4G63とは? わかりやすく解説

三菱・4G63

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/07/05 15:47 UTC 版)

三菱・4G6型エンジン > 三菱・4G63
三菱・4G63
製造期間 1979年 - 2023年
(日本市場限定のG63Bは1980年 - 1988年)
タイプ 直列4気筒
排気量 2.0L
内径x行程 85×88mm
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三菱・4G63(みつびし・4G63)は、三菱自動車工業が開発した、三菱・4G6型エンジン系列における2,000cc級のガソリンエンジンである。歴代のランサーエボリューションシリーズに搭載されていることで知られる。なお、日本市場のみ当初の型式名は4G63ではなく、G63Bという型式名だった(後述)。通称「シリウスエンジン」。
また、本項では4G63型「シリウスエンジン」以外の2,000cc級4G6型「シリウスエンジン」シリーズについても一部記述する。

概要

排気量1,997 ccの水冷直列4気筒、ボア×ストロークは85×88mmで、いわゆるロングストローク型のエンジンである。

三菱のエンジン形式は、1桁目の数字が気筒数、2桁目のアルファベットが燃料による区分(A、B、G、J:ガソリン、D、M、N:ディーゼル)、3桁目がエンジンシリーズ、4桁目がシリーズ中の排気量コードをそれぞれ表している。したがって、4G63型は「4気筒、ガソリン、6xシリーズ、3(→6xシリーズの場合は2,000 cc)」のエンジンということになる。

4G63型エンジンの登場は1979年と基本設計が古く、鋳鉄製のシリンダーブロックであるために軽量とは言いがたい。しかし、鋳鉄製ブロックがもたらす頑丈さによるチューニングマージンと競技用エンジンとしての耐久性、またロングストロークによる低中速域でのトルクフルな特性などは、ランサーエボリューションに代表されるスポーツカーから、デリカのようなオフロード重視のミニバン、三菱ふそうのトラックであるキャンター、果ては同じ三菱グループである三菱重工製のフォークリフト(現:ニチユ三菱フォークリフト)にまで搭載されるほどの汎用性を生み出す結果となった。

中国の自動車メーカーにも広くライセンスされており、多くの中国車が2023年まで4G63型エンジンを搭載していた(例:上海モーターショー2017に出品されたZOTYE・SR9[1])。

歴史

4G63型エンジンの起源は、1979年の東京モーターショーに参考出品された「ランサーEX2000ラリーターボ」が搭載していた、新開発のエンジンであるG63B型「シリウス80」である。このシリウス80が後の4G63シリーズの源流となる。

1979年当時の三菱のエンジンは、オリオン(4G1型)、バルカン(2G2型)、サターン(4G3型)、ネプチューン(4G4型)、アストロン(4G5型)というように天体にちなんだ愛称がつけられており、その流れに則りG63Bは「シリウス」と命名された。また、1970年代後半は排気ガス規制が厳格化された時期でもあり、サターン、アストロン、シリウスにのみ「1980年代にふさわしい環境性能を持つエンジン」として後ろに「80(エイティ)」が付与されており、それぞれ「サターンエイティ」「アストロンエイティ」「シリウスエイティ」と呼ばれた。各エイティエンジンの特徴として、吸気バルブと同じタイミングで開閉する極小の吸気バルブ「ジェットバルブ」が挙げられる。

このG63Bはあくまでジェットバルブを備えた日本国内向けの乗用車用エンジンの表記であり、日本で初めて「4G63」の型式を名乗ったエンジンはギャランΣエステートバンなどに搭載され、排出ガス浄化装置などが省略された廉価版の商用エンジンを表していた。ただし、名称こそ別ではあるが両エンジンの基本的構造は同一で、上記のランサーEX2000ラリーターボなどに搭載された海外輸出向けエンジンでは乗用車用でも4G63に統一されていた。

4G63「シリウス」エンジンは輸出仕様のランサーEX2000ターボや、2代目ギャランΣ/Λ、および新型スポーツカーであるスタリオンなどに搭載。G63B「シリウス」エンジンは、上記以外にパジェロ、デリカ、フォルテなどにも搭載された。また、G62Bという1,800 cc仕様のバリエーションも存在し、主にランサーEXや、シャリオ、デリカ、コルディア、トレディアにも搭載され、シリウスエンジンは三菱の主力ユニットとなった。世界ラリー選手権(WRC)においても、ランサーターボ(Gr.4)やスタリオン4WDラリー(グループB、実戦投入なし)にボアアップ版が搭載された。

