現状の施設・設備とは? わかりやすく解説

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現状の施設・設備

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/10 01:39 UTC 版)

関門トンネル (山陽本線)」の記事における「現状の施設・設備」の解説

関門トンネル下り線トンネル全長3,614.04メートル上り線トンネル全長3,604.63メートルである。海底部の延長上下線とも1,140メートルある。また本線トンネルよりやや深い場所に、下関方と門司方の立坑の間を結ぶ全長1,322メートル試掘坑道通称トンネル)が存在しトンネル完成後は作業用トンネルとして使用されている。平均土被りは約11メートルあるが、建設時粘土被覆行った箇所では最小9.5メートルとなっている。 下関方の試掘立坑彦島東端弟子待にあり、JR九州保守作業用の出入口として使用されている。ただし、こちらの立坑にはエレベーター設備がない。また下関方取付部の建設に際して杉田斜坑建設されたが、完成後に埋め戻されている。 門司方の試掘立坑は、国道199号の脇に所在し昇降機設置されており、エレベーター使える唯一の立坑として、関門トンネル機能維持するための重要な施設として使われ続けている。また鹿児島本線小森江駅東側駐車場には、立坑コンクリートをした構造物が2か所残されている。北側にある矩形立坑かまぼこ形がしてあるものが下り線トンネル用の門司方立坑で、ここから下り線海底部を掘削したシールドマシン搬入され発進した南側の丸いなされている立坑上り線トンネル用の門司第一立坑で、圧気工法発進拠点として用いられた。上り線トンネル用の門司第二立坑は、試掘立坑近く所在したが、撤去され残存していない。 完成当初下り線トンネル内のレールは、テルミット溶接により連続敷設されていた。しかし摩耗激しく溶接部破断事故もあったため、上り線開通時通常の25メートルレールに交換された。2006年平成18年時点では、1メートルあたりの重量60キログラムである60キロレールで、全長100メートルのものを使用している。海水混入した漏水排水溝流れており、また湿度90パーセント達す条件のため、レール腐食早く通常の5分の1程度交換周期レール交換行っている。道床は、トンネル中央部コンクリート道床トンネル出入り口から下り線は約250メートル上り線は約400メートルバラスト道床になっている枕木は、バラスト道床部は通常のマクラギであるが、コンクリート道床部では関門型特殊短マクラギ採用している。下り線では25メートルあたり41本、上り線では25メートルあたり45本の枕木敷設しており、この敷設密度の差は「下り線成績により密にした」と記録があるだけで、理由は明らかではない。また締結装置も、関門型特殊レール締結装置採用している。この締結装置は、一般型のタイプレートでは摩耗腐食折損著しかったために改良取り組み1955年昭和30年ころからタイプレートに直接荷重をかけずに枕木分散させる仕組みのものが開発されたものである関門トンネル走行する列車への電力供給用に、下関変電所門司変電所設置されている。遠隔制御技術発達する昭和30年代までは、機器の運転や記録作成のために変電所への運転員の常駐が必要で、これらの変電所は1変電所が1変電区となり、下関変電区・門司変電区として区長以下約20名の職員配置され交代制勤務行っていた。開通当初出力2,000キロワット水銀整流器それぞれ2台ずつ備えており、1944年昭和19年5月それぞれ1台ずつさらに増設された。第二次世界大戦末期には、空襲受けて変電設備被災することに備えて彦島出力4,000キロワット地下変電所用意され終戦後まもなく約20日間だけ実際に運転されたことがあったが、廃止され設備従来変電所復元された。第二次世界大戦後負荷低下により、1949年昭和24年)に水銀整流器を1台ずつ東海道本線電化用に供出している。1957年昭和32年)に容量増強したあと、1961年昭和36年6月山陽本線小郡 - 下関電化九州島内の交流電化に際して下関変電所水銀整流器2台をシリコン整流器換装出力増強実施され関門トンネル内の大部分負荷を担うほか、山陽本線側の負荷も担うようになった一方で門司変電所直流設備一部縮小したうえで交流用の変電設備設置され以降門司変電所関門トンネルに関して下り線門司方上勾配ピーク電力のみを負担するように運用されるようになった1961年昭和36年12月に両変電所とも無人化された。下関変電所彦島関門トンネル入り口近くに、門司変電所門司駅構内位置しいずれもJR九州博多電力指令から遠隔操作されている。 関門トンネル内の架線は、下り線開業時はシンプルカテナリ式を採用していた。しかし開通予想以上に摩耗激しかったことや、漏水による碍子劣化考慮し上り線開通時には支持碍子変更しダブルシンプルカテナリ式を採用した上り線開通後、約1か月下り線トンネル通行休止して下り線架線も同じ仕様改修したトンネル内では、特殊碍子一部使用することで、大型貨物輸送対応するために架線の高さ4,550ミリメートル確保している。トンネル内は列車通過による強風塵埃巻き上げられ碍子付着することから、絶縁劣化激しく表面にシリコンコンパウンドを塗布するといった対策行っている。また開業時架線引き留めトンネル内では行わず両側の出入口から1本で引っ張る構造であったが、饋電吊架線緩み調整難しいという問題があり、1963年昭和38年)に約500メートルごとに8区分した構造改造された。 下関駅門司駅の間は複線ではあるが、信号方式としては単線自動閉塞が2本並んでいる双単線である。下り線上り線とも、駅間に5基の閉塞信号機下り・上り双方向けて建てられている。これは、改修作業などで1本ずつトンネル閉鎖して運転することができるようにしたもので、実際に毎月指定された日の保守作業時間帯2013年時点では12時ごろから15時30分ごろ)には単線運転をして保守作業行っている。 トンネル維持管理のために、おおむね1、2年に1度坑内調査外観目視調査変状調査打音調査トンネル断面測定)、年に3回漏水調査、年に1回関門航路深浅測量(海の深さ測量)によるトンネル土被り調査、そしておおむね10年ごとの覆工コンクリートコア採取による各種試験実施されている。漏水量は、完成からまもない1944年昭和19年)では1,743立方メートル/日あったが、1952年昭和27年)には2,274立方メートル/日まで増加したあと、2007年平成19年)には450立方メートル/日程度まで減少している。これは、地下水位以下に建設されトンネルとしてはかなり少ないもので、非常に丁寧に施工され結果であると推定されている。また上り線の方が下り線より漏水量が少なく先に開通した下り線結果受けて上り線では入念な対策取られ結果だと考えられている。漏水量の減少は、漏水防止処置進んだことと、下関側地上宅地化進んだ結果であると推定されている。湧水中に含まれる海水の量は、1991年平成3年時点調査では、総湧水量が800トン/日程度のうち10パーセント程度の約80トン/日程であった海底トンネルにおいて、コンクリート構造物管理問題となるのは、海水からの塩化物イオン侵入による鉄筋腐食硫酸塩によるコンクリート化学的腐食であるが、2009年平成21年)までの時点では特に大きな変状はなく、コンクリート圧縮強度にも低下見られていないトンネル全体として健全な状態にあり、覆工大規模な補修補強対策を施す必要性認められていない。なお、1993年平成5年時点関門トンネル施設修繕費用は年1億程度とされている。

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