うつくし・い【美しい/▽愛しい】
読み方:うつくしい
1 色・形・音などの調和がとれていて快く感じられるさま。人の心や態度の好ましく理想的であるさまにもいう。
㋐きれいだ。あでやかだ。うるわしい。「若く—・い女性」「琴の音が—・く響く」
2 妻子など、肉親をいとしく思うさま。また、小さなものを可憐に思うさま。かわいい。いとしい。愛すべきである。
3 りっぱである。見事だ。
「かの木の道の匠(たくみ)の造れる、—・しきうつは物も」〈徒然・二二〉
「—・しくお暇(いとま)取り、二度(ふたたび)在所へ来るやうに」〈浄・歌念仏〉
[補説] 本来親しい間柄、特に親子・夫婦などの間のいたわりの愛情を表したが、のちに小さいものへの愛情を主にいうようになり、さらに一般的に心や感覚に喜びを与えるもののようすをいうようになった。
[用法] うつくしい・きれい——「美しい(きれいな)人」「きれいな(美しい)花」のように相通じて用いられるが、現代の口頭語としては「きれいだ(です)」が優勢である。「なんてきれいなのでしょう」が普通で、「なんて美しいのでしょう」はやや改まった言い方になってしまう。◇「美しい」は、「日本の美しい自然」「美しい心」などのように、心を打つ内面的な好ましさについて用いることが多く、「美しい友情」を「きれいな友情」とは普通はいわない。◇「きれい」は、「きれいに掃除する」「きれいに食べる」とかのように、外面的な清潔さ・鮮やかさの意が強い。「きれいな空気」を「美しい空気」とはいわない。◇類義語「麗(うるわ)しい」は、「美しい」に近いが文章語的。感情や、人と人との間柄の美しさなどを表して、「彼女は御機嫌麗しい」「麗しい師弟愛」のように用いられる。
うるわし・い〔うるはしい〕【麗しい/▽美しい】
読み方:うるわしい
[形][文]うるは・し[シク]
1 精神的に豊かで気高く、人に感銘を与えるさま。心あたたまり、うつくしい。「—・い母性愛」「—・しい友情の発露」
2 形・色・容姿などが、目に快く映るさま。うつくしい。「—・い女性」「見目(みめ)—・い」「—・い歌声」
3 機嫌・顔つきが晴れ晴れしているさま。「本日も御機嫌—・しくいらっしゃる」
「畳(たた)なづく青垣、山籠れる大和し—・し」〈記・中・歌謡〉
㋑人の性格・行動などが、きちんとしていてよい。折り目正しく、きちょうめんである。
「いみじう気高げにおはする女の—・しく装束(さうぞ)き給へるが」〈更級〉
「—・しくは、ただくるくると巻きて、上より下へ、わなの先を差しはさむべし」〈徒然・二〇八〉
「山吹は日に日に咲きぬ—・しと吾(あ)が思(も)ふ君はしくしく思ほゆ」〈万・三九七四〉
7 人と人との間柄が良好なさま。仲がよい。親しい。また、むつまじい。
[補説] 元来、「うつくし(い)」は、かわいい、愛すべきだ、の意を表し、「うるわし(い)」は、整った、端正な美を表した。「うつくし(い)」が「きれいだ」となるのに対し、「うるわし(い)」は「りっぱだ」に近づく。
美
(美しい から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/19 16:06 UTC 版)
この記事では美・美しい(び・うつくしい、希: καλόν カロン、羅: venustas, bellus、仏: beauté、英: beauty)について解説する。同義として 【麗しい/▽美しい】 (うるわしい)という用語ある[1]。
注釈
出典
- ^ “麗しい/美しい(うるわしい) とは? 意味・読み方・使い方”. goo辞書. 2024年2月17日閲覧。
- ^ a b c 広辞苑第六版【美】
- ^ a b c d ブリタニカ百科事典【美】
- ^ 桑原武夫,加藤周一 編 1969, p. 13.
- ^ 「はしがき」『岩波講座哲学 (6)芸術』、i。巻頭の「はしがき」において、編者は、「大和の国は美しく、小野小町は美しく、方程式のこの解法は美しいという」と記している。(引用)
- ^ a b 「はしがき」『岩波講座哲学・芸術』、i。
- ^ 今道友信「西洋における芸術思想の歴史的展開(古代・中世)」『岩波講座哲学・芸術』、p.39。パンドーラー、キルケー、ヘレネーなどの「美しき者」はまた同時に災悪(カキアー)であった。
- ^ 今道友信「西洋における芸術思想の歴史的展開(古代・中世)」、p.54。「カロカカキア」というギリシア語は存在しない。『理想』に掲載した論文中で今道が造語した。
- ^ a b 今道友信「西洋における芸術思想の歴史的展開(古代・中世)」『岩波講座哲学・芸術』、p.39。
- ^ 張世超; 孫凌安; 金国泰; 馬如森 (1996), 金文形義通解, 京都: 中文出版社, pp. 910–1
- ^ 季旭昇 (2014), 説文新証, 台北: 芸文印書館, p. 299, ISBN 978-957-520-168-5
- ^ 葛亮 (2022), “説“美”“好”――正確理解会意字”, 漢字再発現――従旧識到新知, 上海: 上海書画出版社, ISBN 978-7-5479-2884-4
- ^ 黄徳寛 (2007), 古文字譜系疏証, 北京: 商務印書館, p. 3188, ISBN 978-7-100-05471-3
- ^ 禤健聡 (2017), 戦国楚系簡帛用字習慣研究, 北京: 科学出版社, pp. 212–3, ISBN 978-7-03-052085-2
- ^ 徐超 (2022), 古漢字通解500例, 北京: 中華書局, pp. 120–1, ISBN 978-7-101-15625-6
「美しい」の例文・使い方・用例・文例
- それは確かに美しい島だ
- これらの花はとても美しい
- 彼は美術館の近くに住んでいたので,多くの美しい絵画を見ることができた
- 私の書斎から見える海はとても美しい
- 聴衆は彼女の美しい歌声に魅せられた
- 美しい絵
- 美しい交響曲
- 息をのむほど美しい光景
- 彼女は美しい声をしている
- とても美しい女性
- この橋から3キロ下流に美しい湖がある
- 彼女は成長して美しい女性になった
- 彼の美しい演技は私を能の世界に引き込んだ
- ちょうど毛虫がチョウになるように彼女は美しい女性になった
- その新しい建物は町の美しい景観に合わない
- 私たちは皆海岸線をドライブしながら美しい景色に賛嘆の声を上げた
- 彼の家からは町の美しい景色を見ることができる
- 青いカーテンは白い壁と美しい対照を成している
- 彼女の美しいほほえみでその映画は終わる
- 彼女はなんて美しいのでしょうと叫んだ
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