当初の4G63/G63B型は1気筒あたり2バルブのSOHCであったが、1984年にスタリオンGSR-Vなどに搭載された可変3バルブヘッドを持つ「シリウス・ダッシュ(DASH=Dual Action Super Head、後にサイクロン・ダッシュに改称)」を経て、1987年発売のギャランVR-4で、スポーツタイプの4G63がついに4バルブDOHC化された。その一方で、4G63のSOHCモデルを発展させた4G64の4バルブSOHCモデルが2代目シャリオ(後期型)、エアトレック等に搭載され、GDI仕様も存在していた(シャリオグランディスとディオンに搭載)。

1996年発売のランサーエボリューションIVでは、トランスミッション内のカウンターシャフトを廃し2軸化。搭載方向が変更(車両左→車両右)された。ランサーエボリューション用のユニットは発売の度に改良が重ねられ、2006年に発売されたランサーエボリューションIXではMIVEC(連続可変バルブタイミング機構 )を搭載、このMIVECはリフト量の変化は行わず、吸気側のみの連続可変バルブタイミングである。

なお、2007年に発売されたランサーエボリューションXでは新開発の4B11型エンジンに変更されたため、三菱における4G63の搭載車は2006年8月発売のランサーエボリューションIX MRおよびランサーエボリューションワゴンMRが最後となった。ただし、4G63から派生した既存の実用型エンジンについてはその後、2023年頃まで中国市場向けの自動車搭載用ガソリンエンジンとして生産が継続されている。

バリエーション

  • G63B・SOHC8バルブ(ジェットバルブも含めると12バルブと言えなくもないが、便宜上8バルブと表記)。2,000cc。DASHエンジンとして12バルブヘッドを持つ物もラインナップされた。ボアxストローク: 85.0 x 88.0
  • G62B・G63Bのボアダウン版、1,800cc。ランサーEXやコルディアなど、海外市場で2,000ccとされていた車種の国内向け仕様などにラインナップされていたが、その後は4G92に置き換えられた。ボアxストローク: 80.6 x 88.0
  • 4G63・SOHC12バルブ、16バルブ、DOHC16バルブ、DOHC16バルブGDI、DOHC16バルブMIVEC 等、シリンダーヘッドにより様々なバリエーションを持つ。ボアxストローク: 85.0 x 88.0 三菱車以外の搭載車種もクライスラーやヒュンダイの車種(例:ダッジ・ラム、ソナタⅡ/Ⅲなど)のみにとどまらない。
  • 4G61・DOHC16バルブ 1,595 cc ボア82.3mm x ストローク75.0 mm。三菱車以外の搭載車種は初代エラントラなど。サイレントシャフトは非採用。ボアxストローク: 82.3 x 75.0。4G6系唯一のショートストロークエンジン。
  • 4G64・4G63のスケールアップバージョン。2,400cc。SOHC16バルブが基本だがDOHC16バルブのGDI仕様も存在する。ボアxストローク: 86.5 x 100.0
  • 4G67・4G63のボアダウン版でありG62Bのボアアップ版。1,800cc。DOHC16バルブのみ。ボアxストローク:81.5 x 88.0
  • 4G69・4G64の後継機。2,400cc。SOHC16バルブ。4G64エンジンをベースにMIVEC化されたもの。ボアxストローク 87.0 x 100.0

