも多く、きめ細かい使い勝手への配慮が伺える。 この6代目ギャラン発表に際し、スタイリングを中心とした開発過程を纏めて書籍として発売しており、当時の三菱自動車の強い意気込みが伺える。メインセクションのS字断面スタイリング (三菱の定義ではオーガニックフォルム) は、その後の一部のアメリカ車などにも影響を与えた。ただし、この処理はギャラン以前に既にジョルジェット・ジウジアーロが1980年のコンセプトカー、「メドゥーサ」で用いている。 このギャランのデザインやメカニズムを基本とし、それ以降に発売されたミラージュやランサー、ミニカ、パジェロなどといった一連の三菱車がフルモデルチェンジしていった点は、特筆すべき点である。 E39A型ギャランVR-4は1988年にグッドデザイン賞を受賞している。 1987年10月16日 - 6代目ギャラン発表、同日よりFFシリーズ販売開始。2.0 Lの「MX」、「VX」、「VZ」、1.8 L ECIの「MS」、「VS」、1.8 Lキャブの「MF」、「GF」、1.6 Lの「ME」、「GE」、「G」がラインナップされた。 1987年12月 - 「2.0DOHC TURBO VR-4」「2.0DOHC VX-4」販売開始。同時にCMSC系クラブと一部有力ショップに、ラリー専用モデルとして「2.0DOHC TURBO VR-4 R」を100台限定で発売。スペック的にはVR-4 RS (翌年発売) と同等である。第8回日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞。 1988年3月 - 日本カー・オブ・ザ・イヤー受賞を記念して、ビスカスLSD、ブロンズガラス、記念エンブレム等を装備し、専用ボディーカラー (セルビアブラック) とした「VR-4 カー・オブ・ザ・イヤー特別仕様」を発売。また1800ターボディーゼル (4D65) を搭載した「1.8D TURBO MF」「1.8D TURBO GE」と、モータースポーツ用のベース車として装備を簡略化した「2.0DOHC TURBO VR-4 RS」を追加。 1988年10月 - 一部改良。塗色の追加、設定及び装備の見直し。2.0DOHC VXをベースに装備を充実、外観をVR-4と同一のエアロバンパーやカラードガーニッシュ等を装備した「2.0DOHC VX-S」、1.8ECIエンジン搭載の4WD「1.8i MS-4」「1.8i GS-4」を追加。 1989年4月 - 1.8 LモデルにDOHCエンジン (4G67) を搭載した「1.8DOHC Viento (ヴィエント)」「1.8DOHC MU EXTRA」、1.8 GFをベースに装備を充実させた「1.8 GF EXTRA」を追加。 1989年10月 - 全車マイナーチェンジを実施。バンパー組み込みフォグランプ付き大型バンパーを廉価モデル (1.6G 1.6GE 1.8D TURBO GE) を除き採用。VR-4にリクエストの多かったAT車を追加 (ただしATの耐久性の絡みで210 PSとなる)。VR-4のMT車は220 PSにパワーアップ。2.0DOHC車 (4G63NA) は145 psにパワーアップ。1.8i MSはエンジンをSOHC・ECIマルチ (4G37) からDOHC (4G67) に変更。4G63のNA仕様にAMGによるチューニングを施し、専用トランスミッション、専用内外装とした「2.0DOHC AMG」を追加。 1990年1月 - 1989年WRC RACラリー総合優勝を記念して、本革スポーツシート、シースルーヘッドレスト等を装備して、専用ボディーカラー (オニキスブラック) とした「2.0DOHC TURBO SUPER VR-4」を発売。 1990年4月 - 1.8i MS-4/1.8i GS-4にAT車を追加。 1990年10月 - 一部改良。VR-4の5MT車は240 PSにパワーアップ。タービンの変更、インタークーラーの大型化、ボンネットへのエアアウトレット装備等各種変更が行われている。2.0DOHC車 (4G63NA) はハイオク仕様となり160 psにパワーアップ。全車にサイドドアビームを標準装備。上級グレードにキーレスエントリ、運転席パワーシートを設定。ビスカスLSD、サンルーフ、専用デカール等を装備し、専用ボディカラー (オニキスブラック) とした「2.0DOHC TURBO VR-4 モンテカルロ」を発売。 1991年1月 - AMGチューンのエンジンとAMGデザインのアルミホイールはそのままにエクステリアをVR-4と同じものとして値段を下げた「2.0 DOHC AMGタイプII」と、1.8 MF/1.8DOHC MU EXTRAをベースに装備のグレードアップを図った「1.8 MU EXCEED」「1.8DOHC Viento EXCEED」を追加。 1991年6月 - 1.8 MU EXCEED/1.8DOHC Viento EXCEEDにオートエアコンを追加し、その他装備を見直して価格を引き下げた「1.8 EXE」「1.8DOHC EXE」と、4WS付きのE39A VR-4RSをベースに、AMGと同じシュロスシルバー色に塗られ、パワーウインドウやオートエアコン、電動リアスポイラーを装備した、「VR-4 Armed By RALLIART」を発売。 姉妹車のイーグル・2000GTX
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