第40 - 43編成(13次車)
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「営団05系電車」の記事における「第40 - 43編成(13次車)」の解説
東京地下鉄(東京メトロ)発足後の2004年度製造の第40 - 43編成が13次車に該当する。 このグループは「新技術を採用した次世代形通勤車両」・「今後の標準車両」として東葉高速鉄道と共同開発したものである。東葉高速2000系仕様の共通化、同時発注、複数年一括発注の新契約方式により、今までの05N系と比べて約15 %のコストダウンを図った。設計にあたっては車両のコストダウン・衝突安全性向上・リサイクル性向上・火災対策・車体の高精度化と上質化・快適性の向上をコンセプトとした。 東葉高速鉄道との協定により日立製作所提唱の『A-train』の構体を採用している。なお、日立製車両の導入は、営団時代1964年の丸ノ内線用500形の801・802号車以来、40年振りの導入となった。また、「標準車両」の規格にも適合する。 新技術の導入 従来の車両構体はアルミニウムの骨組みを基本とし、これらを溶接棒を用いたMIG溶接を基本に組み立てていた。 この13次車では屋根構体・側構体・台枠など全ての構体をダブルスキン構造の中空押出形材で構成し、これらを20 mを通して摩擦攪拌接合(FSW)にて接合する「オールダブルスキン構造」を採用した。さらに複雑な形状をする先頭車前頭部側面は骨組み構成をやめ、1枚のアルミ板から三次元削り出し加工にて製作している。 また、内装や床下機器製作にはモジュール化・アウトワーク化を実施している。従来は内装・床下配線・配管は骨組みに対し、現物合わせで組み立てていた。13次車では中央天井、側天井、つり手・腰掛の各モジュールや配線・配管モジュールを前もってアウトワークにて製作し、これらの各モジュールをダブルスキン構体の一部であるマウンティングレールにボルトで固定する方法を採用している。これにより構造の簡素化、部品点数削減、コストダウンを図っている。 外観では屋根構造が張り上げ屋根となり、車端部の窓は車体との段差をほぼなくしたほか、車外の側扉引き込み防止ゴムが省略された。車端部では隅柱を強化した三角形の断面構造とし、側構体と妻構体と強固に接合させた。これにより11次車までよりも車体強度を向上させ、衝突事故時の安全性をより向上させた。 火災対策・有毒ガス対策 客室においては韓国・大邱地下鉄放火事件を教訓として、火災発生時に塩素ガスやシアン化ガス等の有毒ガスの発生源となる塩化ビニルやFRP等の合成樹脂系材料の使用を取りやめている。また、内装材はリサイクル性の向上のため、車体材料と同じアルミニウムの使用部材を多用する「モノアロイ化」(単一合金化)を図っている。 座席は1人分ごとに区分されたセパレートシート化され、1人分の掛け幅は460 mmに拡大した。袖仕切は形状が変更された。床敷物は塩化ビニル系から火災発生時に有毒ガスの発生しない灰色のゴム材となった。側扉横の手すりは戸柱と一体化したアルミ形材に、車両間貫通扉はドアクローザ式から傾斜式に変更、持ち手は従来よりも長い手すり状となった。 火災対策としてつり革はつり輪材質をポリエステル樹脂に、ベルトは溶融滴下のしないナイロン繊維製を使用している。つり手棒受けは従来車ではアルミの中空品に白色の焼付塗装をしたものであったが、このグループはアルミの無塗装品で板状のものに変更した。 車体の上質化とコストダウン 車体の上質化として側壁の非常通報器、ドアコック、ドア上の鴨居点検ブタ部の車内案内表示器を内装パネルとの段差をなくし、見付けをすっきりさせた。また仕様の見直しによって、ラインデリアの台数を各車2台削減、側扉ガラスの単板ガラス化、側窓のカーテンは引っ掛け式に戻された。さらに車内案内表示器は全扉上配置から千鳥配置とし、表示器のないドア上部には「このドアが開きます」「反対側のドアが開きます」の表示ランプが設置された。 中間車は2・9号車の車椅子スペースを設置しているが、新たに3 - 8号車にはフリースペースを設置した。フリースペースは座席のない点では車椅子スペースと同様だが、後者は車椅子利用者の安全上から非常通報器と車椅子固定ベルト(固定ベルトは13次車で初採用)を設置するが、前者は大きな荷物を持った乗客のためのスペースとしており、非常通報器と固定ベルトは省略されている。 制御装置は三菱電機製だが、PGセンサレス方式、純電気ブレーキ対応形となった(素子耐圧は8次車以降3,300 V - 1,200 A)。編成組成は11次車以降と同じであるが、パンタグラフは編成で5台から3台に削減された。床下機器では別々に艤装していた主回路用断流器と高速度遮断器(HB)は1つの箱(断流器箱)に集約したほか、補助回路用高速度遮断器(SIV HB)も1つの箱(変圧器箱)に集約している。 付随車3両に設置されていた第二元空気だめ(空気溜め=空気タンク)は、空気圧縮機(CP)搭載車の第一元空気だめの容量を大きくすることで廃止したほか、別々であった保安空気だめと戸閉空気だめは2室空気だめとして一体化されている。従来は独立して設置していた機器類(各種接触器類、通報制御器、TISモニタ局、接地スイッチ等)は共通機器箱に集約した。これらは艤装工程の削減、コストダウン、省メンテナンス化のためである。 第42編成(13次車)(2020年6月23日) MAP-178-15V134形VVVFインバータ装置・2側の素子冷却フィン(写真は東葉高速2000系の同一品) 機器が集約された共通機器箱。写真は05-440号車の例で、設置機器は車両によって一部異なる 概要にある通り、このグループは当初東葉高速車を含めて19本投入する計画となっていたが、計画が変更され、10000系の投入に伴う07系の有楽町線から東西線への転属で補充することとなった。このため、第44 - 47編成の製造計画は中止され、2004年度に製造された第40 - 43編成4本(13次車)と東葉車11本(当初の予定通り)の15本で終了となった。
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