エンジン諸元

車名 形式名 エンジン型式 種類 圧縮比 最高出力
PS/rpm
最高トルク
N·m (kg·m) /rpm
燃料
供給装置
使用燃料
タンク容量 L
LANCER EX2000 A176A 4G63ターボ SOHC 7.6 168/5,500 25.0/3,500 ECI(SPI) n/a・50
STARION GSR-V ('85) E-A183A G63Bターボ 〃 7.5 170/5,800 26.0/3,000 〃 無鉛レギュラー
ガソリン・75
GALANT MX ('87) E-E33A 4G63 DOHC 9.0 140/6,000 17.5/5,000 ECI-MULTI 無鉛レギュラー
ガソリン・60
GALANT MX ('89) 〃 〃 〃 〃 145/6,000 17.8/5,000 〃 〃
GALANT MX ('90) 〃 〃 〃 10.4 160/6,500 19.0/4,750 〃 無鉛プレミアム
ガソリン・60
GALANT AMG ('89) 〃 〃 〃 〃 170/6,750 19.5/5,000 〃 〃
GALANT VR-4('87) E-E39A SNPF 4G63ターボ 〃 7.8 205/6,000 30.0/3,000 〃 無鉛プレミアム
ガソリン・62
GALANT VR-4('89) 〃 〃 〃 〃 220/6,000 30.0/3,500 〃 〃
GALANT VR-4('90) 〃 〃 〃 〃 240/6,000 31.0/3,500 〃 〃
GALANT VR-4 AT('89) E-E39A SRPF 〃 〃 〃 210/6,000 30.0/3,000 〃 〃
LANCER EVOLUTION GSR ('92) CD9A 〃 〃 8.5 250/6,000 31.5/3,000 〃 無鉛プレミアム
ガソリン・50
LANCER EVOLUTION II GSR ('94) CE9A 〃 〃 〃 260/6,000 〃 〃 〃
LANCER EVOLUTION III GSR ('95) 〃 〃 〃 9.0 270/6,250 〃 〃 〃
LANCER EVOLUTION IV GSR ('96) E-CN9A 〃 〃 8.8 280/6,500 36.0/3,000 〃 〃
LANCER EVOLUTION V GSR ('98) GF-CP9A 〃 〃 〃 〃 38.0/3,000 〃 〃
LANCER EVOLUTION VI TME GSR ('00) 〃 〃 〃 〃 〃 38.0/2,750 〃 〃
LANCER EVOLUTION VII GSR ('01) GH-CT9A 〃 〃 〃 〃 39.0/3,500 〃 無鉛プレミアム
ガソリン・48
LANCER EVOLUTION VII GT-A ('02) 〃 〃 〃 〃 272/6,500 35.0/3,000 〃 〃
LANCER EVOLUTION VIII GSR ('03) 〃 〃 〃 〃 280/6,500 40.0/3,500 〃 無鉛プレミアム
ガソリン・55
LANCER EVOLUTION VIII MR GSR ('04) 〃 〃 〃 〃 〃 40.8/3,500 〃 〃
LANCER EVOLUTION IX GSR ('05) 〃 〃 〃 〃 〃 40.8/3,000 〃 〃
LANCER EVOLUTION IX GT ('05) 〃 〃 〃 〃 〃 41.5/3,000 〃 〃
LANCER EVOLUTION WAGON GT ('05) 〃 〃 〃 〃 〃 40.0/3,000 〃 〃
LANCER EVOLUTION IX MR GSR ('06) 〃 〃 〃 〃 〃 40.8/3,000 〃 〃
LANCER EVOLUTION IX MR RS ('06) 〃 〃 〃 〃 〃 41.5/3,000 〃 無鉛プレミアム
ガソリン・50
CHARIOT MX ('91) E-N33W 4G63 SOHC 9.5 105/5,500 16.1/4,500 〃 無鉛レギュラー
ガソリン・60
CHARIOT RESORT RUNNER GT 5MT ('95) E-N43W 4G63ターボ DOHC 8.5 230/6,000 29.5/2,500 〃 無鉛プレミアム
ガソリン・60
CHARIOT RESORT RUNNER GT AT ('95) 〃 〃 〃 〃 220/6,000 30.5/3,000 〃 〃
RVR SUPER SPORTS GEAR 5MT ('95) E-N23WG 〃 〃 〃 230/6,000 29.5/3,000 〃 〃
RVR SUPER SPORTS GEAR AT ('95) 〃 〃 〃 〃 220/6,000 30.5/2,500 〃 〃
RVR HYPER SPORTS GEAR R 5MT ('97) 〃 〃 〃 〃 250/6,000 31.5/3,000 〃 〃
RVR HYPER SPORTS GEAR R AT ('97) 〃 〃 〃 〃 230/6,000 30.5/2,500 〃 〃
RVR HYPER SPORTS GEAR Z ('97) 〃 4G63 〃 10.5 160/6,500 19.0/4,750 〃 〃
DION EXCEED ('00) GH-CR9W 4G63 GDI 〃 10.3 135/5,800 18.7/3,500 GDI 無鉛レギュラー
ガソリン・60
RVR SPORT GEAR X3 ('97) GF-N73WG 4G63ターボ 〃 9.0 250/5,500 35.0/2,500 〃 無鉛プレミアム
ガソリン・58
AIRTREK TURBO-R ('02) TA-CU2W 〃 〃 8.8 240/6,000 〃 〃 無鉛プレミアム
ガソリン・60
DELICA CARGO 2.0GX ('96) GA-PA3V 4G63 SOHC 9.5 115/6,000 17.0/3,000 キャブレター 無鉛レギュラー
ガソリン・66
CANTER GUTS DX('97) CBF-FB700A 〃 〃 n/a 107/5,000 16.6/4,000 ECI-MULTI 無鉛レギュラー
ガソリン・55

主な搭載車

※三菱ふそうトラック・バスを含む

三菱自動車・三菱ふそうトラック・バス以外のメーカーでの使用例

ヒュンダイ車への搭載例

脚注

関連項目

  • シリウスDASH3×2
  • サイレントシャフト
  • 三菱・4G3系エンジン(1960年代末期に開発された小排気量~中排気量向けの直列4気筒エンジン。「サターンエンジン」と呼ばれる。幅広い車種に搭載された)
  • 三菱・4G5系エンジン(1970年代前期に開発された大排気量向けの直列4気筒エンジン。「アストロンエンジン」と呼ばれる。4G3系エンジンシリーズ同様、幅広い車種に搭載された)
  • 三菱・4G1型エンジン(1970年代後期に開発された小排気量向けの直列4気筒エンジン。「オリオンエンジン」と呼ばれる。同社の歴代のガソリンエンジンとしては35年以上(2012年10月現在の時点において)の実績を誇る)
  • 三菱・3G8型エンジン(1980年代後期に開発された同社の軽自動車用の頑丈な鋳鉄直列3気筒エンジンシリーズ。25年以上の実績を誇り、信頼性や安堵感などで評価されていた。最後の搭載車種であるミニキャブのフルチェンジ(スズキ・キャリイ/エブリイのOEMへ)に伴い、2013年12月を以て生産終了となった(ミニキャブのOEMだった日産・NV100/NT100クリッパーはミニキャブに先駆けてスズキ製に切り替わった。)

4G63 (G63B)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 09:20 UTC 版)

「三菱・4G6型エンジン」の記事における「4G63 (G63B)」の解説

詳細は「三菱・4G63」および「三菱・シリウスDASH3×2」を参照 4G63は1,997ccのエンジン(85 mm ボア x 88 mm ストローク)である。SOHC及びDOHCが生産された。両者とも自然吸気とターボチャージャー仕様が利用可能であった。前輪駆動向けの4G63ではターボチャージャー仕様はシリウスからサイクロンに愛称が変更された。5代目ギャランに搭載された4G63はDASH3×2と呼ばれる可変バルブ技術が盛り込まれたサイクロンDASH3×2エンジンで、ターボチャージャーとインタークーラーも装備し、JISグロス値で200PS(147kw)が謳われた。このエンジンでは経済的な運転を可能にするだけでなく、低回転域のドライバビリティと高回転域の高出力を実現するために、シリンダー当たり3バルブを搭載し、回転域に応じて2バルブに切り替えることができた。1987年には日本市場のギャランにDOHCの自然吸気およびターボチャージャーの4G63が導入された。これは1988年から1992年(平成4年)までのギャランVR-4、米国市場の1990年(平成2年)から1999年(平成11年)までのエクリプス、あるいはランサーエボリューションIからIXを含む様々な車種に搭載された。それ以降の4G63では三菱の可変バルブタイミング機構であるMIVECも採用された。 SOHC 8バルブ キャブレターエンジン(エンジンコードG63B)は、1987年から1989年までの三菱・マイティマックス及びダッジ・ラム50ピックアップトラックに採用された。SOHCの4G63は1993年(平成5年)までの三菱・ギャランでも使用された。これは76 kWの出力と、157 Nmのトルクを4,750 rpmで発揮した。 また、SOHCの4G63は1990年代後半から2000年代初頭のモンテロや2.0L 2ドアのパジェロなどの三菱車に、4,700 rpmで101 kW (137 PS)を発揮するものが搭載された。また、N33及びN83型スペースワゴン(英国市場)では、SOHC 16バルブの4G63が搭載された。 米国市場では、1989年から三菱自工とクライスラーの合弁企業であるダイアモンド・スター・モーターズが、三菱・エクリプス、イーグル・タロン及びプリムス・レーザーを介して、DOHC インタークーラーターボエンジンを導入した。1990年末から1992年4月までは、がっしりとしたコネクティングロッド及び、クランクシャフトへのフライホイールの固定に6本のボルトが使用された。1992年5月から2006年(平成18年)の進化版エンジンでは軽量なコンロッドと、クランクシャフトへのフライホイールの固定に7本のボルトが使用された。これらはそれぞれシックス・ボルト及びセブン・ボルトエンジンと呼ばれている。 2003年(平成15年)の日本/北米仕様 ランサーエボリューションでは、出力は6500 rpmで271 hp(202 kW)、273 lb・ft (370 N・m)のトルクを3,500 rpmで発揮した。これは鋳鉄製シリンダーブロックとアルミ合金製DOHCシリンダーヘッドを持つ。マルチポイント式インジェクション、1シリンダー当たり4バルブにターボチャージャーとインタークーラー、鍛造鋼製コネクティングロッドも装備した。

※この「4G63 (G63B)」の解説は、「三菱・4G6型エンジン」の解説の一部です。
「4G63 (G63B)」を含む「三菱・4G6型エンジン」の記事については、「三菱・4G6型エンジン」の概要を参照ください。

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